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「心の底から楽しんで演じたい」平野 良さん×安西慎太郎さん×滝口幸広さん×原田優一さん
20011年から「年末“祭”シリーズ」と題して毎年のように上演されてきた歴史エンターテイメント時代劇が、この年末にも上演されます。日本史最大のミステリー「本能寺の変」に材を取り、トンデモ設定の新たな物語として描きだす『明治座の変~麒麟にの・る~』。出演・演出の原田優一さんと、W主演平野 良さん、安西慎太郎さん、そして「るひま舞台」の顔、滝口幸広さんにお話をうかがいました。(撮影:藤記美帆 文:大原 薫)
滝口幸広さんは去る11月13日に逝去されました。舞台を愛し、「年末“祭”シリーズ」に長く出演してきた滝口さんを偲んで、掲載させていただきます。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
NEWS & INFORMATION 2019 12/2 UPDATE
――原田さんはる・ひまわりの年末シリーズでは初めて演出を担当されますね。
原田 そうですね。今までは板垣(恭一)さんが演出されていた年末シリーズに出演させていただいたんですけど、今回「演出を」という話を最初にいただいたときはびっくりしました。板垣さんにもお話をしたら「できるよ、大丈夫。任せたよ」と言っていただいたんです。
平野 優一さんは今までも演出をやられてますが、今回みたいな大所帯のものもあったんですか?
原田 こんな大規模なのは初めて。なので、皆さんのお力を借りると思います。
――そして、平野さんと安西さんが両座長として出演。お二人の共演は?
平野 初めてです。初共演。
滝口 ちょっと待って、一緒に飲んだんでしょ?
安西 そう、居酒屋では共演したんですけど。
滝口 それはたまたま?
平野 僕ともう一人の俳優が飲んでて、そこに「何人か呼ぶね」となった中にいたのが安西くん。それで、最初に一緒に飲んでた俳優より仲良くなっちゃった。
安西 (笑)
――る・ひまわりの年末シリーズで主演するのはいかがでしょうか?
平野 慎ちゃんは以前に座長をやっているものね。
安西 そうですね、僕は2年前に辻本(祐樹)さんと一緒に一度やらせていただいて、今回また主演として戻ってこられることが嬉しいです。このシリーズに出られること自体が僕にとってすごく価値があります。平野良さんは僕がずっとご一緒したかった方なのでその方とダブル主演というのは正直プレッシャーはありますが、演出も優一さんだし、新たな年末になるんじゃないかと思って楽しみにしています。
平野 僕は前回出たのが2013年で、今回6年ぶりに出られるのが楽しみ。久々だけど、年末シリーズにずっと出ているメンバーもいるからね。タッキー(滝口)とか辻(辻本)とか二瓶(拓也)とか。
滝口 まあ、俺は年末シリーズで食わせてもらっていると言っても過言ではない(笑)。
一同 (笑)
平野 何だ、それは(笑)。
滝口 年末シリーズは9回目だけど、僕は今度で8回目。
平野 ヤバい、すごいね。
原田 プロだね。
平野 そういう常連メンバーが多いので、「座長だから」と言って畏まらなくても大丈夫かなと思いますね。
滝口 僕は8年目になりますが、優ちゃんが演出してくださるということもあって、今までとはまた違う年末シリーズになりそうだなと思って、楽しみです。
原田 る・ひまわりの年末シリーズは馬鹿馬鹿しさがありながら、ダイレクトにメッセージを投げかける舞台。壮大に作っていきたいなと思います。今回は若手もいますが年齢層も比較的高いメンバーも多いんです。頑張っている先輩たちを見せながら、若い子たちのとびぬけた身体能力や弾けるエネルギーがうまく混在できたらいいなと思っています。
――今回の第一部の芝居『麒麟にの・る』は明智光秀(平野)と織田信長(安西)の「トンデモ設定で繰り広げる『本能寺の変』」とのことです。
原田 今回の脚本では光秀と信長の「もしこんなだったら面白いだろうね」という設定があったり、歴史上で皆さんがイメージするキャラクターとはちょっと違ったものになっているかもしれない。
滝口 歴史って「絶対こう」という真実があるわけじゃなくて、解釈がいろいろ別れるじゃないですか。歴史の裏側の「穴あき」「虫食い」になっている部分に「実はこうだったかもしれない」というちょっとひねった面白い要素を加えていくのが、年末シリーズのカラーかなと思う。
平野 歴史好きの人の間では、本能寺が一番考察されているんじゃないですか?
滝口 陰謀説とかね。
原田 いろいろ言われているところはあるね。でも『麒麟にの・る』は「トンデモ設定」だから(笑)。
平野 麒麟が出てきますもんね(笑)。
原田 そう、麒麟というのは象徴的な存在で、「麒麟と出会ったものが天下を収める力を持つ」ということなんです。それを加藤啓さんが演じます。
――る・ひまわりの年末シリーズを見ると、物量ともにすごいものを見た!という圧倒感で年末を締めくくっている気持ちになるのですが、演じる側としてはどうなんでしょうか。
原田 祭りですね、「これをやったら年末だな」という感じ。
安西 そういう感じがしますね。
滝口 僕はこれがなくなったらもう、年末をどう過ごしていいか。
一同(笑)
平野 年の越し方がわからなくなった。
滝口 そう。4時間の公演1日2回やっているんだけど、むしろ1日9時間公演をやっている感覚なんです。でも、毎年そう言ってるのに全然改善されないから(笑)、まあそういうものだと思って。
原田 今回ちょっと短くしようかという案もあったけど、結局盛りだくさんになった。
滝口 足りないと言われるより「お腹いっぱい」と言われるほうがいい。
原田 そうそう、年末のフルコースと思っていただければ。
平野 お客様でも毎年ご覧になってる方がいらっしゃるんじゃないですか。
滝口 「今年も私の年末がやって来ました」というお手紙を結構いただきますね。
――お三人が演出の原田さんに期待されることは?
安西 プレイヤーとして優一さんとご一緒させていただいてきて、本当に素晴らしいんです。
原田 いや、恐ろしいわ~(笑)。
安西 誰もがそう思うと思うんですよ。作品も自分の役割も、相手をどう動かすかもわかってらっしゃる方なので、演出家が優一さんと聞いてすぐに「やります!」と言ったんです。演出家としての優一さんとご一緒するのが楽しみです。
平野 『Factory Girls』でも共演したんですが、芝居の経験がない子たちにたまにアドバイスをしているのを聞くと的確だし、しかもその子に合わせたことを言っているので、演出家としてもすごい人なんだなと思って。信頼しきっているので、優一さんにすべてをお任せして、一緒に面白いものを作っていけたらと思いますね。
滝口 褒めたたえてるね。
原田 で、タッキーが最後に落とすんでしょ?
滝口 いや、そんなことないですよ。しいていえば、たまに優ちゃんが嘘笑いをするのがわかるので。
原田 あははは。
滝口 優ちゃんが心の底から楽しんで笑っている顔が見られたらいいなと思って、稽古を頑張ろうかなと思います。
――最後にメッセージをお願いします。
滝口 僕は8年目になりますが、毎年やっているからこそまったく同じものとして比べられるんじゃなくて「今年も年末やってきたね。でも、去年と違って今年はここが楽しかったね」と楽しみの種類が変わったらいいなと思います。あとは、いかに優ちゃんを笑わせられるかですね(笑)。
安西 今まで観たことがあるお客様にはいつもと変わらない気持ちで楽しみにしていていただきたいし、初めての方にも「どんなだろう?」と期待して劇場にお越しいただけたらなと思います。僕たちはカンパニー一丸となって面白いものを作るのみ。皆さんの期待を忘れずに稽古から一生懸命やっていきたいと思います。ぜひ楽しみにしていてください!
平野 6年ぶりに出演させていただきますが、6年前と比べてどんどん進化しているんだと思うんですよね。僕が一緒にやりたかった方たちと一緒に楽しんで演じられると思うし、舞台上で心から楽しんでいる人を観るのがお客様にとっても心が踊ることだと思うので、ぜひ楽しみにしていてください。
原田 初めは演出するにあたってプレッシャーも感じましたが、明治座という素晴らしい劇場を味方につけて、舞台機構を存分に使って……と思っていたら、創作意欲がどんどん高まってきました。一部の芝居は馬鹿馬鹿しくも壮大なメッセージをお伝えしたいし、二部は徹底的にエンターテインメントにお見せしたい。以前からご覧になっているお客様はもちろん、初めて観る方にも「こういうものがあるんだ」と楽しんでいただける舞台にしたいと思っています。
※このインタビューのロングバージョンを、12月5日発売『オモシィプレス VOL.5』に掲載しています。るひま舞台を愛し、互いを尊敬し合う4人のトークセッションを、大きなタブロイド版でたっぷりお楽しみいただけます。アザーカットもお見逃しなく!
[プロフィール]
平野 良
ひらのりょう
1984 年 5 月 20 日生まれ、神奈川県出身。1999 年ドラマ『3 年 B 組金八先生』第五シリーズで映像デ ビュー。主な出演作は、バラエティ『戦国鍋 TV』、ミュージカル『テニスの王子様』『さよならソルシエ』『しゃばけ』『シラノ・ド・ベルジュラック』『憂国のモリアーティ』など。2017 年から「2.5 次元ナビ!」(日テレプラス)の MC をつとめる。
安西慎太郎
あんざい・しんたろう
1993 年 12 月 16 日生まれ、神奈川県出身。2012 年に青山円形劇場にて初舞台を踏む。主な出演作は、ミュージカル『テニスの王子様』2nd シーズン、舞台『もののふ
白き虎』『アルカディア』『幸福な職場』『四月は君の嘘』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『ゆく年く・る年冬の陣 師走明治座時代劇祭』『野球』『絢爛とか爛漫とか』など。
滝口幸広
たきぐち・ゆきひろ
1985年5月29日生まれ、千葉県出身。2004年ドラマ『ウォーターボーイズ2』でデビュー。主な出演作にミュージカル『テニスの王子様』、舞台『滝口炎上』、MANKAISTAGE『A3!』、ドラマ『仮面ライダードライブ』『不便な便利屋2016初雪』『戦国★男士』、バラエティ『戦国鍋 TV』『モテ福』『あさイチ』など。
原田優一
はらだ・ゆういち
1982 年 9 月 1 日生まれ、埼玉県出身。9 歳より TV、舞台、映画、ライブ、ダンス・イベントに多数出演。主な出演作に『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』『ラ・カージュ・オ・フォール』『マリー・アントワネット』などがある。『KAKAI 歌会』、オフブロードウェイミュージカル『bare』等、構成・演出活動に も積極的で好評を得ている。
[公演情報]
る・ひまわり×明治座 年末“祭”シリーズ
『明治座の変~麒麟にの・る~』
2019 年 12 月 28 日(土)~12 月 31 日(火)
明治座
演出:原田優一
脚本:赤澤ムック
出演:平野 良 安西慎太郎/神永圭佑 木ノ本嶺浩 大山真志/井阪郁巳 松田 岳 小早川俊輔 吉村駿作 土屋神葉/林 剛史 谷戸亮太 川隅美慎 二瓶拓也 井深克彦 中村龍介/加藤 啓 内藤大希(W キャスト)・原田優一(W キャスト) 椿 鬼奴/辻本祐樹/粟根まこと/凰稀かなめ(特別出演)
お問い合わせ:明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)