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ミュージカル『タイタニック』プレスコール&開幕
2013年に初演されたミュージカル『タイタニック』が、ブラッシュアップされた形で再演! 10月1日~13日@日本青年館ホール、10月17日~22日@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演となります。(取材・文/金井まゆみ)
NEWS & INFORMATION 2018 10/7 UPDATE
史実に基づいた壮大な歴史劇を描くミュージカル『タイタニック』は、初演時、トム・サザーランドの演出による群像劇が高く評価されました。今年もまた、観客は彼らと共にタイタニック号に乗船し、流麗な音楽と共に22名のキャストが紡ぎだす人間ドラマを目撃することでしょう。
10月1日の初日に先立って行われたプレスコールでは、まず演出のトム・サザーランド、そして出演者から挨拶が。その後、質疑応答、トムから作品およびプレスコールで披露される冒頭場面についての解説が行われました。
トム・サザーランド
みなさん、こんにちは。またこうして日本に戻って来られて、とても嬉しいです。
『タイタニック』をご覧になったことがある方も、こういう形で観るのは初めてだ、という気持ちになっていただけると思います。また日本に戻って来て、皆様にこの新しいバージョンの『タイタニック』をお見せできることがとても嬉しいです。今日は本当に特別な1日になります。どうもありがとうございます。
加藤和樹
設計士・アンドリュース役の加藤和樹です。3年前に初演して、今回再演という形で、キャストも半分くらい変わり、前回イスメイさんだった(鈴木)壮麻さんが船長になり、そして石川禅さんがイスメイさんになり。本当に、役者ひとりひとりの化学反応といいますか、役者の方も具体的に変わるなという思いをひしひしと感じております。そしてトムがこの3年間で自分自身も成長した、変わったんだと言っておりました。それを受けて良い化学変化が起き、まったく新しい『タイタニック』ができあがったと感じております。本当についさっきまで変更があったり、キャスト、スタッフ共大変な思いをしながら創りあげた作品でございます。ついに出航、という形になりますが、最後まで力を合わせて無事に航海を終えられるように精いっぱいがんばっていきたいと思います。
質疑応答
ーー加藤さんに質問です。2度目のアンドリュースということで、より深く感じているこの作品の魅力についてお聞かせください。
加藤 装置も少し変わりましたが、芝居自体すごくシンプルになったと思います。「ミュージカル」と言えば派手なイメージがありますけれども、より「シンプルに」と常に問いかけて。だからこそ、心情というか感情、芝居というものがよりぐっと深まったと思います。
ーー共演者の方との印象的なエピソードは。
加藤 毎回稽古の後に、椅子取りゲームのように皆で円になって椅子に座っていました。トムは、皆が遠いのが嫌で「近くに、近くに」と言うんです。家族のような温かさの現場なのは、トムがいたからこそだと思っています。
ーー「いろいろな変更があった」ということでしたが、今回の稽古で大変だったことは。
加藤 僕は大変じゃないです(苦笑)。オープニングの「出航」での早変わりだとか、(共演の)みんなの方が大変です。個人的に大変なことは、お客様が(客席に)入って来た時にはもう舞台にいること。今回も、それが(重要な)仕事だと思っています。
ーー鈴木壮麻さんにうかがいます。今回役を変えて(オーナーのイスメイ→スミス船長)の出演で、見える景色は変わりましたか?
鈴木 前回もイスメイは船長とアンドリュースと3人の場面が多かったんですけれども。力学的にイスメイにいじめられている自分を感じたりするのが、不思議な感覚でしたね。思わずイスメイのセリフが出てきそうになったりしたこともあります。船長なので、マードックとライトーラーという右腕たちを従えられるといいますか、ファミリー感があることも楽しいです。
トム・サザーランドから『タイタニック』について
最初に「『タイタニック』をやりたい」と思ったのは5年前、ロンドンでした。友だちや同僚と一緒にしゃべっている時に僕が「『タイタニック』のミュージカルをやりたいんだ」と話したんです。でも同僚たちには「そんな悲しい物語をミュージカルにできるのか?」と言われて。
僕はチャレンジが大好きです。「やる」だけじゃなくて、「22人だけでやってみせる」と言ったんです。世界最大の可動物の話を、1500人以上乗った船の話を、20人くらいでやってみせる。大事なのは、タイタニックそのものの完全なレプリカとしてお届けしたいわけではない。ミュージカルというのは実際にあったイベントを象徴的にお見せすることでもあるので、映画の中では伝えきれないような物語も、演劇という形をとれば伝えることができるんです。それがこの作品の最初のセクション「出航」に、すべて込められていると思っています。
この最初のセクションでは22人の役者が80人以上の人間を演じます。袖に走っては衣装を着替え、客席を通って衣装を着替え、また新しい人物として出てきます。それが、僕にはすごく大事なことなんです。同じグループの役者さんに一等客、二等客、三等客、そしてこの船を造った人々、この船に乗った人々を演じてほしかった。だから、あえて隠さない。同じ役者さんであると認識していただきたい。前田文子さんの素晴らしい衣装は、その人物がどういう人物か、そこがどういう場所であるかを一目で伝えることができます。そして伊藤雅子さんの素晴らしいセットによって、タイタニックの雰囲気が伝わります。その中で、皆様も一緒に乗船していくような気持ちになっていただければと感じています。
『タイタニック』の物語を見せるなかで、一番大事にしたいのが、乗船していく人々の夢、希望、そして野心。と同時に、タイタニックという船を造った人々の話でもあり、タイタニックに乗って救助をして、お客様に尽くした方々の話でもあります。タイタニックは「夢の船」として有名でした。「夢」「希望」「野望」はミュージカルにとって不可欠なものだと思います。『レ・ミゼラブル』でも「夢破れて」と、かつて見た夢を歌っていますよね。『屋根の上のバイオリン弾き』のテヴィエも「もし金持ちだったら」と歌って、夢の話をしています。『マイ・フェア・レディ』のイライザも、「ちゃんとした淑女になりたい」という夢をもっている。タイタニックには1522人の夢をもった人々が乗船しています。それを今からご覧いただきます。
『タイタニック』は僕が日本で初めて手がけたミュージカルです。そして「旅」についてのミュージカルですから、僕自身のロンドンから初めて日本という国に来た旅とそっくりです。飛行機に乗ってやって来て、知らない場所にたどり着いたけれども、たくさんの温かい人たちに迎え入れられて、素晴らしい作品を創ろうと皆で一丸となって創っていくことができた。日本でこうしてまたお仕事ができることは本当に光栄ですし、『タイタニック』を再演できることを本当に嬉しく思っています。
また、他出演者からの挨拶は以下の通り。
石川禅
イスメイ役をやらせていただきます、石川でございます。こんなに素晴らしい群像劇にトムの演出で、初参加させていただきました。この装置は床がフローリングで、木の板がずっと奥まで見えていますね。これが遠近法で(手前が)広がって、すごく奥があるように見えているんですけど、このパーツって、ひとつひとつ大きさが違うんです。それを何百枚も組み合わせてできあがっている。僕、これを見た時に本当に感動しました。素晴らしい舞台で皆さんとひとつの作品を創りあげる、大事な歯車のひとつとして皆さんにお届けできる、とっても良い一歩を、感動と不安と涙がもう……(苦笑)。この素晴らしい舞台、足をお運びいただければと思います。ありがとうございました。
藤岡正明
最近、本当に「労働者俳優」と呼ばれています(笑)。今回も最下層でボイラーマンとして、バレットという役で出演させていただきます。よろしくお願いします。
戸井勝海
一等客室給仕係、ヘンリー・エッチスをやらせていただきます戸井勝海です。一人一人の生き様をしっかりとお届けできるように、精いっぱいがんばっていきたいと思います。この後ちょっとだけやらせていただくシーンにはこの人(エッチス)はほとんど出てきませんけれども(笑)、裏役のピットマンもお楽しみください。
相葉裕樹
チャールズ・クラーク役の相葉裕樹です。生のライヴ感を皆さんと一緒に楽しみ、共有したいと思います。
津田英佑
マードック役の津田英佑です。船長の最強の右腕として任命されたわけですから、しっかりと船長をサポートし、この航海を無事に、滞りなく、到着させたいと思います。3年半ぶりですけれども、この2ヶ月間稽古して非常に楽しかったもので、あっという間でした。楽しみにしていた皆さん、どうぞ楽しんでください。
渡辺大輔
ジム・ファレル役の渡辺大輔です。初参加ですが精いっぱいがんばり、皆さんと楽しい時間を共有したいと思います。
上口耕平
ブライド役の上口耕平です。通信士として、皆様にしっかりとメッセージを届けたいと思います。
小野田龍之介
ライトーラー役の小野田龍之介です。3年ぶりにまたこの作品に携わることができて、嬉しく思っています。本日から丁寧に公演を進めてまいります。
木内健人
ハートリー役、木内健人です。すてきなカンパニーの一員になれて、本当に嬉しく思っています。最後までがんばります。
百名ヒロキ
ベルボーイ役の百名ヒロキと申します。『タイタニック』の世界を14歳のベルボーイとして元気に走り回っていきたいと思います。
吉田広大
フリート役の吉田広大です。今回初めて参加させていただくんですけれども、僕自身初のミュージカルで皆さんに感動をお届けできるように、全力で取り組みたいと思います。
栗原英雄
エドガー・ビーン役の栗原英雄です。うちの奥さん、きれいでしょ? 霧矢アリスを愛し続けたいと思います。それぞれ乗り込む人たちが問題や事情を抱えている、この人たちのドラマを楽しんでいただきたいと思います。
霧矢大夢
二等客のアリス・ビーン役を演じます、霧矢大夢です。お隣の栗原(英雄)さん演じるエドガーさんと夫婦でございます。素敵なカンパニーの皆様と、今回私初参加になりますけれども、いきいきとしたアリスを演じたいと思います。
菊地美香
キャロライン・ネビル役の菊地美香です。駆け落ちをするという熱い女性なんですけれども、愛することの尊さと愛されることの強さをまっすぐお届けしたいと思っています。ご期待ください。
小南満佑子
ケイト・マクゴーワン役の小南満佑子です。私も初参加となるのですが、素晴らしいキャストの皆様、スタッフの皆様に支えていただきながら、この船出を共にできることを嬉しく思っております。精いっぱいケイトを生きてまいりたいと思います。
屋比久知奈
ケイト・マーフィー役の屋比久知奈です。この作品に参加することができて、本当に光栄に思います。1日1日を大切に生きたいと思います。
豊原江理佳
ケイト・ムリンズ役の豊原江理佳です。今回初めてこのカンパニーに参加させていただけて、本当に幸せです。エネルギッシュな舞台を皆様にお届けできるようにがんばります。
須藤香菜
給仕係役をやらせていただきます、須藤香菜です。初演に参加させていただいて大好きなこの作品に、また出演できることを嬉しく思っています。
史実だと思えばなおのこと、涙なしには見られない秀逸な群像劇、ミュージカル『タイタニック』。ぜひ、ご自身の目で確かめてください。
ミュージカル『タイタニック』
脚本:ピーター・ストーン
作詞・作曲:モーリー・イェストン
演出:トム・サザーランド
出演:加藤和樹、石川禅、藤岡正明、戸井勝海、相葉裕樹、津田英佑
渡辺大輔、上口耕平、小野田龍之介、木内健人、百名ヒロキ、吉田広大、栗原英雄/
霧矢大夢、菊地美香、小南満佑子、屋比久知奈、豊原江理佳
/安寿ミラ、佐山陽規、鈴木壮麻
東京公演:2018年10月1日(月)〜10月13日(土)日本青年館ホール
大阪公演:2018年10月17日(水)〜10月22日(月)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト:http://titanic-musical.com/