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小出恵介主演『虹とマーブル』が開幕
倉持裕さん作・演出の新作舞台『虹とマーブル』が、8月22日より東京・世田谷パブリックシアターで開幕しました。8月21日に公開舞台稽古が行われ、稽古前に出演者が囲み取材に応じました。(文:千葉玲子)
NEWS & INFORMATION 2015 8/26 UPDATE
ストレートプレイ『虹とマーブル』は、戦後から経済大国へと成長していく、1960年代から80年代の日本が舞台。東京大空襲で両親を亡くし極貧で育った男・鯨井紋次(くじらい・もんじ)が、激動の時代に社会の底辺から成り上がっていく姿を描いています。
蜷川作品をはじめ精力的に舞台に立っている小出恵介さんが主演。紋次の人生を左右する2人の女性に、初舞台の黒島結菜さんと、倉持作品ではお馴染みのともさかりえさん。黒島さんは、中学生で紋次と出会って彼が立ち上げる芸能事務所で女優デビューし、やがて妻となる昭和のヒロイン。ともさかさんは、政財界の大物を顧客とするクラブのオーナー。紋次の腹違いの弟で、東京大学を経て弁護士になる切れ者を木村了さん、紋次の人柄に惹かれ、やがて紋次の片腕となるヤクザ者の男を小松和重さんが演じます。
舞台稽古前の囲み取材では、出演者一同が「キラキラしたお話です」と口をそろえました。「紋次があらゆる“高嶺の花”に手を出してしまう話です。昭和を感じられる、ダイナミックな楽しいお芝居になっています」(小出)、「紋次は、とにかく必死に金!金!金!と時代を邁進していく。熱さの中に哀しみと面白味があります」(ともさか)、「力強く進んでいく紋次の役柄と、昭和という時代がリンクするようなところがあります。キラキラの中に力強さも感じます」(木村)と語りました。
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』やカルピスウォーターのCMで知られる黒島さんは、弱冠18歳。「緊張もありますが、楽しみのほうが大きいです。これから本番が始まってお客さまに観てもらえるという、わくわくした気持ちです。稽古もすごく楽しかったですし、舞台の基本的なことから皆さんに色々と教えていただいて、皆さんと一緒の初舞台で本当に良かったです」と、カンパニーに溶け込んでいる様子。
小出さんは24歳から42歳まで、他の登場人物も、30年近い半生を約2時間半の芝居で演じ分けます。「紋次は、石原裕次郎さんや勝新太郎さんのような豪快な印象があります。僕自身、昔の俳優さんが好きなので、そういったイメージを取り入れられたら」と役作りの参考にした人物を明かしました。
また、紋次に共感する部分があるかとの問いに、「紋次は女性を振り回す部分があるんですが、そういうのは身に覚えが…いや、イメージできるかな?って感じですね(笑)」と答え、会場からどよめきが。「最後に黒島さん演じる蘭から、あるセリフを言われるんですが、そのセリフを聞いてると役と自分が交錯するときがあって…」と続けると、「言われたことあるの?」(ともさか)、「ごまかせてないですね(笑)」(木村)、と共演者からツッコミが入る一幕もありました。
『虹とマーブル』は、倉持裕さんの力強い新作。ともさかさんと小松さんの助演が作品を支え、小林高鹿さん、ぼくもとさきこさん、玉置孝匡さんが、時代ごとの象徴的な役柄を何役も演じ分けながら、客席との距離を縮める役割も担います。そして、紋次の最後までブレない男っぷりに惚れ惚れしました。 人生は選択の連続です。愛か金か。無茶するのか、しないのか。甘えるのか甘えないのか。誰かのせいなのか、俺のせいなのか…。そして数々の選択の結果、誰とどんな景色を見るのか。そんなことを思い巡らせながら帰途につく作品でした。登場人物たちがどんな景色を見たのか、皆さまも劇場でお確かめください。
M&Oplaysプロデュース
『虹とマーブル』
作・演出:倉持裕
出演:小出恵介 黒島結菜 木村了/小林高鹿 ぼくもとさきこ 玉置孝匡/小松和重 ともさかりえ
日程:8月22日(土)~9月6日(日)
会場:世田谷パブリックシアター
※島根、広島、福岡、宮城、大阪、愛知、静岡でも公演あり。
詳細はhttp://mo-plays.com/nijimarble/をご覧ください。