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『悼む人』ゲネプロ&囲み会見

天童荒太さんの直木賞受賞小説『悼む人』が向井理さん主演、堤幸彦さん演出で完全舞台化。初日に先立って行われた会見と、公演の模様をレポート!

(取材・文/大原薫)

NEWS & INFORMATION 2012 10/25 UPDATE

全国を放浪して死者を悼む旅を続ける青年、坂築静人。生と死、罪と癒しを描く作品をわずか5人の出演者で描き出す舞台『悼む人』。

公演初日直前のゲネプロを前に、出演者の向井理さん、小西真奈美さん、手塚とおるさん、真野恵里菜さん、伊藤蘭さん、演出の堤幸彦さんによる会見が行われました。

「小説を読んで『これがやりたい』と思ったときに、真っ先に向井君の顔が浮かんだ」という堤さんの熱いラブコールに応えて、2度目の舞台出演を決意した向井さん。

「まだ迷っているところがあります。でも、確立されたキャラではないので、その迷いを抱えたまま、答えを見つけないでやっていけばいいかなと思っています。周りの人が静人をどう見るかということが、この物語の根幹。皆でこのお芝居を作っていければいいなと思っています」(向井)

静人と行動を共にする女性、倖世を演じる小西さん。今回が8年ぶりの舞台となります。

「今は自分のことで精一杯。8年ぶりということもそうだし、いきなり出てきてたくさんしゃべる。しかも女性の声も男性の声も出さないといけない役なので、大変です」(小西)

と大変さを訴える小西さんに対して、週刊誌記者の蒔野役の手塚さんは

「毎日、非常に楽しく過ごしてますよ!」(手塚)

と語って、余裕の表情(?)。

静人の妹、美汐を演じる真野恵里菜さんと、母、巡子を演じる伊藤蘭さん。

「子供を身ごもる役で、稽古でも毎日悩んでました。皆さんの演技が本当に素晴らしくて、私一人が置いていかれるのではないかという焦りもあって……。でも、毎日がとても勉強になるし、この舞台が終わるころには『顔つきが変わったね』と言われるようになりたい」(真野)

「私は病身でありながらもどこか潔くて強いお母さんをやらせていただいています。向井さんは、情熱とピュアなところを持った男性という静人にぴったりだなと思って。そういう素敵な俳優さんの母親役をやらせていただいて嬉しく思います」(伊藤)

今回の公演は全国11か所で巡演。日本中を旅する静人と同様に、『悼む人』も旅を続けることに。

「北海道から福岡まで本当に旅をしていけるので、その中で自分も変わっていけたら面白いなと思います」(向井)

「地方での楽しみは?」という質問には、間髪いれず

「食べ物とお酒です!」(向井)

と即答しました。

生と死がテーマとなっている舞台。「歩いていても、ガードレールに立向けられている花が気になるようになりました。『そこでどういう人が……』と妄想するようになった」という向井さん。「理想の人生の終わり方は?」という質問に

「『幸せだった』といえればいいかな。自分に嘘をつきたくないので、納得した人生を送りたい」

と答えると、堤さんと手塚さんから

「向井君、本当にかっこいいですよ!」

と声が上がります。カンパニー全員の息の合った雰囲気が伝わる会見でした。

★公演レポート

静人はなぜ、あらゆる死者を悼む旅を続けるのか……?

観客はその謎を追っていくうちに、静人と共に心の旅をすることになります。

そこで登場するのは、静人を取り巻く四人の人物。

静人と偶然出会った、週刊誌記者の蒔野(手塚さん)。彼の行動に関心を持ち「何か裏があるに違いない」と静人の謎を暴こうとします。

夫を殺し刑期を終えたところで再び戻ってきた殺人現場で、夫を悼む静人と出会った倖世(小西さん)。彼女はやがて、静人の悼みの旅に同伴するように。

かつて交際していた人の子供を身ごもっている静人の妹、美汐(真野さん)。

末期がんを患いながらも、静人の身を案じる母、巡子(伊藤さん)。

この四人の人たちはそれぞれに「悼む人」静人と向かい合い、彼の謎を追い求めていきます。五人の思いが絡み合ううちに、やがて静人にも変化が……。

多くの謎が提示される1幕、そしてクライマックスへと向かっていく2幕。

大森寿美男さんによる脚本は多くの登場人物が出てくる原作の中から五人に絞り込んで物語を綴ります。

生と死をテーマとする舞台ですが、描き方は決してウェットなものではありません。舞台上にスタイリッシュな写真が映し出されるなど、堤幸彦さんらしいどこか乾いた感覚が作品の随所に現れています。また、全国を旅する静人を象徴するように、客席通路を通る場面も多用。冷静な目を持った堤さんだからこそ、彼らの生きざまがしっかりと表されているのでしょう。

向井理さんは繊細な心の揺れを一つ一つ丁寧に描き出すことで、静人の内面に迫ります。狭い歩幅で引きずるような歩き方からも、静人の歩んできた道のりが表現されていることに注目。非常に誠実に役柄と見つめ合っているのが伝わる舞台で、「役者・向井理」を鮮やかに印象付けました。

殺した夫の霊を身内に宿しているという難役に挑んだ小西さん。手塚とおるさんはインパクトのある演技で静謐な静人と対照的な蒔野像を作り上げました。最初は静人に反発しながらも、子供を身ごもったことをきっかけに徐々に変わっていく心情の変化を見せた真野さん。そして、深い母親の愛情を豊かな情感で演じた伊藤さん。この五人が織りなす世界から、生と死、そして愛と赦しが浮かび上がってくるのです。

『悼む人』は1019日~28日までパルコ劇場にて、その後全国11か所で巡演されます。

[公演情報]

『悼む人』

10月19日(金)~10月28日(日) パルコ劇場
原作:天童荒太(「悼む人」文春文庫刊)
脚本:堤 幸彦
出演:向井 理 小西真奈美 手塚とおる 真野恵里菜 伊藤 蘭
公式サイト●http://www.parco-play.com/web/play/itamuhito/index.html

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