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スタジオライフ×ロック×鏡花!?

泉鏡花の傑作戯曲『天守物語』を初上演するスタジオライフ。公演を記念して、美術・衣裳を担当する宇野亞喜良さん、テーマ曲を担当するBUCK-TICK今井寿さんとのトークイベントが開催されました。

(取材・文/大原薫)

NEWS & INFORMATION 2012 4/26 UPDATE

美しき妖怪、富姫が棲むという白鷺城の天守閣。訪れた人が生きて帰ったことはないというその場所に鷹匠、姫川図書之助が現れた……。妖怪と人間の禁断の愛を描く泉鏡花の『天守物語』をスタジオライフが舞台化します。宇野亜喜良さんは『夏の夜の夢』『十二夜』に続いて、スタジオライフは二度目。BUCK-TICKの今井寿さんは舞台音楽に初参加です。

代表の河内喜一朗さんは「美術の宇野さん、音楽の今井さんとタッグを組んで、どんな『天守物語』ができるのか、当事者なんだけれど胸がワクワクしている。これまでにない作品に創り上げていきたい」と力強くご挨拶しました。

上演台本・演出の倉田淳さんは大学の卒業論文が泉鏡花、鏡花作品が上演したくて演劇界に入ったほどの鏡花好きとのこと。「今まで『夜叉が池』『海神別荘』を上演してきたが、あの美しい日本語をお客様とどう共有していくのか苦労しました。宇野さんの自由な発想と、今井さんの繊細で痛みを感じながらもアグレッシブな反骨精神にあふれた音楽に力をいただきながら、取り組んでいきたい」と、熱い思いを語りました。

続いて、美術・衣裳の宇野亜喜良さんとテーマ曲を担当するBUCK-TICKの今井寿さんが登壇し、倉田さん司会によるトークイベントが開催されました。

まず、今井さんが『天守物語』のテーマ曲を担当することになったきっかけは、宇野さんから今井さんに声をかけたとのこと。

今井 宇野先生とのお付き合いは、BUCK-TICKのアルバム(『RAZZLE DAZZLE』)のジャケットの絵を描いていただいてからですね。

今井 もともと宇野先生の作る世界が好きだったんですが、アルバムを作り終えたときに宇野先生の絵がぴったりだと思ってお願いしたんです。最初にお会いしたときは緊張してしまって話せませんでした(笑)。でも、気さくに接して下さって。

宇野 絵のイメージで神経質で気取ってるように見られがちですけど、むしろ逆なんです(笑)。今井さんはとてもステージがいい。お会いしたときもロックの人特有の魅力がありました。

倉田 今井さんに『天守物語』の音楽をと思われたのは?

宇野 ライフって厳粛でシリアスな劇団かと思っていたけれど、『夏の夜の夢』『十二夜』を見たら、お客様をひきずりこんでいくような面白さがあった。それで、『天守物語』の話になったとき、今井さんならきっと面白がってやってくれるだろうと思ったんです。怪奇幻想で異形のものがたくさん出てくる芝居に、今井さんのエネルギッシュな音楽が入るととても面白い舞台になると思う。

今井さんはスタジオライフの前回公演『OZ』を観劇したとのこと。

倉田 男性だけで上演するということはいかがですか?

宇野 演劇は虚構。男性ばかりがやることによって、いろんな奇抜な面白いアイディアが盛り込めると思う。

今井 『OZ』を見たときは、最初は違和感というか『どうなんだろう?』って(笑)。でも、見ている内に微妙な(心の)ぶれが生じてきて、『これでいいんだな』と思うようになりましたね。

宇野 スタジオライフは男性が女性を演じても、女性に近づくことで発生するナルシズムがない。わりと乾いてますよね。あくまで男であって、形而上的に女を演じる。物理的に女を演じさせないという演出方針がなかなか面白いなと。

今回の天守物語では「異形のものがこれほど多く出てくる作品はないから、それらをデザインするのが楽しみ」と語る宇野さん。テーマ曲に関しては「誰もが知ってるけれども、誰もが聞いたことがない『とおりゃんせ』」とお願いした(注・『天守物語』冒頭で『とおりゃんせ』を女童が歌う設定になっている)そうで、「楽しんで作っています、今、形になっているのが2、3曲ある」と今井さんは語りました。

続いて、出演者を代表して、及川健さん、岩崎大さん、荒木健太朗さん、松本慎也さんが登場。

及川健さん(富姫/Quartzチーム)

「以前出演した『天守物語』では富姫を松坂慶子さん、私が亀姫を演じました。この度、富姫を演じさせていただくということで、亀姫からすごい出世だなと(笑)。スタジオライフの新しい試みにご期待下さい。まだ役作りについてはあまり考えていなくて、さっきも大ちゃん(岩崎)と『衣裳がミニスカートだったらどうしよう』とか話していたんですが(笑)。和テイストの『天守物語』をこれから探していくのが楽しみです」

岩崎大さん(富姫/Jadeチーム)

「歌舞伎など伝統的な表現方法で演じられることが多い『天守物語』ですが、今までにない、スタジオライフならではのものになると思う。気合いを入れて演じたいと思います。富姫は、人間ではなく妖怪の白鷺城の城主。人間と妖怪の違いということを今考えています。妖怪という忌み嫌われるものを演じるけれど、本当に嫌われるためだけの存在なのか、どうか…? 富姫のバックボーンを作って演じられたらなと思います」

荒木健太朗さん(図書之助/Quartzチーム)

「こんにちは! 僕自身スタジオライフ出演が2年ぶり。それもメインキャストで泉鏡花作品と、期待と不安がありますが、及川さんと二人で作っていきたいと思います。僕は『天守物語』は出会いと出発の間にある過程のお話だと思っています。図書之助は(今まで人が訪れて、生きて帰ってきたことがないという)天守閣に上ることを認められた唯一の人間なんですよね。最初に登場したときに『あ、この子だったら天守閣に上っても大丈夫』とお客様に思っていただけるような説得力をもって演じたい」

松本慎也さん(図書之助/Jadeチーム)

「昨年の『夏の夜の夢』『十二夜』に引き続いて宇野さんとご一緒できるということ、そして今回は今井さんに作品を貫くテーマ曲を作っていただけるということで、今は出演者としてだけでなく一ファンとして楽しみにしています。お二人の力をお借りして、皆さんに楽しんでわかりやすく見ていただける新しい『天守物語』を目指したい。封建的な世界を信じていた図書之助が、富姫と出会って本当に大切なものを見つけていく。その変化の過程を大事にしたい。純粋な愛の世界をまっとうできるように努めていきたいと思います」

スタジオライフ公演『天守物語』は6月9日~24日東京・紀伊国屋ホールにて、6月30日~7月1日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演されます。

 

[公演情報]

スタジオライフ公演『天守物語』

6月9日〜24日 東京・紀伊国屋ホール
6月30日〜7月1日 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
作:泉鏡花
上演台本・演出:倉田淳
美術・衣裳:宇野亜喜良
テーマ曲:今井寿
出演:及川健、岩崎大、荒木健太朗、松本慎也、林勇輔、曽世海司、青木隆敏、牧島進一、関戸博一、緒方和也、神野明人、原田洋二郎、織田和晃、鈴木智久、倉本徹、山崎康一、石飛幸治、藤原啓児、河内喜一朗ほか
問い合わせ:スタジオライフ 03-3319-5645(平日12:00~18:00)
http://www.studio-life.com/

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