インタビュー & 特集

SPECIAL! スタジオライフ『GREAT EXPECTACIONS-大いなる遺産-』開幕! part.2

2015年に創立30周年を迎える男優劇団スタジオライフ。記念公演の第一弾となる『GREAT EXPECTACIONS-大いなる遺産-』が開幕。ロンドンで2013年に上演されたジョー・クリフォード版を日本初上演することでも注目される。
(写真/Yukari Watanabe 文/大原 薫)

INTERVIEW & SPECIAL 2015 1/1 UPDATE

part.1より続く)

ヤングピップを演じるのは関戸博一さん(Sチーム)と松本慎也さん(Bチーム)。男性役では初主役となる関戸さんはピップの心理の変遷を丁寧に追い、主演経験の多い松本さんは彼の内なるドラマを際立たせる役作りで、それぞれのピップ像を作り上げた。ピップの笠原浩夫さんは台詞がない場面でも常に舞台上に存在しなければいけないという難役を演じ、終幕の姿は感動的。

美しく冷たいエステラは青木隆敏さん(Sチーム)が氷のような美少女姿を見せ、本公演でヒロイン役は初の久保優二さん(Bチーム)はエステラの心の奥にある揺れを素直に見せているのが初々しい。ミス・ハヴィシャムは役を作り込んで見せる倉本徹さん(Sチーム)と、独特の雰囲気で世界を作り上げダンスのステップを踏むところも印象的な山本芳樹さん(Bチーム)。

鍛冶屋のジョーは、ピップとの関係性を大事に演じた仲原裕之さん(Sチーム)と大らかな人柄が魅力的な奥田努さん(Bチーム)。物語のキーとなる脱獄囚マグウィッチは船戸慎士さん(Sチーム)石飛幸治さん(Bチーム)共に迫力のある舞台を見せ、山崎康一さんのジャガーズは、職業的に求められる冷静さの奥に彼の人間性が覗き見える好演。劇団新代表となった藤原啓児さんはウォブスル役で、軽快に物語を進行する。

なお、この公演は今年6月に亡くなったスタジオライフの代表、河内喜一朗さんの追悼公演でもある。御存命中に河内さんは『大いなる遺産』の上演を決定。パンフレットには「『大いなる遺産』はその原題Great Expectationsが示唆するように、偉大なる“希望”の物語であります。この物語では狂気と厳しい現実と繰り返される落胆が混ざり合っています。それでもこれは、「決して失われない希望」の物語なのです」と河内さんの上演に寄せる思いも掲載されている。
ちなみにExpectationsの言葉には、「遺産」の他に「希望」という意味もある。
劇団30周年に向けて劇団員が一丸となり「希望」を持って舞台を創り上げることが、河内さんが遺された「大いなる遺産」ではないだろうか。

B(Bowlerhata)チームの舞台写真(画像クリックで拡大)

【公演データ】

スタジオライフ公演
『GREAT EXPECTATIONS0-大いなる遺産-』
2014年12月18日~2015年1月12日 シアターサンモール
原作:チャールズ・ディケンズ
脚本:ジョー・クリフォード
上演台本・演出:倉田淳
翻訳:阿部のぞみ

ダブルキャストのS(Silkhat)チームとB(Bowlerhata)チームでの上演(※公演日程後半には、S、Bチームに加えてC I~IVのクロッシングキャストでの公演)

詳細は以下の公式サイトをご確認ください。
スタジオライフ公演『大いなる遺産』公式サイト


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