インタビュー & 特集

INTERVIEW! 『ヴェローナの二紳士』上原理生さん

シェイクスピアの喜劇をミュージカル化した『ヴェローナの二紳士』が、宮本亜門さん演出で上演されます。パワフルなキャスト&演出で盛り上がっているという稽古。エグラモー役で出演する上原理生さんに作品への意気込みや、ミュージカルデビュー4年目の今のお気持ちなどを伺いました。(文/小野寺亜紀、撮影/熊谷仁男)

INTERVIEW & SPECIAL 2014 12/6 UPDATE

シェイクスピア初期の傑作喜劇をベースに、ニューヨークの野外劇場で現代的なロック・ミュージカルとして上演された『ヴェローナの二紳士』。1972年トニー賞の最優秀作品賞と最優秀脚本賞を獲得、2005年NYの再演も話題を呼んだミュージカルが12月7日、日生劇場で開幕します。宮本亜門さん演出、豪華なキャストで新しく生まれ変わる舞台に、シルヴィア(霧矢大夢さん)の恋人役で出演するのが歌唱力抜群の上原理生さんです。

――ミュージカル『ヴェローナの二紳士』は音楽が『HAIR』のガルト・マクダーモットさんですが、どんな魅力がありますか?
音楽はバラエティーに富んでいてラテンの一面もあり、みんなで楽器を演奏したり歌ったり踊ったりと、すごく面白い作品になっていると思います。とにかく“ラブ”がいっぱい詰まった作品ですね。ファーストラブから最終的なラブまで色んな形のラブがあって。西川貴教さんが演じられるプロテュースが、島袋寛子さん演じるジュリアに恋心を抱いているんですけど、一生懸命手紙を書いて「読んでください!」と渡すと、それを破り捨てられて「ひどーい!」と泣いちゃったり(笑)。胸が高鳴る気持ち、恋が実った嬉しさ、いろんな人の感情が描かれています。

_DSC5909――“ヴェローナ”と言えば、上原さんが2011年にティボルトを演じられたミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の舞台もヴェローナでしたね!
そう! 縁があるなと思います。シェイクスピア作品のイメージって、ダークというか人間の本質に迫るようなところがあるけれど、この作品は毛色が違う感じですよね。原作も言葉遊びがたくさんあり、恋とか愛に振り回されながら一生懸命にもがいて生きている人たちが登場し、純粋に「面白い!」と思いました。

――もともと宮本亜門さんがこのミュージカルの演出を切望されていたそうですね。
はい。亜門さんは実際にブロードウェイに行かれてあちらのスタッフたちとも話され、「オリジナルは全然気にせず、好きなようにやってもらっていいから!」と言ってもらったそうです。「時代を反映させる作品」だそうで、初演はベトナム戦争の世相が盛り込まれたようです。亜門さんは「2014年の今を反映させて作っていこう。みんなもどんどん案を出してください!」と。亜門さんとは初めてご一緒させていただきますが、ぜひ“亜門さん色”に染まりたいです。亜門さんの演出はいい意味でクレイジーだし、すごくキラキラしたものが心の中にある印象なので、それに触れたいなという思いです。

――上原さんが演じられるエグラモーはどんな役ですか?
西川さん、堂珍(嘉邦)さんが演じられる男性二人が恋する相手、シルヴィア(霧矢大夢)の恋人という設定です。原作を読むとミラノにいる紳士で眉目秀麗で勇敢で礼儀正しく。

――ナイトみたいな感じですね。
そうなんですよ、アララと思いました(笑)。シルヴィアのことを想いながら、いったん戦地に送られてまた戻ってくるんですけど、「ようやく帰ってきたよ、会えたよ」という想いを歌う、シルヴィアとのデュエットがあります。声を張り上げるような派手な曲ではないけど、二人の旋律が絡み合うような情熱的な歌です。

_DSC5895――今作はとても歌の巧いキャストが揃われた印象があります。
先日、西川さん堂珍さん島袋さんの三人が出られているシーンの稽古を見ていたんですけど、プロのヴォーカリストの方は歌への感情の乗せ方がすごくストレートで巧いなと思いました。スッと感情のまま歌に入っていくというか。今まで自分が携わってきたミュージカルでは、歌はしっかり身体に入れつつお芝居からアプローチして歌う、という印象があったのですが、それとはまた違うアプローチを見たようで、とても勉強になりました。

――上原さんは東京藝術大学声楽科をご卒業後、クラシックの世界でも活躍され、2011年に『レ・ミゼラブル』アンジョルラス役でミュージカルデビューを果たされました。まだミュージカル4年目とは思えないご活躍ぶりです!
実はそう、4年目なんです(笑)。ありがたいことだと思います。歌に関しては、クラシックの歌、オペラアリアを歌うにしても、楽譜の読み方が変わってきました。フォルテやピアノといった記号以上に、「この登場人物は今どういう心境でこの歌詞を歌っているんだろう、この音楽をどう表現したいのかな」と考えるように。音楽的なアプローチとお芝居の感情とをすり合せていく作業がすごく楽しくなってきました。歌うことがさらに面白くなってきましたね。

――声楽家としての顔も持たれ、今後どのような活動をお考えですか?
声楽家としてのリサイタル、やっぱりコレが僕の原点だと思っています。マイクを使わないナマで歌うクラシックは、ミュージカルをやるうえでもとても役に立っています。これからもその活動は続けていきたいです。そしてやはり歌が武器というか、それがないと僕ではないだろうし、さらに磨きをかけ、ミュージカルの作品に出させて頂けたらいいなと思います。僕は市村正親さんみたいになりたいんですよ。歌も上手でお芝居も素敵で、そういう人になりたいです。

――2014年は『ミス・サイゴン』再演などもありましたが、どんな1年でしたか?
『ミス・サイゴン』では2年前とはまた違った見方でジョン役に向き合うことができ楽しかったです。TSミュージカル(ファンデーション)『ちぬの誓い』ではちょっと頑張って踊ったりもして(笑)、オリジナル・ミュージカルに取り組む新鮮さがありました。その作品でご縁があった玉麻尚一さんに曲を書いていただき、自分で詞をつけて、初めてのソロライブでオリジナル曲を歌うということも実現しました。新しいことに挑戦できた1年でしたね。

★上原理生さんからのメッセージです★

プロフィール うえはら・りお
1986年10月29日生まれ、埼玉県出身。東京藝術大学声楽科卒業。在学中より『ドン・ジョヴァンニ』等、オペラ、オペレッタに出演。2009年東京藝術大学同声会賞・アカンサス賞受賞。2011年『レ・ミゼラブル』アンジョルラス役でミュージカルデビュー。その後、『ロミオ&ジュリエット』、新演出版『ミス・サイゴン』など人気ミュージカルに次々と出演。声楽家としても毎年リサイタルを開催するなど幅広く活躍。

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【データ】
ミュージカル『ヴェローナの二紳士』
2014年12月7日(日)~28日(日) 日生劇場
2015年1月10日(土)~12日(月・祝) キャナルシティ劇場
2015年1月17日(土)・18日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
2015年1月23日(金)~25日(日) 梅田芸術劇場メインホール

上演台本・演出・振付:宮本亜門
脚色:ジョン・グエア&メル・シャピロ
歌詞:ジョン・グエア
音楽:ガルト・マクダーモット
原作:ウィリアム・シェイクスピアの戯曲
ブロードェイ公演製作:ニューヨーク・シェイクスピア・フェスティバル
           (プロデューサー:ジョセフ・パップ)
ブロードウェイ初演演出:メル・シャピロ
編曲:ガルト・マクダーモット、ハロルド・ウィーラー
出演:西川貴教、堂珍嘉邦、島袋寛子、霧矢大夢、武田真治、伊礼彼方、上原理生、坂口涼太郎、斉藤暁、ブラザートム、保坂知寿、他
詳しくは公式HPへ http://www.tohostage.com/verona/index.html

 


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