インタビュー & 特集
INTERVIEW! コンドルズ『GIGANT~ギガント~』近藤良平さん
個性豊かな学ラン姿の男たちによるダンスカンパニー・コンドルズが、夏恒例の全国ツアーで新作『GIGANT~ギガント~』を上演します。主宰の近藤良平さんは振付家・ダンサー・役者としても幅広く活躍。最近ではサッカー日本代表公式応援ソング、ウカスカジーの『勝利の笑みを 君と』ミュージックビデオの振付も手掛け話題になっています。独自のユニークなスタイルで幅広い世代の心をつかむ近藤さんに、お話を伺いました。(取材・文/小野寺亜紀、撮影/大東佐和子)
INTERVIEW & SPECIAL 2014 7/15 UPDATE
――コンドルズの新作『GIGANT~ギガント~』は『ガリバー旅行記』をモチーフにした作品だそうですね。
『ガリバー旅行記』ってわけの分からない旅とか、色んなものに巡り合うというイメージがあって、コンドルズっぽいなと思いました。今回は世田谷区の「こどもプロジェクト」というのから始まっている公演なんです。だからいつも以上に子どもも楽しめる舞台をということで、各公演地で小中学生向けのワークショップをします。そして僕たちの公演の前座で、彼らに「小さなコンドルズ」をやってもらおうと思ってます。15分ぐらいの間にきちんと起承転結のあるものを…。我々のやっている面白さを子どもたちにも知ってほしいという思いがあります。
――15分って結構長いですね。
でもダンスの経験はなくても大丈夫。コンドルズなんでね(笑)、ビシッと揃った踊りを求めてるわけじゃないので。コントもやってもらう予定です。子どもたちだけでやることに意味があるので、僕らはそこには出ないですよ。
――近藤さんは以前にNHK教育テレビの子ども番組の中で「こんどうさんちのたいそう」を踊られたり、メンバーの小林顕作さんは今もNHK番組「みいつけた!」のオフロスキー役を務めて人気です。コンテンポラリーダンスの枠を超えた活動で、幅広い世代の方が舞台を観に来られてますよね。
ちょうど僕と同じ世代のお母さんたちも観に来てくれるからね。コンドルズは今年18年目だけど、こうして続けてこられたのは良かったなと思います。メンバーともツーカーな部分があります。僕は突発的にシーンを作り始めるんだけど、そういうことに付いてきてくれるという点で皆優秀です(笑)。「良平が今何を考えているのか、ここはオカマちっくなシーンにしたいのか、真面目に険しく踊るシーンにしたいのか」って。作っている僕も分からなくなることがあるけど、皆は理解してくれます。あと「ここは大人数のシーンにした方が面白い」とか、そういう話し合いは一杯しますね。
――今回も生演奏やコント、人形劇などを盛り込まれるのですか?
はい、それはいつもと変わりません(笑)。ただ、何か面白い仕掛けを考えなくちゃと思っているけど、詰めていくのはこれからだね。コンドルズの舞台に色々な要素を盛り込むのは昔からです。例えば影絵なんかも、東南アジアとかで高度なものがあるでしょ。それをきちんと勉強せずにやるのが面白くて。影絵専門の方たちから見たら許せないようなことを、恥ずかしげもなくやるのがコンドルズ。ダンスも同じで、「それは卑怯だろう?」みたいなことも舞台に乗せて、ガクラタみたいに積み上げていくのが僕たちの舞台ですね。
――ダンスで特にこだわっていることは?
僕が振り付けるときはどんなものも材料になるし、日常的な動きがベースにあります。一生懸命身体を動かすということよりも、身体を通して潔く見せるとか、そちらの方に興味があります。ダンサーとしては跳躍できる限りは跳躍したいね、やっぱり。
――新しいメンバーも入って来られましたね。
香取直登くん。彼がまた踊れるんだ! 芝居心のあるダンサーで背が高いイケメン系。他のメンバーとだぶらないところがいいでしょ。まだ新しい安田有吾は書楽家だし、いろんな経歴のメンバーが集まっています。面白いところでは、古賀剛はドイツのIT関係の企業の日本支部の社長なんだよ。ものすごい優秀。よく本番前まで「うわー、2億はまずい」とかいう電話をしてるんだ。そんなダンサーいないでしょ(笑)。
――そういうメンバーのバラエティー感が舞台にも出ていますよね(笑)。
そうそう(笑)。コンドルズの舞台は“アンバランス感”が面白いと思うし、均等でないのを良しとしているので。
――近藤さんは振付家としても活躍され、最近ではサッカー日本代表公式応援ソング、ウカスカジーの『勝利の笑みを 君と』ミュージックビデオの振付もされました。
あれは最高に楽しかった! ウカスカジーの桜井和寿さん(Mr.Children)もガクさん(GAKU-MC)も僕も、サッカーが好きなんですよ。スタッフも含めてサッカーを応援しようという気持ちのある人が集まって、楽しもうという思いが現場に溢れてました。あれはリップダブといって口パクで歌う撮影方式で、1テイクで収録したんです。500人ものエキストラさんが参加し、最初は皆カメラが来るとどうしてもよけちゃったりするので、「よけないで!もっと前へ!」とリードして。そういう空気感へもっていくことを徹底してやりました。コンドルズのメンバーも出演し、皆で手分けしてシュミレーションしたのがまた面白かった。久しぶりにいい仕事をしたな、と思いました。
――あの世界観は近藤さんらしいですよね。
僕の振付は、愉快になる動きを意識しているというか、必然的にそうなるからね(笑)。コンドルズにとっては夏の全国ツアーは一番大きいイベントなので、ぜひコンドルズを観たことがない人にも来てほしいです。間違いなく面白い舞台になると思う。そのためにもこれからシーンをガンガン作っていきます。
プロフィール
近藤良平(こんどう・りょうへい)
コンドルズ主宰。振付家・ダンサー。
’68年、東京生まれ。父の仕事の関係で幼少時をペルー、チリ、アルゼンチンで過ごす。’96年にダンスカンパニー・コンドルズを結成。現在までコンドルズの舞台の構成・映像・振付を手掛けている。’04年第4回朝日舞台芸術賞・寺山修司賞を受賞。NHK教育『からだであそぼ』内の「こんどうさんちのたいそう」、NHK総合『サラリーマンNEO』内の「サラリーマン体操」でも人気を博す。テレビや映画、CM、PVなどの振付多数。三池崇史監督映画『ヤッターマン』、NHK朝の連続テレビ小説『てっぱん』など。’13年は国体開会式式典演技の総演出も手掛けるなど幅広い。野田秀樹作・演出『THE BEE』で鮮烈な役者デビューも果たす。全国各地でワークショップを行い、横浜国立大学で非常勤講師を務めるなど、ダンスの指導も積極的に行っている。
公演データ
コンドルズ 日本縦断大進撃ツアー2014
『GIGANT~ギガント~』
構成・映像・振付:近藤良平
出演:青田潤一、石渕 聡(映像出演)、オクダサトシ、勝山康晴、香取直登、鎌倉道彦、ぎたろー、古賀 剛、小林顕作、スズキ拓朗、田中たつろう、橋爪利博、平原慎太郎、藤田善宏、安田有吾、山本光二郎、近藤良平
7月19日(土)静岡市民文化会館(静岡)
7月21日(月・祝)高岡市民会館(富山)
7月24日(木)~27日(日)世田谷パブリックシアター(東京)
8月3日(日)穂の国とよはし芸術劇場(愛知)
8月23日(土)松下IMPホール(大阪)
8月28日(木)アステールプラザ(広島)
8月30日(土)~31日(日)イムズホール(福岡)
学ラン姿の男たちによるダンスカンパニー・コンドルズ。重力を感じさせないハイスピードなダンス、爆笑を誘うシュールなコントや人形劇、生演奏など、様々な要素を盛り込んだエンターテイメントは世界30カ国以上で上演され、ニューヨークタイムズ紙も絶賛した。『ガリバー旅行記』をモチーフにした新作では、オープニングアクトに子どもたちが登場する予定。
コンドルズ公式HP http://www.condors.jp/