インタビュー & 特集
INTERVIEW! 相葉裕樹さん×池田鉄洋さん『BACK STAGE』(1)
本番中の劇場にひたひたと異変が迫る。実は、宇宙人に劇場を乗っ取られた……!? 舞台と地球の平和を守るため、裏方スタッフが立ち上がる!
奇想天外なストーリーの新作コメディ『BACK STAGE』がシアタークリエ他で上演される。「大成功か、大失敗しかないチャレンジです(笑)」という池田鉄洋さん(作・演出・出演)、「どんな無理難題にも応えていきたい」と気力も十分な相葉裕樹さん(主演)に、稽古が始まる前の4月にお話を伺った。
(写真/熊谷仁男 取材・文/大原 薫)
INTERVIEW & SPECIAL 2014 5/30 UPDATE
●あらすじを読んで「……ええっ」と驚いてしまったのですが(笑)。
池田 この企画が通る時点であり得ないですよね(笑)。オリジナルでこんなに荒唐無稽な話、大成功か大失敗しかないチャレンジだと思います。相葉さんもよく出演オファーを受けたなと思って(笑)。
相葉 受けますよ、こんなチャンスはめったにないですから。
池田 ご自身で出演を決めたきっかけは?
相葉 コメディに挑戦したいという気持ちが第一。それにイケテツさん(池田)が作・演出ということでぜひ出演したいと思ったんです。今までご一緒したことがなかったし、自分がやったことがないような新しいものに挑戦できるだろうなという期待がありました。もう、やらない意味がわからないくらい(笑)。
池田 頼もしいですね。
●相葉さんが演じるのは地球を救う舞台監督の役。舞台監督というとどんなイメージをお持ちですか?
相葉 職人気質の方が多いかなというイメージがありましたね。この間『ちぬの誓い』というミュージカルに出演していて、飲みの席で舞台監督に「明日、何かやってくださいよ」と言ったら、翌日サウンドチェックで「歌います」って急にTOKIOを歌い出して(笑)。
池田 大分追い込まれたんですね(笑)。
相葉 そこからさらに距離がぐっと縮まっていったんです。演者は本番中に裏方と話す機会があまりないんですが、舞台監督の役をやるということで、スタッフの皆さんの動きがとても気になるようになって。スタッフなしでは幕は上がらないし、演者が怪我もなく続けられるのはスタッフのおかげ。すごいことをしているんだなと改めて感じました。
●この作品を書いたのは、「縁の下の力持ち」的な人にスポットライトを当てたいというお気持ちもあった?
池田 そういう使命感はまったくなくて、「スタッフってかっこいいじゃん」というところを皆にも見てもらいたい、ぐらいですかね。手を抜こうとしたらいくらでも抜けるのに、スタッフは面白いものを提供しようとプロの技を見せている。俳優ですらあまり見ていない姿をクローズアップしたいなと思ったんです。それをさらにデフォルメして宇宙人と対決するから、話はしっちゃかめっちゃかですが(笑)。ただ、私も俳優なので「やっぱり俳優ってすごいよね」というところも描きたいなと思って。(鈴木)砂羽さんと近江谷(太朗)さんの二人だったら、俳優のすごさも見せられるんじゃないかな。二人との共演は?
相葉 今回が初めてです。西ノ園(達大)さん以外は、皆さん初めて。
●バラエティに富んだキャスティングですよね。
池田 一人ずつ当たっていって「うわあ、出て下さるんだ」と全てがサプライズだったキャスティングでしたね。実際並んでいただくと、バラバラな方たちなのになぜかバランスがよい感じがします。
●相葉さんをキャスティングされたのは?
池田 いろいろな方からお話しを伺って、お勧めされたのが最初です。ただ、私は結構頑固なので、自分が嫌だったら「すいません」と言ってしまうことがあるんですよ。『SEMINAR』という芝居を見に行って、相葉さんって「自分の立ち位置を理解して、引くときは引いて、出るときは出ることが完璧にできる人だな」と思ったんです。それは、「主役ができる人」ということですからね。相葉さんの人柄がカンパニーを面白くしてくれるはず。脚本家としては甘えられそう、頼ってしまえそうな人だなと(笑)。
●相葉さんに対する印象が、脚本に反映しているところもありますか。
池田 舞台監督って、何かあったら責任が全部かかってきてしまうポジションなんです。一幕に関しては、災難が全部相葉さんに溢れかかってくるけれど、相葉さんならそれを受け止めてくれるかなと思って。相葉さんは「やってください」と言われたとき、マネージャーに「これさ、ちょっとできないよ」と言わなそうというか(笑)。
相葉 ハハハ。
池田 その前に楽しんで下さるような気がするんです。そういう懐の深さが主役をやる人には必要だなって。もちろん、実際の稽古ではいろいろ言っていただいて構わないんですが。
相葉 どんな無理難題にも応えていきたいなと思いますね。自分も楽しんでやりたいし、それをお客様に楽しんでいただきたい。
(2)へ続く。
[プロフィール]
池田鉄洋
いけだ・てつひろ
コントユニット「表現・さわやか」代表。舞台、ドラマ、映画など幅広く活躍する役者・演出家・脚本家。最近の主な舞台に『ストレンジ・ストーリーズ』『バブー・オブ・ザ・ベイビー』(作・演出・出演)、劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎號「IZO」(出演)など。
相葉裕樹
あいば・ひろき
舞台、ドラマ、映画、アニメ声優の仕事まで、様々なジャンルで活躍。最近の主な舞台は『3150万秒と、少し』『ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック』『SEMINAR―セミナー―』『ちぬの誓い』など。2015年には『ラ・カージュ・オ・フォール』に出演予定。
[公演情報]
『BACK STAGE』
6月8日〜15日 シアタークリエ
作・演出:池田鉄洋
出演:相葉裕樹/植原卓也 新垣里沙 永岡卓也 西ノ園達大 小野寺大夢/池田鉄洋/近江谷太朗/鈴木砂羽
※全国公演あり。詳細は下記の公式サイトにてご確認ください。
『BACK STAGE』公式サイト