インタビュー & 特集

INTERVIEW! 『CHESS in Concert』対談スペシャルvol.1 安蘭けいさん×石井一孝さん

東西冷戦の時代を背景に、アメリカ代表とソ連代表が戦うチェスの世界選手権。ライバルの男たち二人、そして、彼らと恋仲になる女性の生き様を描いたミュージカル『CHESS』。ABBAの音楽、『エビータ』『ジーザス・クライスト=スーパースター』のティム・ライス原案・作詞のミュージカルで、日本では昨年『CHESS in  Concert』として上演されました。この作品が早くも再演決定! 初演に引き続き、ソ連代表のアナトリーを演じる石井一孝さん、そんな彼らと三角関係になるフローレンスを演じる安蘭けいさんにお話しを伺いました。(文/小柳照久、撮影/熊谷仁男)

INTERVIEW & SPECIAL 2013 11/16 UPDATE

――惚れた役同士、お互いの魅力を教えてください
石井フローレンスは、繊細で知的で、素敵なところしかないんですけど、それはなぜかと言うと、演じている人が素敵だからかな!
安蘭:出た、出た(笑)
石井安蘭さんが演じるフローレンスは、中川晃教君が演じるフレディという天下無敵なアメリカのチャンピオンのセコンドで、公私ともに彼を支える、知的で、行動力があって、信念を持っている女性だと思います。今ある現状にしがみついているタイプじゃなくて、未来に向けて歩き続けているアクティブな人。でも、背中に背負っている過去が大きく彼女の人生を左右します。とても奥深い役です。それを「見事に」「華麗に」「美しく」「柔らかに」演じているのが安蘭けいさん!
安蘭:私の紹介はいいから(笑)。

――本人から付け足しておきたいことはありますか?
安蘭:まあ、今の感じで大体はOKですね(爆)。

――では、安蘭さんからもお願いします。
安蘭:石井さんが演じるアナトリーはソビエトのチェスのチャンピオンで、結婚生活を何年も共に過ごしている奥さんがいます。フローレンスとはアメリカとソ連が戦う世界大会で出会うんです。フローレンスはフレディのセコンドをしながら彼の恋仲でもあったんですがアナトリーと出会って、彼が背負っている祖国への思いや、彼が持っている内面の繊細さに魂が震えるような気がして、いつしか彼に惹かれていました。アナトリーの素敵なところは、自由なフレディとは正反対の「大人で」「物静かで(笑)」「何でも受け止められるようなところ」かなと思ってます。そこから、自分と同じような境遇を持った人ということで、どんどんアナトリーに思いが膨らんでいったように思います。

――石井さんから付け足しておきたいことは?
石井:何らありません(笑)。パーフェクト!
安蘭:かずさん(石井)と言う人は、アナトリーとは真逆かもしれない。あ、印象ですよ、印象ですよ(笑)。アナトリーはインドアな印象がするんですけど、かずさんは凄くアウトドア。いろんなことにハングリーで熱い人がよくあの役やったなと思います。
石井:僕、めっちゃインドアですよ!?
安蘭:えっ、そうなんですか?
石井:うん。だって、ほら家でCD聞いてるのが好きだし、ピクニックでサンドイッチ食べたりもしないし(一同爆笑)。
安蘭:ピクニック!? あんまり行かなくない?
石井:フットサルに行ったりすることもなく、割と家にいる感じ。
安蘭:へぇ~。見た目とのギャップがあった!
石井:見た目としては、半裸に腰ミノ巻いてるのが似合うって良くいわれる(笑)、でも、実はインドアな暮らしをしていて、家にいるのが好きだという。
安蘭:そうなんですね。じゃ、家では結構もの静かなんですか?
石井:家で一人でうるさかったら変態でしょ! こうやって瞳子ちゃん(安蘭)と会うと心が解放されるところがあるので、普段の自分とは凄く違う人格になる感じが・・・。
安蘭:ハイになる?
石井:面白い人には面白く合わせようと思ってる(笑)。
安蘭:合わせてくれてるんだ(笑)。

――今回、石井さんが歌うのはクラシカルで重厚な曲が多いですね
石井:フレディの曲はロック的で、アナトリーの曲はクラシック的なんです。最初に思ったのは「まいっちゃったな~」です。中でも四重唱の「Quartet」はメロディそのものが取れなくて七転八倒した思いがあります。アナトリーの音域は、テナーの中では低めの音域を担当するローテナーで、突き抜けるようなハイトーンより意外に低いパートが多いんですよ。通常の曲ではあまり出てこない超低い音も求められます。でも、そんな音域がバッチリと合ったんでしょうね、歌ってみたら今の僕にとって出しやすい音だった。ただ、表現としてはすごく難しくて、長年ミュージカル俳優をやってますけど、三本指、いや、二本指に入る難しさです。
安蘭:アナトリーが一幕ラストで歌い上げる「Anthem」は感動的! あれで全部の幕を下ろしたいくらい。
石井:そう言ってくださる方多いんですけど、技術的に難しい歌で、その緊張感といったら! 演出の荻田さんと相談し、亡命を決意したけれど「新しい新天地にわたったとしても、僕の心は祖国ソ連に永遠に置いている」という慈しみの歌として「僕は絶対祖国を裏切らない」という思いを歌ってます。フローレンスへの思いとか、フローレンスと暮らす決意のすべても内包してる曲だと思います。

――ロック系のフレディ、クラシック系のアナトリー。二人が相手ということで、安蘭さんは・・・。
安蘭:無差別級です(笑)。両方歌わないといけないので大変なことになっているんですけど、フレディとアナトリーの間で揺れ動くフローレンスの生き方が、音楽にすごく表現されているんじゃないかと思いますね。
訳詞を調整する作業が翻訳ミュージカルならではなんですが、曲の中でのイントネーションがおかしくならないよう、日本語としてちゃんと聞こえるように、地声と裏声に切り替える際のミックスヴォイスという発声を訓練して、内容がちゃんとお客様に伝えられるようにと心掛けてます。
石井:デビューしたころはがむしゃらにやってただけなので、考えてなかったんですけど、ミュージカルの曲を歌うのって難しいんですよね。クラシックの場合、テノールの人はテノールの音域しか歌わないし、バリトンの人がハイトーンを歌うことがないんだけど、ミュージカル俳優は全部の音域を歌わなくちゃいけないんですよね。作品によって超高音の役が来ることもあれば、低い声を求められることもあって、音域がすごく幅広い。ひたすら高い音やひたすら低い音に言葉を乗せるというのがどれだけ難しいことか。誰もが苦しんでます(笑)。だからこそ鍛錬が必要だし、初日までにそれをクリアさせた時の喜びは大きいですね。

――今回、新メンバーとして、マテ・カマラスさんが加わりますね。
安蘭:以前、共演しているんですが、その時は彼の通訳役をしてました!(笑)。 何となく、「彼はこう言ってます」って感じで。でも、ちょっと前に電話したんですが、電話で問題なく話せるくらい、日本語が上手になっていたので、今後の彼の日本での活躍が楽しみですねー。
石井:僕は以前、ガラ・コンサートで数日間楽屋が一緒だったことがあるんですよ。
安蘭:賑やかで楽しそうな楽屋!
石井:その時に、なんて自由で活発で、でも思いやりのある人なんだな~と思いましたね。自由奔放な方ですが、僕が歌詞を確認してると「大丈夫、大丈夫」と励ましてくれたりして、優しい。今回一緒に仕事をするにあたり、僕とアッキーは日本代表の自由人なんですけど、ハンガリー人と日本人、どっちが自由なのかを瞳子ちゃんに審判してもらおうかと思ってます。
安蘭:ちなみに、フローレンスはハンガリー人の役なんですよ。
石井:そうだ! じゃ、ハンガリーの話を聞けるね。
安蘭:マテは明るい人なので、彼が加わることによってカンパニーがどう変わるのか楽しみです。

――最後に『CHESS IN CONCERT』に向けての抱負をお願いします。
石井:ABBAというとポップでキャッチーなヒット性の高い曲のイメージが強いけれど、この作品はもっと雄大で美しくクラシカルな楽曲も多いよね。転調も変拍子もめっちゃ多い。
安蘭:これはABBAだなという曲ももちろんあるんですけど、ABBAが才能のすべてを注ぎ込んで作ったという印象があります。
石井:ABBAファンにとっては、ABBAってこんな幅広いんだという発見があるだろうし
安蘭:ぜひいろんな人に聴いていただきたいですね。
石井:やる側として身が引き締まるけど。
安蘭:心して歌います! 

『CHESS』プチ・ヒストリー&ストーリーはこちらから

 『CHESS in  Concert』
セカンドヴァージョン
作曲:ベニー・アンダーソン ビョルン・ウルヴァース
原案・作詞:ティム・ライス
演出・訳詞:荻田浩一
音楽監督◇島健
出演:安蘭けい、石井一孝、中川晃教、マテ・カマラス(五十音順)他
●12/12~15◎東京国際フォーラムC
●12/20~22◎梅田芸術劇場メインホール
企画・制作・主催:梅田芸術劇場
〈問合わせ〉梅田芸術劇場
東京 0570-077-039
大阪 06-6377-3800 
http://www.umegei.com/schedule/290/


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