インタビュー & 特集
INTERVIEW! ミュージカル『冒険者たち~The Gamba 9~』大山真志さん×和田琢磨さん part2
傑作児童文学『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』を原作に、2009年に初演したミュージカルが、脚本、楽曲、演出などを大幅にリニューアル、ほぼ新作という形で上演されます。この舞台に出演する大山真志さんと和田琢磨さんにお話をうかがいました。
(撮影/笹井孝祐 取材・文/武田吏都)
INTERVIEW & SPECIAL 2013 6/6 UPDATE
ミュージカル『冒険者たち~The Gamba 9~』は、町ネズミのガンバと船乗りネズミたちが、恐ろしいイタチのノロイに絶滅させられそうになっている島ネズミを助けるために夢見が島へ向かい、果敢に立ち向かう冒険物語。このミュージカルに大山さんは船乗りネズミ・シジン役で、和田さんは島ネズミ・一郎役で出演します。
●それぞれの役について教えてください。
大山 僕は“シジン”という酔っ払いネズミの役。これまでの舞台で見たシジンはほんとの酔っ払いでホワホワしている感じだったので最初はそういうイメージだったんですけど、気がつけば衣装がスパニッシュに、ちょっとマタドール風になっていて(笑)。今までにないシジンになっているので、お客さんに「こういうシジンもアリだな」と思っていただければうれしいですね。
和田 僕が今回いただいた“一郎”という役は原作にはない役。今まで誰もやったことがないキャラクターをやるという期待感が自分の中にもありつつ、しっかり存在感を残せるように演じたいなと思います。
●一郎は主人公ガンバたちが助けに来る島の島ネズミですが、自分も“The Gamba 9”の一員がよかったなとか正直思いませんでした?
和田 いやなんか不思議なんですけど、僕むしろ島ネズミでよかったなと思ってる(笑)。
大山 僕ら(The Gamba 9)と島ネズミが和解したあたりから枠がなくなるというか、ネズミ全体vsイタチっていうすごいデカい構図の話になりますもんね。
和田 それもあるし、人間に置き換えてもちょっと近いと思うんですよ。例えば僕は東北出身なんだけど、東北出身のヤツが東京行って戻ってきたとき、「なんだよアイツ東京弁になってるよ」みたいな気持ちがあるわけですよ。
大山 わははは!(笑)
和田 東京から転校生が来たら「なんだよアイツ短パン履いてるぜ」とか(笑)。そういう田舎者スピリッツは持っているので、わりとイメージしやすいんですよね。偶然なんでしょうけど、ガンバ(町ネズミ)の上山(竜司)さんは逆に渋谷育ちのザ・シティボーイらしいんで、そのへんも面白いですよね。
●おふたりの見せ場は?
大山 僕はもうイタチのノロイ(今拓哉)との歌バトルの場面ですかね。どうしようもないただの酔っ払いだと思っていたシジンが、飾った言葉じゃなく心の底から出た言葉で天敵に立ち向かおうとしている姿はやっぱりカッコいいんじゃないかと。昨日稽古したのもその場面だったんですけど、もう今さんの声の圧がハンパなくて!
和田 あれはハンパない!
大山 ほんと心が折れそうでした(苦笑)。
和田 全然そんな風には見えなかったけどね。
大山 昨日はとりあえず気合で乗り切った感じです(笑)。
和田 一郎の見せどころは後半の、敵対心から入ったガンバたちを信用し始めて、ともに命を捨てる覚悟をするまでの感情の流れ。それを切らさずに自分の中でしっかりと成立させれば、一郎だけじゃなく島ネズミ全体の心情にもなってくるんじゃないかと思うので、そこはブレずにやりたいです。
●一郎はガンバとの関係性にも一番変化のある役ですよね。
和田 男同士の友情みたいなものもそうですけど、ガンバに対しては潮路(皆本麻帆)を嫁に出すおじさんみたいな気分も……。
大山 ポジション的にそれ正しいですよね(笑)。
和田 最初は「一郎さん、一郎さん」って慕ってくれてたはずの潮路が、まあいとこなんでギリギリありなんですけど(笑)、「アイツ、いつの間にガンバを……?」っていうね。
●タイトルにちなみまして。冒険したなあ!という出来事はこれまでにありますか?
大山 高校生のとき、“高校時代にこんなことやったぜ”みたいなことを残したいなと思って、歩いて山手線を一周しようとしたんですよ。
和田 歩いて? バカだねえ~(笑)。
大山 しかもケータイだけ持ってお金を持たないって縛りも与えて。ほんとバカだったんすけど(笑)。朝10時ぐらいに新宿を出発して渋谷方面にぐるーっと周って、東京にたどり着いた時点でもう夜の9時ぐらいで。
和田 だけどそこまで歩いたんだ? すごい!
大山 でもほんとシンドくてもう無理だと思って、真ん中突っ切って、中央線と同じ道をたどって新宿に帰ってきました。円じゃなくて、スイカ割ったみたいな形(笑)。そんなしょうもない冒険でしたけど、知らない道とか今まで気づかなかった面白いものを探索しながら歩くのが、すごく面白かったんですよ。
和田 すごいの出ちゃった、勝てないなあ(笑)。僕はやっぱり上京してきたこと自体、冒険に近いものがあったかな。最初はただ遊びに来たので、カバンひとつでウィークリーマンションにいたんだけど、面白いことがいっぱい見つかってしまって住もうってなったとき、バイト先の外国人に安いシェアハウスを紹介されて。で、行ってみたら外国人しかいなくて、英語しか通じない。東京なのに異国だ!と。
大山 わはは!(笑)
和田 でもそこから英語を勉強するようになったり、自分の中でのターニングポイントになってますね。
大山 そういう全く異なる環境にスッと入っていけるっていうのも冒険心ですよね。
和田 それはね、全然余裕でした。
大山 へえ~、すごいっすね!
●楽しいお話、ありがとうございました! では最後に、「冒険者たち~The Gamba 9~」へのお誘いの言葉を。
大山 お客さんも一緒に冒険している気持ちになって楽しんでいただきたいです。音楽もすごく耳に残るので……。
和田 そうなんですよ!
大山 いい曲ばかりですよね? あとダンスもかわいくて、手振りだけならすぐ踊れちゃう、踊りたくなっちゃうようなダンスなので。ぜひお気に入りのネズミを見つけて(笑)、大人から子供まで幅広い年齢の方に楽しんでいただきたいです。
和田 こないだ原作を読み終えたんですけど、やっぱりすごく素敵なお話なんですね。舞台にはその原作にはない歌とか踊りとかいろいろありますし、この作品が持っている力を再確認してもらえるような舞台にしていきたいなと改めて思いました。
大山 原作は児童文学ですけど、子供に向けて書かれたものって、大人も常に忘れちゃいけないことが書かれているんですよね。“わかりやすくて面白い”だけじゃなくて、わかりやすい分、ちゃんとストレートに伝えられるかっていうのも大事ですし、このカンパニーだからできる「冒険者たち」を作りたいです。
ミュージカル『冒険者たち~The Gamba 9~』は6月6日より池袋サンシャイン劇場にて上演中です。
(おふたりの写真ギャラリーが、登録無料の会員限定ページにて、明日更新予定です!)
[プロフィール]
大山真志
おおやま・まさし
1989年8月17日生まれ、東京都出身。
ミュージカル『テニスの王子様』出演以降、ミュージカル『オオカミ王 ロボ ~シートン動物記より~』(主演)、『英雄のうた』(主演)など数々の舞台に出演。存在感のある演技と歌に定評がある。今後の出演舞台として、8月24日~9月8日『弱虫ペダル』インターハイ篇 The First Result、9月25日~29日『CLUB SLAZY』が控えている。
公式blog●http://blog.oricon.co.jp/masashi/
和田琢磨
わだ・たくま
1986年1月4日生まれ 山形県出身。
2009年に舞台『流れる雲よ 〜DJから特攻隊へ愛を込めて〜』で初舞台。ミュージカル『テニスの王子様』に手塚国光役で注目を集める。同舞台を卒業後、『スペーストラベラーズ side;Winter』、『遠い夏のゴッホ』などに出演。舞台を中心に活躍している。
公式blog●http://ameblo.jp/takumawada/
[公演情報]
ミュージカル『冒険者たち~The Gamba 9~』
(東京)2013年6月6日(木)〜16日(日) 池袋 サンシャイン劇場
(名古屋)2013年6月22日(土) 名鉄ホール
原作:『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』 斎藤惇夫作 岩波書店刊
脚本・演出・作詞:菅野こうめい
音楽:大石憲一郎 振付:振付稼業air:man
出演:上山竜司 辻本祐樹 大山真志 山下翔央 延山信弘 和田琢磨 土屋シオン 皆本麻帆/堀田勝 岩下政之 逢沢優 杉本崇 穴沢裕介/森田ガンツ 金澤博/坂元健児 今拓哉 尾藤イサオ ほか
公式HP●http://www.duncan.co.jp/web/stage/boukensha/