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SPECIAL! スタジオライフ『PHANTOM 語られざりし物語 The Kiss of Christine』開幕!
オペラ座の怪人の知られざる過去を描くスタジオライフの『PHANTOM』の完結編がいよいよ開幕! ダブルキャストのうち、Espoirチームのゲネプロをレポート。
(撮影/Yukari Watanabbe 取材・文/大原 薫)
INTERVIEW & SPECIAL 2012 10/17 UPDATE
ミュージカルなどで有名な『オペラ座の怪人』の知られざる生涯を描いた小説『PHANTOM』(スーザン・ケイ原作)をスタジオライフが初の舞台化。ファントムの少年期を綴る『PHANTOM The Untold Story~語られざりし物語~』が2011年6月に上演され、今回の舞台はその後のファントムを描く完結編になります。
ペルシャにたどりついたファントムが、やがてパリ・オペラ座の建設に加わり、オペラ座の地底湖に住むようになるまでのドラマティックな物語をテンポ良く上演。さらには、ミュージカル版の『オペラ座の怪人』で名高いストーリーの裏側を新たな視点から光を当てます。
決して一人では生きていけない人間の孤独をテーマに作品を作り続ける脚本・演出の倉田淳さんが原作にほれ込んで、舞台化を実現。それだけに、「ファントム」をただの「怪人」ではなく、「エリック」という名前を持ったひとりの人間として描き出しています。
ペルシャでの警察長官ナーディルと初めて交わした友情、そして、オペラ座で出会った歌姫クリスティーヌへの愛……。エリックが少しずつ人間との関係を深めていく様を綴り、終幕のカタルシスへと昇華されていくのです。
特筆すべきは前回の公演に続いて、イギリスから招いた映像・美術のマット・キンリー氏、照明のニック・シモンズ氏の起用。日本では新演出版の『ミス・サイゴン』の映像デザインで知られるキンリー氏はペルシャの豪奢な宮殿など、華麗な美術を小劇場の舞台に出現させます。中でもオペラ座の建築現場から完成したオペラ座への変化など、映像ならではの表現でスピーディな舞台転換を実現しました。皆さんにおなじみのオペラ座のシャンデリア落下シーンがどう描かれているかは、乞うご期待!
公演に先立って、Espoirチームのゲネプロが公開。
山本芳樹さんは前回公演に引き続いてエリック役。カリスマ性とほどばしる悲しみを交えて熱演しています。ファントム役を演じた役者はあまたいますが、ファントムの幼少期からラストまで生涯を演じ切った人は、世界中でもおそらく山本さんただ一人!? ストレートプレイのため歌うシーンはないものの、演技に音楽性を感じさせるところもあって、ファントムという特異な人の魂に、多くの人の共感を呼ぶ普遍性を持って演じています。
クリスティーヌ役は松本慎也さん。最近は男性役が多かった松本さんが久々のヒロイン役。ファントムへの思いに揺れ動く心情を繊細に描き出して、少女から大人の女性へと変貌していく様子を、説得力をもって演じています。
岩崎大さんは、オペラ座の怪人』での二枚目のイメージとは違うラウルを造形。黒燕尾服が長身に映えています。佐藤滋さん(客演)はエリックと友情を結ぶナーディルをあたたかみのある演技で表現。スタジオライフには久しぶりの出演となる仲原裕之さんはオペラ座の建築家・ガルニエ。深みのある演技からは『銀河英雄伝説』などの外部出演で実力を蓄えて戻ってきたのがうかがえます。
ダブルキャストのうち、もう一つのAvenirチームはエリック役を笠原浩夫さん、クリスティーヌ役を関戸博一さん、ラウル役を曽世海司さんが演じます。
『オペラ座の怪人』のミュージカルを見てファントムのラストシーンに涙した人には、必ず共感を呼ぶであろう舞台。もちろん、初めて『PHANTOM』の世界に触れる方にも必見の舞台です!
スタジオライフ公演『PHANTOM 語られざりし物語 The Kiss of Christine』は10月24日まで、シアターサンモールにて上演されます。
最後に公演写真をたっぷりとお届けします。(写真をクリックすると大きくなりますので、美しい『PHANTOM』の世界の一部を、ぜひぜひご堪能ください)
[公演データ]
スタジオライフ『PHANTOM 語られざりし物語 The Kiss Of Christine』
2012年10月8日~24日シアターサンモール
(10月6日・7日プレビュー公演)
原作:スーザン・ケイ
脚本・演出:倉田淳
出演:笠原浩夫、山本芳樹、関戸博一、松本慎也、曽世海司、岩崎大、石飛幸治、佐藤滋(客演)、及川健、林勇輔、ほか
問い合わせ:スタジオライフ03-5929-7039
公式サイト:http://www.studio-life.com/