インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『トロイラスとクレシダ』出演中の山本裕典さん
彩の国シェイクスピア・シリーズ第26弾は、“オールメール・シリーズ”の 『トロイラスとクレシダ』。6作目にして初の悲劇となる本作で、タイトルロールを演じているのは、同シリーズの『じゃじゃ馬馴らし』でも恋人同士を演じた山本裕典さんと月川悠貴さん。埼玉・大阪公演を終え、現在、佐賀・愛知公演を控える本作で、主人公トロイラスを演じる山本さんにお話を伺いました。(撮影/森口信之 文/高橋彩子)
INTERVIEW & SPECIAL 2012 9/21 UPDATE
——蜷川演出によるシェイクスピア劇は、前回のオールメールシリーズ『じゃじゃ馬馴らし』に続いて2度目ですね。
「蜷川さんからは稽古前から、『今回の舞台が成功するかどうかはお前次第だ、スパルタで行くぞ!』と言われていました。僕は前回の『じゃじゃ馬馴らし』では少し、可愛く見せるような笑いに逃げてしまったところがありましたけど、亀治郎(現猿之助)さんや筧利夫さんはじめとする先輩方は、もっとさまざまなかたちで笑いを取ったり動きで魅せたりしていらした。今回の公演を通して、僕の表現もステップアップできたらと考えて演じています」
——今回の『トロイラスとクレシダ』は、恋の行方や結末含め、悲劇とも喜劇ともつかない、不思議な雰囲気の作品ですが…。
「クレシダに対しては、女って怖い!と思ってしまいます(笑)。彼女の本心は誰にも分からないんですけど…。シェイクスピア劇ですが、現代にも十分あり得る話で、リアルだなとも感じていますね」
——「僕らの恋の泉に何か妙なゴミでもみつけたのかな?」といったトロイラスの言葉遣いは面白いし、クレシダとの愛を謳い上げる「愛の灯火を〜」のくだりはオペラのアリアかと思うほど美しいです。
「『僕らの愛の灯火を永遠に絶やさず』『たとえ血は朽ち果てても、日々若返る心』の辺りですよね! 基本的にトロイラス本人は真剣に言っています。彼、真面目な子なので(笑)。自分らしさを織り込みながら、ストレートに演じきりたいです」
——クレシダ役は月川悠貴さん。前回に続いての相手役ですが、コンビネーションはいかがですか?
「月川くんのような、しっかりとした芝居をなさる先輩が相手なので、僕は思い切って演じることができています。それに、月川くんは僕の提案もすごく聞いてくれる、とても優しい方なんです。こちらもいきなり切り出すのではなく、『こんなふうに思うんですけど…』と反応を見ながら『こうですよね!』って慎重に言いますけど(笑)。とにかく今回は、共演する大先輩の方々の胸を借りるつもりで、最後まできちんと演じたいです」
——劇場ではどのようなトロイラスに出会えるでしょうか。
「さっき、可愛く見せる笑いに逃げないようにとは言いましたけど、恋に夢中だったり、大切なものについて一生懸命に語ったりする姿って、ある意味、可愛く見えますよね。愛嬌があるというか。そういう魅力みたいなものも、感じていただけたらと思っています。がんばります!」
彩の国シェイクスピア・シリーズ第26弾『トロイラスとクレシダ』
上演記録
2012年8月17日(金)~9月2日(日)彩の国さいたま芸術劇場・大ホール
2012年9月7日(金)~9月10日(月)梅田・シアタードラマシティ
今後の予定
2012年9月22日(土)、23日(日)鳥栖市民文化会館ホール(佐賀県)
2012年9月29日(土)~9月30日(日)愛知県芸術劇場大ホール
【演出】蜷川幸雄
【原作】W・シェイクスピア
【翻訳】松岡和子
【キャスト】
山本裕典、月川悠貴、細貝 圭、長田成哉、佐藤祐基、塩谷 瞬、内田 滋 廣田高志、横田栄司、塾 一久、星 智也、原 康義、たかお鷹、小野武彦、ほか
【お問い合わせ】
佐賀: RKB毎日放送 092-852-6606(公演に対するお問い合わせ)、
キョードー西日本 092-714-0159(チケットに対するお問い合わせ)