インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『リトルショップ・オブ・ホラーズ』相葉裕樹さん part2
『リトルショップ・オブ・ホラーズ』は、6月7日に幕が開き、現在下北沢の本多劇場で絶賛上演中です。今回のインタビューpart2では、初日を迎える一週間前の相葉さんにうかがった、作品の魅力や苦労しているところなどをお伝えします。(撮影/熊谷仁男 取材・文/臼井祥子)
INTERVIEW & SPECIAL 2012 6/14 UPDATE
*この舞台はどんなふうにお話が来たんですか?
道を歩いていたら突然、マネージャーさんに「来年の6月は舞台が決まっていますよ」と言われて、「あ、そうなんですか?」って感じでした(笑)。だから最初は超軽いノリで「どんな舞台なんですか? それ?」って。今思えば「大丈夫か。よく考えろ」って自分自身に言いたいですけど(笑)。作品を知らなかったので説明していただいたんですが、「人食い花がいて」って聞いて、え? ファンタジー? かわいい話なのかな?と最初は思いましたね。その後DAIGOさんが出演されていた時の映像を拝見して「ああ、なるほど」って。実はとても歴史のある作品だと知って「やばい…!」って不安になりました(笑)。
稽古が始まってからは、まさかこんなに苦労するとは思わなかった。心のどこかでもっとできると思っていたんですよ。でも実際、稽古が始まったらできないことが多くて。求められることができないのがすごく悔しかった。なんでできないんだろうって毎日思ってました。
歌も大変ですけど、今は芝居に苦労しています。いろんな作品のオマージュだったり、パロディがちょこちょこ交ざっているし、作品全体にシニカルな笑いがあるんですよね。そこがすごく難しいんです。最後のほうで、すごく悲しい場面があるんですが、普通の王道のミュージカルだったら泣いて叫ぶような場面で、もちろん僕が演じるシーモアも泣くんですけど、そこにちょいちょい笑いを挟むんです。僕自身もシリアスに演じるんですけど、その中に5、6%くらい笑いの要素があるので、その“加減”がうまく伝わればいいなと思います。
僕と(フランク)莉奈のシーンがすごく多いんですが、松村(武/演出)さんには、僕たちにはまだ課題があると言われています。
*脇を固める出演者の方は、2010年の初演に出演された方が多いですね。
そうなんですよ。そして皆さん前回よりさらにパワーアップしているんです。だからもう必死ですよ。それに食らいつく感じで。この作品のファンの方にもまだDAIGOさんのイメージが残っていると思うので、それをいい意味で壊していきたいですね。
共演者の皆さんにはいろいろアドバイスをいただいています。新納さんは同世代のように気さくに話しをしてくれるので、僕もすごく話しかけやすいんです。以前、新納さんの出演された『スリルミー』を観たときは「なんて怖い人なんだ」って思って、正直ビビッていたんですが、実際にはすごくフランクな方で、悩み相談も聞いてくれたりするので、兄貴のように頼っちゃっています。
*具体的にはどんなアドバイスをもらっていますか?
「ここの間をもうちょっとあけてみてもいいんじゃない?」とか、そういう芝居の細かいところを教えていただいてますね。あとノドの心配をしていたら、「酸素カプセルがいいよ」って教えていただいて、行ってきました。
それからアドバイスではないのかもしれないけど、やっぱり松村さんの言葉が重いですね。シーモアがオードリーIIに誘惑されるシーンがあって、そこでシーモア自身のテンションがガーッと上がっていって自己陶酔するんですけど、そこの動きがまだできていないんですね。自分では陶酔してるつもりなんだけど、「違う」って言われる。
松村さんには、オタクの人がアイドルを応援するダンスですごく速い動きをすることがあるじゃないですか。「それがほしいんだよね」って言われるんですよ。「でもそれを形にしないで。段取りにしないでほしい」って。
この間もう頭がクラクラするまでやったんですけど…(笑)。「惜しいんだよね」って言って、OKがなかなか出ない。今、迷走しています。もちろん初日までにはOKをもらえるようになんとか頑張ります。
*そうやって体をケアしながら稽古を重ねて、もうすぐ本番ですね。
そうなんですよ。本番まで一週間、稽古はもうあと4日しかないんです。まいったな。でも僕、自分で言うのもあれなんですけど、本番に強いんです。今までの経験上、その自分の底力を信じるしかない。それを信じられるから、今回も大丈夫だと思います!
お客さまはにビックリしてほしいなって思っているんですよ。こういうテイストの作品を観たことのない方にも観ていただいて、ハマっていただきたいな。
*シーモアという役は相葉さんのイメージとはちょっと違うなと思うんですけど。
そうですか?
*やっぱり王子様じゃないですか。
うーん…。松村さんにも「時々カッコよくなることがあるから、それやめて」って言われるんですよね。動きとか体の使い方なのかなあ。自分ではよくわからないんですけど。
だからとにかくダサくなろうって思って、いろいろ試してるんですけど、「ダサく」って感じがいまいち分からなくて。確かに今まで僕がやらせていただいた役は、映像でも舞台でもカッコよく見えることを求められていたんですよね。かっこ悪さを求められることはなかった
それに今回はかっこ悪いだけじゃなくて、人間らしいというか。観てくださった方をちょっとイライラさせたいんですよね(笑)。そしてイライラするけどほっとけないみたいな気持ちになってほしい。
でもやりすぎると、かっこ悪い振りをしている人に見えてしまうので、それも違うんですよね。心底ダサく演じたいんです。シーモアがどのくらいダサくて、ダメなヤツになっているか……。そこは劇場でぜひ確かめてください。
*楽しみにしています。最後に、もうひとつ教えてください。相葉さんにとって舞台とはどういう場所ですか。
生きていることを確認できる場所、生きている実感を味わえる場所ですね。
この実感は、映像の仕事よりも濃いです。生であるからこその緊張感、責任がある。舞台は毎日続くし、お客さまの反応が目の前で観られたりして、生でしか味わえない体験ができる。
それにやっぱり舞台は怖い。ごまかしがきかない。失敗がそのまま出ちゃうから。そういう意味ではすごく緊張するし、こんなに緊張することって普段の生活をしていたらないですから。作品のことを考えて一か月とか稽古して、大変だけどそれが生きているってことだって思うんです。
ボーッとしているってなんかもったいないなと思っちゃうんですよね。『充電期間』って僕にはわからない感覚なんです。僕は走っていないとどうでもいいこと考えちゃうし、走り続けているほうが気持ちいいんですよね。
だから千秋楽まで、ひたすら走りつづけたい。それで、お客さまに楽しんでもらえたら、それがやっぱり一番うれしいですね。
初日前に行われたインタビューから2週間。現在、オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『リトルショップ・オブ・ホラーズ』は、東京・本多劇場で上演中です。東京公演後、大阪、神奈川、札幌でも上演されます。
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[プロフィール]
相葉裕樹
あいば・ひろき
1987年10月1日生まれ、千葉県出身
2005年、ミュージカル『テニスの王子様』で初舞台を踏み、人気を博す。2009年には『侍戦隊シンケンジャー』にシンケンブルー役で出演。2011年はドラマ『陽はまた昇る』『怪盗ロワイヤル』など映像の仕事と、『新春戦国鍋祭』『CLUB SEVEN 7th stage』などの舞台で活躍。また2012年1月〜3月に放送されたアニメ『新テニスの王子様』では声優デビューも果たし、好評を博した。
[公演情報]
オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『リトルショップ・オブ・ホラーズ』
6月7日(木)~20日(水) 下北沢・本多劇場
6月29日(金) 森ノ宮ピロティーホール
7月7日(土) 神奈川県民ホール
7月13日(金) 札幌市民ホール
台本・作詞:ハワード・アシュマン
音楽:アラン・メンケン
翻訳:常田景子
訳詞・演出:松村 武
出演:相葉裕樹、フランク莉奈、新納慎也/池田有希子、麻生かほ里、歌山ゆき/深沢敦、尾藤イサオほか
問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337 (10:00AM-19:00)
http://www.duncan.co.jp/web/stage/little2012/