インタビュー & 特集

omoshiiプレオープン企画「萩尾望都インタビュー」(前編)

現在、演劇&エンタメ系webマガジン『omoshii(オモシー)』のオープンを予定しています。演劇を中心に、”面白い”さまざまな情報をお届けする予定! そのオープンに先駆けて、萩尾望都先生のインタビューをこちらでご紹介します。

INTERVIEW & SPECIAL 2011 9/22 UPDATE

『11人いる!』舞台化記念
萩尾望都インタビュー(前編)

 

「限られた空間の中で非常に緊迫した状況が起きて、みんなが本音を出し合うというのが面白いと思うんです」

「デビュー40周年記念 原画展」が福岡アジア美術館で開催中の漫画家・萩尾望都先生。『ポーの一族』『トーマの心臓』『残酷な神が支配する』などで、漫画が持つ可能性を無限に押し広げ続けています。 萩尾作品は多くの舞台、ドラマ、映画に取り上げられてきましたが、代表作の一つである『11人いる!』が、現在、劇団スタジオライフにより舞台化され、公演中。そこで『11人いる!』について、また漫画と舞台について、萩尾先生に話をうかがいました。 (撮影/森口信之 取材・文/大原 薫)

劇団スタジオライフの手で舞台化される『11人いる!』は1975年に発表された作品です。どんな思い出がありますか?

描いた当時は本当に時間がなかったのもあって、コマの中にキューッと話を詰めて描いたんですね。「このコマをもっと大きく描きたかったわ」(笑)というのが、今振り返るとありますね。

『11人いる!』はSFであり、宇宙大学の受験生たちが成長していく物語でもあり、10人のはずの受験生が11人いたという「11人目は誰か」を探すミステリーでもあります。いろいろな要素がある作品ですが、萩尾先生が一番描きたかったのはどこでしょうか?

私は密室劇が好きなんですね。学校や刑務所、病院、孤島やゴシックのお屋敷……。限られた空間の中で非常に緊迫した状況が起きて、みんなが本音を出し合うというのが面白いと思うんです。この作品ではみんなが11人目に翻弄されている。「11人目の存在のせいで、みんなが失敗するかもしれない」という懐疑のただ中で、どうやって犯人探しでなく協力し合う方に気持ちが動いていくのかを描いてみたかったんですね。

先生のお話を伺っていると、『11人いる!』は劇団という集団で演じられるのがピッタリだなと思います。

本当にそうだと思います。

1996年の『トーマの心臓』上演以来、今回で萩尾作品5本目の上演となるスタジオライフ。萩尾先生がスタジオライフに惹かれるのはどういうところでしょうか?

私は作・演出の倉田(淳)さんの世界観が非常に好きなんです。ピュアなところとドラマチックなところと両方持っている。そして、容赦なく追求していくというか、嘘がないんですね。集まる役者さんもいろいろなタイプの方が集まっていて。全員がうまいわけではないのですが、舞台に立つと不思議なハーモニーが生まれて、面白い雰囲気が出てくるんです。それに、スタジオライフはきれいな役者さんが多いですから。眼福眼福(笑)。

倉田さんが作る舞台は、孤独と、それでも人は一人では生きていけないという思いが色濃く描かれています。萩尾先生の世界とも強く惹き合うものがあるように感じます

私が育ってきたのは戦後すぐで、上昇志向というか「無駄なものや弱いものは切り捨てる」みたいな雰囲気があったんです。でも、私は「全部切り捨てておしまい」というのでなく、無駄と思えるものを拾える世界にいきたい、という思いがあったんですね。そこは倉田さんと合っているかもしれない。取りこぼして捨てられたもの、でも忘れてはいけないものを倉田さんは描いていると思うんです。

ご自分の作品の舞台版を観るのはいかがですか?

最初に観たのは『トーマの心臓』再演だったのですが、自分が原稿を書いている時間にタイムトリップしてしまって。原稿のキャラクターがみんな立ちあがってセリフを言っている感じがしたんです。最初のショックが過ぎてからは、もっと客観的に舞台として楽しめるようになりました。だから今は自分が描いたとは思わずに観て、泣いたりしてます(笑)。倉田さんだから安心してまかせられますね。

スタジオライフは萩尾先生以外の漫画作品も舞台化されていますが、ご覧になりましたか?

はい、清水玲子先生の『月の子』や『OZ』は好きな作品なので観にいきました。これも、「かわいそう」とか言ってしくしく泣いたり…(笑)。

漫画と舞台では、作品の魅力に違いはあるのでしょうか?

ありますね。漫画も舞台もどちらもリアルなんだけれど、リアルの質が違う。漫画の世界は手の平で本を開いて、その中に入り込んでいく。自分と作品が対峙する世界なんです。でも舞台はまた独特で、キャラクターが動いて声を出すところが魅力ですね。観客が舞台に夢中になるというのはよくわかります。

●萩尾先生の作品の中で、これを舞台化したら面白いなというものはありますか?

私は少年少女を主体にした話が多いんですけど、『バルバラ異界』で初めて父親というキャラクターを主体にしたんですね。その父親を舞台で見てみたいな、と思います。

インタビュー後編に続く)

●profile

萩尾望都(はぎお・もと)

『ルルとミミ』でデビュー。『11人いる!』『ポーの一族』で第21回小学館漫画賞受賞。代表作は『トーマの心臓』『百億の昼と千億の夜』『残酷な神が支配する』など多数。2011年3月までデビュー40周年記念・萩尾望都原画展を開催。

 

公演情報

舞台『11人いる!』

東京 2月5日〜2月28日 あうるすぽっと(公演終了)

愛知 3 月 19 日・20 日 名鉄ホール

大阪 3 月 26 日・27 日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

公式サイト:http://www.studio-life.com/

 

萩尾望都原画展

福岡 3 月 13 日まで 福岡アジア美術館

公式サイト:http://www.hagiomoto-gengaten.com/


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