インタビュー & 特集
INTERVIEW! 古川雄大さん×舞台 part1
ミュージカル『エリザベート』に皇太子ルドルフ役で出演が決まった古川雄大さん。舞台や映画、ライブなど、さまざまな分野で活躍している古川さんですが、オモシィでは「舞台」に注目して、お話をうかがいました。
(写真/笹井孝祐 取材・文/臼井祥子)
INTERVIEW & SPECIAL 2012 4/7 UPDATE
今回のインタビューでは、これまでに出演された舞台のこと、『エリザベート』のこと、そして今年公開予定の映画のことまでさまざまなお話をうかがいました。
まずは動画のメッセージをどうぞ。
古川雄大さんの初舞台はミュージカル『テニスの王子様』。ダンススクールの先輩だった中河内雅貴さんが出演していた同作を観て、強くひかれたのがオーディションを受けたきっかけでした。
「それまであまり舞台を観たことはなかったんですが、マサくん(中河内雅貴さん)が舞台に立っている姿を見て“僕もここに出たい!”と思いました。独特の世界があって、自分と同年代の人が熱い熱を持って芝居をして踊って歌っている。その一生懸命な姿がカッコよく映って。それに“自分にもできるんじゃん?”って気持ちもありました。演技の経験もないのに、なんの根拠もない自信があったんですよ(笑)。オーディションに受かってからも、とにかく早く舞台に立ちたい、もっと続けたい、そういう気持ちが強くて、初日に幕が開いた時にも、怖さも不安もなかったです。
テニミュではいろんなことを教えていただきました。芝居だけじゃなく、礼儀や、舞台が楽しいんだよってことも。ひたすら前向きにトライしていた時なので、すべての出来事が楽しかったですね。ケンカもしました。僕はダンスをやっていたので、チームのダンスリーダー的ボジションだったんですが、自分が真剣にやっている分、ほかの人がちょっと緩い感じだった時にイラッときて(笑)。
でも一年半すごく楽しかった。それが一番の収穫だったと思います。それは、テニミュの公演と公演の間に出た『風魔の小次郎』でもそうでした。『風魔』はテニミュより、もうちょっと経験のある人が多くて、アドリブもバンバン飛び交う自由な舞台でしたね」
漫画を原作にした二つの舞台を経て、次に出演したのは大沢たかおさん主演のミュージカル『ファントム』。赤坂ACTシアターと梅田芸術劇場で上演する本格ミュージカルに「精神的な部分で追い込まれた」こともあったそう。
「単純に大きな劇場でやるってこともプレッシャーでしたし、ファントムとヒロインと三角関係を築かないといけないわけで、迫力あるお芝居をされる大沢さんに気持ちで負けてはいけないと思ったりもして……。テニミュの時は何も知らなかったから怖くなかった。自由に思うがままにやらせていただいて、違うことは違うって教えていただいて、それでよかった。でもある程度経験を積んだから、失敗して“それは違う”って言われることが怖くなってしまったんだと思います。
『ファントム』では、テニミュの先輩の阿部よしつぐさんに相談にのっていただきました。演出の鈴勝(鈴木勝秀)さんが、阿部さんのことを“アイツはすごいぞ”っておっしゃっていたんですよ。作品の冒頭で阿部さんがホームレスを演じていらっしゃるんですが、はけるときに手にしていたゴミ袋から仮面を取り出すんですね。普通の人たちの中にもファントムのような存在はいるんだよというメッセージとして。それは阿部さん自身が考えられたことなんです。
鈴勝さんは“どんどんアイデアを出して、自分で演出をしていけ”っていうタイプの演出家さんなので、僕は演技に迷った時は阿部さんに相談にのっていただいていました」
2011年には、2本の舞台に出演しました。2月にシアタークリエで上演されたアクション時代劇『深説・八犬伝〜村雨恋奇譚〜』で、女田楽師に身をやつして親の敵を捜す犬士・犬坂毛野役。9月には辻仁成さん演出、堂珍嘉邦さん主演の音楽劇『醒めながら見る夢』で、天使と悪魔のコンビを、村井良大さんと熱演しました。
「『八犬伝』は稽古の半分くらいが殺陣、という舞台でした。殺陣って本当に息が合ってないとできないんですよ。僕は(齋藤)ヤスカと戦ったんですが、僕もヤスカも頑固で自分を曲げないというか、お互いなかなか譲れなくて、アクションを見てくださった渥美(博)さんに、よく怒られました。僕にはなぜか“ダンスは万能かな”って気持ちがあって(笑)、ダンスができるんだから殺陣もできると思ってたんですが、想像以上に難しかったです。女田楽師の女性らしい仕草や踊りにも苦労しました。でもしっかり内面が描かれたとても光る役をやらせていただけて、やりがいがありました。
『醒め夢』は重くてシリアスなストーリーの中で、僕らがお客さんを笑わせる役。でも天使と悪魔のようなキャラを演じるのは初めてで、稽古が始まるまでどう演じたものかイメージがつかめなかった。それで稽古が始まる前に(村井)良大とご飯を食べにいって、いろいろ話したんですよ。それでもやっぱりわからないねってことになって(笑)。最後の最後まで固まらなかったですね。辻さんは“毎日アイデアを見せて”っておっしゃるから、良大と僕は毎日考えてきて、稽古前にちょっと合わせてみて辻さんに見せにいく。その繰り返しでした。
良大は『風魔の小次郎』以来の友人で、プライベートで一緒に遊んだりはしないですが、とてもいい仕事仲間。すごく尊敬できるなって思う部分もあるし、たまに“頭固いな”って思うこともあったけど(笑)、稽古をしていて違うと思ったことは“それ違うんじゃない”ってストレートに言ってくれるからありがたかったです。お互い自分の意見をしっかり主張して、相手の意見をちゃんと聞いて、一緒に作っていけました」
優しげな外見そのままに、いつも控えめな態度でインタビューに応じる古川さん。ところがこれまでの舞台の話をうかがうと、ほとんどの作品で稽古中に共演者とぶつかったエピソードが登場。それが意外で、そういうとき引いてしまうタイプかと思っていましたと伝えると、古川さんは「そうですね。基本、引きますね」と頷いて、少し首を傾けながら「でも」と続けました。
「時と場合によります。相手の意見をもっと聞こうと思う時もあるし、もっと自分を貫かなきゃって思う時もある。それでいいと思っているんです。絶対自信があったらやっぱり譲れないし、人の言葉を受け入れることをできなかったらやっていけない。そんなふうに揺れながら、舞台に挑んでいます」
2012年5月には、ミュージカル『エリザベート』にルドルフ役で出演。初舞台以来、作品内容も役柄も幅広く演じてきた古川さんが、初めて帝劇の舞台に立ちます。
(part2に続く)
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[プロフィール]
古川雄大
ふるかわ・ゆうた
1987年7月9日生まれ、長野県出身
ミュージカル『ファントム』音楽劇『醒めながら見る夢』などの舞台を経て、2012年ミュージカル『エリザベート』に皇太子ルドルフ役で出演決定。主演映画『僕らはあの空のしたで』『石の降る丘』や映画『BECK』など、映像の仕事も多い。映画『愛を歌うより俺に溺れろ』が2012年公開予定。
公式blog●http://www.tvlife.jp/blog/yuta/
公式サイト●http://furukawa-yuta.net/
[公演情報]
ミュージカル『エリザベート』
2012年5月9日〜6月27日 帝国劇場
2012年7月5日〜26日 博多座
2012年8月3日〜26日 中日劇場
2012年9月1日〜28日 梅田芸術劇場
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ 音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞:小池修一郎
問い合わせ:東宝テレザーブ:03-3201-7777
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