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SPECIAL! 『テ ヅカ TeZukA』初日前日会見&フォトコール
ダンス作品『テ ヅカ TeZukA』が2012年2月23日(木)、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて初日を迎えました。初日前日の22日(水)には、フォトコールと記者会見が行われました。
(取材・文/臼井祥子)
INTERVIEW & SPECIAL 2012 2/24 UPDATE
『テ ヅカ TeZukA』は、今、世界のダンスシーンで最も注目を集めている振付家シディ・ラルビ・シェルカウイさんによる最新ダンス作品。シェルカウイさんが敬愛する手塚治虫の世界観と手塚の生みだした表現そのものを、映像と音楽を駆使しダンス作品として再構築したパフォーマンスです。
世界各地から選び抜かれた10人のダンサー、3人のミュージシャンとともに、日本から俳優・森山未來さんと書道家が、本作に参加。単なる手塚治虫作品のダンス化ではなく、作品の根底を流れる思想や哲学を舞台上に三次元的に描き出すことで、現代の日本と世界の姿をも浮かびあがらせます。
22日にはフォトコールとして、取材陣に一幕が公開されました。現われては消えていく漫画のコマ割りや吹き出し、描き文字と、生身のダンサーが、舞台の上で一つのアートとして存在する不思議な感覚に圧倒され、文字や肉声で伝えられる言葉の洪水に押し流されるように身を浸す、刺激的な時間。手塚治虫が基礎を作りあげた漫画表現の奥行きの深さと、二次元の世界から乖離することなく生々しく立体にしたライブパフォーマンスの可能性に、胸が熱くなりました。
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またこの日、シェルカウイさんと森山未來さん、そして手塚プロダクションの松谷社長が出席して、記者会見も行われました。
「手塚治虫さんは言い尽くせない素晴らしいアーティスト」だと言うシェルカウイさんは「子どものころに手塚さんを発見して」以来のファン。「今35歳ですが、この作品のためにここ数年間、徹底的にリサーチを重ねて、手塚さんがアーティストとしていかに戦って素晴らしい作品を作ってきたかわかりました。この作品は彼へのオマージュです」とコメント。
さらに手塚作品について「すべてがつながっているということを、彼が世界の人に伝えました。彼の作ったキャラには共感の心がある。何があっても取り戻せる、前進できる、エネルギーを見つけられると伝えている。ダメになっても断片を拾い集めて前より強くなって前に進める。百鬼丸(『どろろ』の登場人物)やアトムがそうであるように。クリエイティブな蘇生力があるのです。手塚自身がそうだったのでしょう」と熱く語りました。
森山未來さんも「僕の価値観の4割くらいが手塚治虫でできている」と断言するほどの手塚治虫ファン。「ベルギー人のラルビーと(手塚治虫について)話せるのがうれしい」とコメント。
また好きな作品を聞かれて「あげればきりがないです。(手塚作品では)動物が人間の言葉を話したり、男が女になったり、いろんなトランスが存在する中で、善悪、美しいこと醜いこと、正しいこと悪いこと、相反するものが同時に与えられています。それはどの作品にも一貫して描かれているテーマです。手塚作品には過去に一度『火の鳥 鳳凰篇』に出演させていただいたことがありますが、今回の舞台ではストーリーではなく、もう少し観念的に手塚の世界観、思想がラルビーのフィルターを通して描かれます。人の脳の中にいるような感覚で、今(森山さん自身の)感じ方がどんどん変わっていて深みにはまっている感じがします」
ふたりの熱い言葉に、松谷社長は「感動しました。手塚治虫が命を削って作品にこめたメッセージを全部くみ取ってくれて、それを舞台で肉体表現で伝えていただけることがうれしいです。ここに手塚がいたら喜んだと思います」と満面の笑顔で語りました。
『テ ヅカ TeZukA』は2月23日(木)〜27日(月)まで、Bunkamuraオーチャードホールにて上演されます。
[公演情報]
『テ ヅカ TeZukA』
2月23日(木)〜27日(月) Bunkamuraオーチャードホール
原拠:手塚治虫
振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
音楽:ニティン・ソーニー/美術・照明:ウィリー・セッサ
映像:上田大樹/衣裳:サッシャ・コヴァチェヴィック
出演:森山未來 ほか
問い合わせ:Bunkamura 03-3477-3244
http://www.bunkamura.co.jp/