インタビュー & 特集

「父親役が来るんだ!って思いました(笑)」『SPY×FAMILY』鈴木拡樹インタビュー

東西冷戦時代をモチーフにした世界で、凄腕スパイと超能力者と殺し屋がかりそめの家族になる。3月8日、帝国劇場を皮切りに兵庫、福岡で上演されるミュージカル『SPY×FAMILY』。その主人公、ロイド・フォージャーをWキャストで演じる鈴木拡樹は、昨年、俳優デビュー15周年を迎えた。初めての帝劇の舞台に立つ鈴木に、これまでの役者人生と、この先への思いを語ってもらった。(文/臼井祥子 スタイリスト/中村美保 ヘアメイク/AKI)

INTERVIEW & SPECIAL 2023 1/30 UPDATE

●デビュー15周年、おめでとうございます。この15年間でいろいろな変化があったと思いますが。

変化だらけですよ。いくつもの壁があって、波もあって、15年続けてこられたのが、自分でもにわかに信じられないくらいです。僕は舞台を観て、面白いと思った衝動で「出たい」と思ってしまった人間なんです。「観たい」じゃなくて「出たい」。それで右も左もわからないまま飛び込んじゃった。そんな人間が、子役からやっている方や、たくさんの経験を積んだ俳優さんがいる場に来て、とにかく観て学ぶしかない、感じるしかないという状態でやってきました。常に逆境の中にいる人間なのかなと思います。

僕は2.5次元舞台に出演させていただくことが多かったのですが、最初の頃はまだ開拓されていないジャンル、あまり認識されていない作品が多かったので、そういう作品に対してすごく強い感情を抱いていました。自分と重ね合わせるようなところがあったのかもしれないですね。一つのジャンル、一つの作品として、ちゃんと認めてもらえるようになりたいな。そのためには、そこに出ている人間が、どういうことを感じてどういうことを目的にこの作品を作っているのか、きちんと言葉にして伝えらえるようにと考えてきました。

●そう思うようになったきっかけの作品はありますか?

いろいろ考え方が変わったのは『最遊記歌劇伝』と『弱虫ペダル』でしょうか。でも一番大きいのは、雑誌のインタビューじゃないかと思います。質問していただけるからこそ、考える。それが積み重なって今の考えがあるんです。だからインタビューをしていただけることにとても感謝しています。そこに応えるためにも、きちんと頭を使って考えていきたいなと思うし、その思いを持って舞台を続けていきたいと思っています。

●転機になった出会いは?

たくさんいますが、原点と言えるのは少年社中の毛利(亘宏)さん。毛利さんが抱いている作品の世界観が好きなんです。どの作品も、ちょっと日常と離れているけど日常を感じる。人間くさくて泥くさいやつが主人公で、そういう人が魂で叫んでいるのが、めちゃくちゃカッコいい。

●2.5次元舞台や小劇場系の舞台を経て、最近は東宝さんの舞台が続いています。『SPY×FAMILY』では帝国劇場に立たれますね。

帝国劇場って大きい看板で、長い歴史があるんですよね。その歴史をたどっていくと、下地を叩いてきた人間がいるんですよ。しっかりした地盤を作ることで、そこに建物が建つんです。帝国劇場の土台を作った方たちへの敬意をすごく感じています。僕が想像するよりはるかに大きな苦労があったんだろうなあと。

だから、もちろん帝国劇場に立たせていただけることはすごく光栄なんです。当然緊張もします。だけど僕も(2.5次元舞台という)芽が出るかどうかわからないジャンルに片足を突っ込んできた経験があって、建物が建つかどうかわからない土地を叩いてきたので、自分にもそういう過去があるなって、勝手に共感しますし(笑)、そこが僕自身の安心材料になっています。

●そして『SPY×FAMILY』では、ついに父親役に。

そうなんですよ。「父親役が来るんだ!」って思いました(笑)。ずっとやってみたかったんです。好奇心というか、すごく興味がありました。でも自分がどう父親役を演じるのか、イメージできたかというとそうでもなかったので、これまで父親役のオファーがないのは当然だなと思っていました。

でも、いざロイド・フォージャーをやるとなって、原作を読み返してみたら、自分の中で想像が膨らんだんですよ。それがすごくうれしかった。

自分がそういう年齢になったってこともあるかもしれないけど、これまでやってきた舞台で、たくさんの父親を見てきたからかなと。僕が息子役で、父親が登場する舞台はいくつもあって、先輩方が演じる父親像やアプローチの仕方もいくつもあって、それを見てきたことが、今、自分の財産になっているのかもしれません。

●ロイド・フォージャーにはアーニャという幼い娘がいますが、小さい子と交流する機会はあるほうですか?

ないです。姪っ子がいるんですが、実際に会ったのは4回くらい、あとは電話で話したことがあるくらいです。甥っ子もいるんですけど、女の子って成長がすごく早いですよね。まだ全然ちっちゃいはずなんですが、しっかりしてて大人に感じます。

●ロイド・フォージャーは平和のためにミッションを頑張っていますが、鈴木さんご自身の2023年のミッションを教えてください。

優秀な人はミッションを一つに絞れると思うんですが、僕はなかなか絞れず…。それぞれの作品を、一つずつ確実に演じるというのは、ずっとテーマにしています。それと、その先のことを考えていきたい。次はどういう作品の中に自分の身を置いてみるか、自分はどうしたいのか、見てくださるお客様はどういう作品を見たいのか、ということを。

あとは、僕がよく共演している中で言うと、荒牧慶彦くんとかがそうなんですけど、自分で企画しているじゃないですか。自分でこういう作品を作っていきたいから、それを周囲に発信して、協力を得て、形にしていく。そういう発想はいいなと思うんです。すぐに動けなかったとしても、そういうことを考える時間は作りたいな。

●役者だけじゃない鈴木さんが見られるかも?

いえいえ、そっちサイドに行くわけじゃないです(笑)。あくまでも役者として、面白いなと思うものを誰かに与えてもらうのを待つだけではなくて、自分から提案してみるのもありなんだなと思っています。


ミュージカル『SPY×FAMILY』は、3月8日(水)〜3月29日(水)東京・帝国劇場、ほか、兵庫福岡にて上演されます。
詳細は下記公式サイトにてご確認ください。
https://www.tohostage.com/spy-family/


衣裳協力
スーツ/三服屋(090-4147-9438)
シャツ/BLACK LABEL CRESTBRIDGE(SANYO SHOKAI 0120-340-460)
ネクタイ・チーフ・ネクタイピン/giraffe(WORK TO SHOPSendagaya 03-6455-5892)
その他/スタイリスト私物


[公演情報]

ミュージカル『SPY×FAMILY』
2023年3月8日(水)〜3月29日(水)
東京・帝国劇場 
2023年4月11日(火)~4月16日(日)
兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2023年5月3日(水)~5月21日(日)
福岡・博多座

原作:遠藤達哉(集英社「少年ジャンプ+」連載)
脚本・歌詞・演出:G2
作曲・編曲・音楽監督:かみむら周平
出演:森崎ウィン・鈴木拡樹(Wキャスト)、唯月ふうか・佐々木美玲(Wキャスト)、池村碧彩/井澤美遥/福地美晴/増田梨沙(クワトロキャスト)、岡宮来夢・瀧澤翼(Wキャスト)、山口乃々華、木内健人、鈴木壮麻、朝夏まなと ほか

お問い合わせ:東宝テレザーブ 03-3201-7777(東京)
梅田芸術劇場06-6377-3800(兵庫)
博多座092-263-5555(福岡)


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