インタビュー & 特集

「魂を込めて生きた人間を演じたい」大貫勇輔×小西遼生×三浦涼介 てい談

ファンの間で「アタタミュ」と呼ばれ、親しまれているミュージカル 『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』の再演が9月25日(日)に開幕。初演に続き主人公・ケンシロウ役を務める大貫勇輔さんと、新キャストのトキ役・小西遼生さん、レイ役・三浦涼介さんに、稽古真っ盛りの9月中旬、お話をうかがいました。(撮影/泉山美代子 文/臼井祥子)

INTERVIEW & SPECIAL 2022 9/28 UPDATE

●大貫さんは、初演からケンシロウを演じていらっしゃいます。再演ならではの面白さを感じていることはありますか?

大貫 いろいろとバージョンアップしています。今回りょん(三浦涼介)が演じてくれるレイの場面が増えたので、ケンシロウとレイの関係がより深まったんじゃないかと思いますし。普段から仲のいいりょんが演じてくれることで僕の心がより揺さぶられるということもあります。

三浦 僕はプライベートでよく知っている役者が出ている舞台は、知りすぎているせいで集中できないから、あまり観に行かないんですが、これの初演はご縁があって観に行って、こんな命がけの芝居をしているんだと感動しました。

小西 僕は映像で観たんですが、役者が毎日心身共に限界まで出し切っているという印象がありました。アスリートのパフォーマンスを目の当たりにしたみたいな。

大貫 地獄のようにきつかったよ(笑)。再演はさらにバージョンアップしてるからね。小西さんがトキのように淡々と「こうしたらもっとよくなるんじゃないか」と提案してくれたりして、より面白くなっていると思います。実はオーディオコメンタリー収録のために、だいぶ経ってから最近映像を観たんですが、それも大きいです。本番中はただただ必死でやっていたけど、後から観てみると反省するものがあって、ここはこう見えるんだなあという発見もあって、それを生かして、磨いていくことができるのはいい経験になっています。

●小西さんと三浦さんは再演からの参加ですが、初演からいたかったなあというお気持ちはありますか?

小西・三浦 …。

大貫 ないですね、きっと。

三浦 そんなことないです(笑)。

小西 あるよ。

三浦 うん。初演からいたら、もうちょっとみんなと仲よくね…。

小西 今は仲よくないの?

三浦 仲いいですけど!(笑)

小西 初っ端は、初演組と新キャストとの間に大きな熱量の差があったんですよ(笑)。もちろん元のキャストは一度本番をやってるからなんですけど。でも初演があったからこそ明確になっていることがたくさんあって、参加しやすかったですね。初演はきっと迷いながら作っていったと思うんですけど、再演は明確な分、緻密に構築していけるので。

大貫 最初は「怖かった」って言ってましたよね?

小西 ただただ(一色)洋平の声が怖かっただけ(笑)。

三浦 俺もいまだに一色さんの声に慣れない(笑)。

小西 歌稽古って、初めは譜読みから始まり、音楽を知るところからなんですよ。でも歌稽古の最初から洋平と(百名)ヒロキが芝居を始めたんです。100%のテンションで。

大貫 しかもパイプ椅子の上に立ってたね。

小西 叫び声も入れて。そのおかげでピアノの音が聴こえない(笑)。そこから始まったから、怖かったのはただただ洋平が熱すぎるせいです。今はそれがこの作品を支える力になっているんですが。

三浦 稽古があんなに熱いなんて聞いてなかった。

小西 演出の石丸(さちこ)さんも、想像の何倍も熱い人だった。この作品が石丸さんをそうさせているのか、石丸さんがこの作品をそうさせているのか、いまだにわからない。

大貫 両方だと思うよ。相乗効果で。

小西 混ぜるな危険(笑)。

●最近はグランドミュージカルにも漫画原作の作品が増えていますが、この漫画を舞台化したら面白いと思う作品はありますか?

大貫 実は、これミュージカル化するだろうなあと思った作品の8割以上が実際に舞台になっているんですよ。まだなってなくて、僕が今、実現したらいいなあと思うのは『Beastars』です。よくできた漫画で、ミュージカルに向いていると思うし、動物系のものだから扮装したら面白いだろうなあ。『キャッツ』みたいに。

小西 面白そうだね! りょんは漫画原作にもよく出てるよね。この間も『呪術廻戦』でめちゃくちゃいいキャラクターを演じて。

三浦 そうですね。今年は『銀河鉄道999』もありました。漫画やアニメが原作のものは、原作ファンの方にどうアプローチできるかを考えながらやってます。

小西 りょんが今「これやりたい」って言うと、実現する可能性が高いでしょ。

三浦 それはわからないけど(笑)、実は『呪術廻戦』はお兄ちゃんが大好きで、一緒に観てたから、舞台化するって聞いて「頼むから一回演出家に会わせて」ってお願いして会いに行ったんですよ。そうしたら出させてもらえることになった。

大貫・小西 なーにー!?

三浦 (笑)。

小西 僕は、舞台化は難しいとは思うけど、今思いついたのは『孤高の人』。山の話なんですけど、登山のミュージカルってないじゃないですか。それを大貫くん主演で。

大貫 僕が主演なんですね?

小西 ずっと崖を登りながら、隆起する大貫くんのこの背中の筋肉を見せたい(笑)。

●漫画やアニメを生身の肉体で表現するのは大変だと思いますが、気をつけていることや、舞台だからこそできることは?

大貫 『北斗の拳』は「2.5」であるけれども「2.5」ではない、と石丸さんがおっしゃっているんです。2.5次元舞台は、原作ファンの方に喜んでいただけるように、作品の絵に寄せていきますよね。でも『北斗の拳』では、生きた人間を表したいと。ケンシロウは、歌ったり踊ったりする人間ではないんです。でもミュージカルとしてはそれを成立させないといけない。だから、心を込めて、ケンシロウとして魂で生きないと見えてこない、というところがあったと思います。アクションも渥美(博)さんの力をお借りして、アクションで男の生き様を見せようと思っています。ただ殴ったり蹴ったりじゃなくて、一つ一つに理由があるんですよ。なぜ殴られて、なぜ止めて、なぜ蹴り返すのか。男同士の正義、愛が、見えてくるところが、面白いところなんじゃないかと思っています。

●魂を込めた役について、どう取り組んでいるか教えてください。

大貫 僕は最初から原作のケンシロウを演じるのではなく、舞台の3時間を通して、原作のケンシロウになっていくことを心がけています。最初は信じられないくらい弱いところからスタートして、いろんな人の思いを受けて、変化して、最後に完成する。その変化を大事にしています。

小西 トキは我欲がなく、自らの宿命を果たすために生きている。そしてその宿命に翻弄されながらも、かつてラオウがトキを生かしてくれたから、その憧れと共に、ラオウを救うために生きている。そんなトキが、思いを託すのがケンシロウ。レイや、ほかのキャラクターもそうなんですが、命を賭した覚悟や愛をケンシロウに思いを託して、ケンシロウの背中を支えて、魂のリレーをつないでいく大事な一人だと思っています。

三浦 僕は難しいことはわかんないんですけど、お稽古に入る前から、「最後に人間らしく美しく死ねたらいいな」と思っていたんです。それで、稽古場に入って、皆さんのエネルギーを感じたり、大貫さんと二人でお芝居させてもらっている時間や環境だったり、そういうものを受けて、レイとして存在できているなと思っています。濃く美しくお客様にお届けしたいです。

●最後に、お稽古を重ねてきて、お互いのことをどう感じているか教えてください。

大貫 小西さんは冷静な目で周りを見ていて、まっすぐも見てるけど、斜めからも見ている。僕はそこが好きです。自分が肩に力が入ってしまった時に、ちょっと力を抜けさせてくれるようなことを言ってくれるんです。りょんは出会って3年くらいになるんですが、今回初めてがっつりお芝居をします。ここでこんな目で見られたらケンシロウでしかいられない、熱くならざるをえない、という感情が昂りました。普段話をしている時より、向き合ってお芝居をしている時のほうがわかることってあるんですよね。

三浦 僕もお芝居をして初めて「こんないい役者さんだったんだ」と思いました。とにかく尊敬する部分しかなくて、プライベートで一緒に食事をしたり飲んだりしている時の子どもみたいなところを知っているから、仕事ではこんなにちゃんと集中していて、オフの時はこんな時間を過ごせるなら、この人は大丈夫だなって親みたいな気持ちで見ています。

大貫 (笑)

三浦 小西さんは割とブラックなところがあって、この人怖いなと思う瞬間があります。ジョークを言ったりとかするときに。で、そういう時って僕も同じタイミングで同じことを思っているんですよ。例えば大先輩をいじる時とか。それを二人でニヤニヤしながら楽しんでます。

小西 俺がブラックなユーモアをみせる時は、りょんが近くにいるから言ってるところがある。

三浦 (爆笑)

小西 りょんはミステリアスな空気をまとっているので、どんな人間か初めはわからなかったけど、芝居を見ていて、役の過去とりょん自身が持っている何かが登場した瞬間から見えていて、めちゃくちゃ説得力があるし感情移入ができるんですよ。今までお芝居を直接見る機会がなくて、初めましてだったんですけど、めちゃくちゃいい役者さんだなって思いました。

大貫 伊礼さんも同じこと言ってた。

小西 大貫くんは、彼のフィジカル、踊りから始まる身体能力に目がいきがちだけど、とにかく真っ直ぐで心のある芝居と歌なんですよ。アクションシーンの彼は、ダンスではなくケンシロウが戦っているようにしか見えない。それって芝居心があったり、戯曲の読み方を知っている人じゃないとできないと思うんです。役としてそこに立って流れの中で生きている。彼の圧巻のパフォーマンスは、その心に裏打ちされている。頼もしい座長です。

大貫 初演の時、最初は「この作品を成功させなきゃ」って気持ちが強かったんですけど、だんだん誰か一人だけが頑張ってもダメなんだ、みんなの力で人に届けるものなんだと思うようになりました。僕は熱くなるけど、同時にもっと冷静になろうってことを小西さんから学んだし、りょんも飲んだときにいろいろ言ってくれて、その場でちょっとケンカになったりもしたけど。

三浦 ケンカになったわけじゃないよ(笑)。

大貫 そういうコミュニケーションを経て、みんなで素晴らしい作品を作っています。僕ができることは一個一個の芝居を精一杯やることと、最後まで諦めないこと。カンパニーが一つになって、この素晴らしい作品をできるだけたくさんの人に届けたいです。そして、残念ながら中国公演はなくなってしまいましたが、いつか世界の人に見ていただけるようにつながっていけたらいいなと思っています。


ミュージカル 『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』は9月30日(金)まで、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて、10月7日(金)〜10日(月祝)まで、福岡・キャナルシティ劇場にて上演中。

詳細は下記公式サイトをご確認ください。
https://horipro-stage.jp/stage/musical_fons2022/#stage

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