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『モダン・ミリー』主演・朝夏まなとさん「頑固なところは、私と似ているかもしれないです」
トニー賞作品賞ほか6部門を受賞した大ヒットミュージカル『モダン・ミリー』が、9月7日より26日までシアタークリエで上演後、10月1日・2日に新歌舞伎座で上演される。映画ではジュリー・アンドリュース、ブロードウェイ版ではサットン・フォスターが演じた主人公ミリー役に挑戦する朝夏まなとさんが、大阪で取材会を開き、2年越し待望の上演となる本作について語った。(撮影・文/小野寺亜紀 撮影[A]/草田康博 舞台写真提供/東宝演劇部)
INTERVIEW & SPECIAL 2022 9/21 UPDATE
1967年公開のミュージカル映画『モダン・ミリー』が、約30年を経て楽曲をほぼ一新した形でブロードウェイにて舞台化。自分の足で人生を踏み出す女性の姿が、心弾むナンバー、タップダンスをはじめとする華やかなダンスと共に生き生きと描かれ、2002年にトニー賞作品賞や主演女優賞など6部門を受賞し大ヒットとなった。
ミュージカル『モダン・ミリー』は当初、2020年4月に小林香さんの翻訳・演出で日本上演される予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大による「緊急事態宣言」を受け、開幕直前に中止。2年以上を経て、同じメインキャストが再び集結し、ついに9月7日に幕を開けた。2年前はシアタークリエに組まれたセットが片づけられるのを、客席から見守るしかなかったという朝夏さん。「仕方がないと思いつつ、やるせない悲しい気持ち、無念さがありました。上演が決まり、キャストがほとんど変わらないというのが一番嬉しかったです」と笑顔を見せる。
朝夏さんが演じるのは、モダンガールに憧れ田舎から出てくるミリー・ディルモント。“大切なのはロマンスよりも理性!”をモットーに、下宿先で知り合ったドロシー(実咲凜音)や、ジミー(中河内雅貴)と仲良くなったり、玉の輿を狙って就職した会社の社長・グレイドン(廣瀬友祐)に猛アプローチをかけたり、世界的歌手マジー(保坂知寿)のパーティーに参加したりと、都会生活を楽しむなかで、本当に大切なものに気づいていく。
改めて台本を読み、「2年前には見えなかったもの、『なんでこういうことを言うんだろう』と思っていた、ミリーの言葉の裏の意味にも想像が膨らみました。ミリーは中身が結構女の子。私はサバサバしているほうなので最初すごい違和感があって、くすぐったい感じでしたが、今は『すごくかわいいな』と思います。こうと決めたらこう!という頑固なところは、私と似ているかもしれないです」と分析。この2年の間にいろいろな役を経験したからこそ、「自分の成長を踏まえて役作りをしたいです」と話す。
作品の見どころにまず挙げたのが、個性的なキャラクター。「一人で存在していても面白いのに、それぞれが絡み合い、最後にいろんな関係性が種明かしされていくので、何回観ても面白いと思います」。和気あいあいとした稽古場で特に存在感を放っていたのが、保坂知寿さんと一路真輝さんだという。「お二人の対決シーンがあり、カラーの違う女優さんが役を通して笑いを競うみたいなことになっていて。大先輩のお二人がとても面白く演ってくださるので、刺激になるし、見ていると笑ってしまって楽しいです」。
また、共演者には宝塚歌劇団宙組でトップコンビを組んだ実咲凜音さんも。今回は女性役同士での芝居となるが、「2年前もそんなに違和感はなかったです。この2年の間に一緒に宝塚の舞台を観に行くなど、会う回数も多かったので、より普段の私たちに近い関係が、役を通して見えるんじゃないかな」。
さらに本作はタップダンスも大きな見せ場。実咲さんと主演した宙組公演『TOP HAT』でも華麗なタップを披露したが、「稽古に入るひと月半ぐらい前から練習していました」と、新たにレッスンを重ねている。歌に関しても、「サットン・フォスターさんに合わせて作られた楽曲なので大変です!」と打ち明けるが、2017年に宝塚歌劇団を卒業後、さまざまなミュージカルに出演して筋肉である喉を鍛え、高いキーの発声も自然にできるようになったという今、「1曲の中でメリーの気持ちが変わっていったりもするので、芝居の部分も埋めながら歌を届けたいです」と頼もしくコメント。
「笑いどころの多い、ハッピーなコメディー・ミュージカルです。タップダンスが多いので、古き良きブロードウェイミュージカルというものを楽しんでいただけるはず。タップは踊るほうもワクワクして元気が出るので、そのあたりも楽しみにしていただきたいです」と、明るい表情で語った。
ミュージカル『モダン・ミリー』
東京公演/2022年9月7日(水)~26日(月) シアタークリエ
大阪公演/2022年10月1日(土)~2日(日) 新歌舞伎座
脚本:リチャード・モリス、ディック・スキャンラン
新音楽:ジニーン・テソーリ
新歌詞:ディック・スキャンラン
原作/ユニバーサル・ピクチャーズ同名映画脚本:リチャード・モリス
演出・翻訳:小林香
出演:朝夏まなと 中河内雅貴 実咲凜音 廣瀬友祐 保坂知寿 一路真輝 他