インタビュー & 特集
「ゴールがわからないところが俳優という仕事の魅力」髙木 俊×玉城裕規×寺山武志 座談会
『映画演劇 サクセス荘 〜侵略者Sと西荻窪の奇跡〜』で、南極料理人のユッキー、占い師のムーさん、そしてプロボーラーのヒッピ。1期から『サクセス荘』の笑いと芝居を支えてきた俳優たちが、作品への思いを語り合った。(撮影/増田 慶 文/横澤由香 ヘアメイク/有村美咲 スタイリスト/本多由佳)
INTERVIEW & SPECIAL 2022 1/3 UPDATE
──映画演劇『サクセス荘』、実現しましたね。
髙木 最初に映画化と聞いたときは「1時間以上を一発撮り、やれるのか!?」って思ったんですけど、いやぁ…やれましたね。
玉城 ハハハッ(笑)。
寺山 ね。なんかやれちゃいましたよねぇ。トラブルも全然なく。
髙木 あったのかもしれないけど、お芝居的な「うわ、やっちまった!」みたいなことはほとんどなくて。
玉城 うん。なんか逆にドラマの時よりもキャストのみんなが落ち着いてましたよね。「映画だ」って緊張したりそわそわしちゃうかなと思ってたけどそんなこと全然なく…それがなんか不思議な感覚だった。一方S4のみなさんは終始バキッ!ってオーラがすごくて。
髙木・寺山 (笑)。
玉城 「怖い〜」って思いました(笑)。
寺山 S4、気合い入りまくってたよね。ストーリーとしても「乗っ取ってやるぞ」みたいな気迫満載の集団ではあるんですけど、役者としても「なんか君たちぬるぬるやってるんだったら俺たち喰らっちゃうよ」と(笑)。
玉城 やっぱり特殊な撮影スタイルなんで、そこでいつもやってる連中には負けないぞっていう気持ちは強かったと思います。
髙木 そうだね。
──レギュラーとゲスト、最高のvs感ですね。レギュラー陣として「映画だからこそ」の達成感、チャレンジできたこと、またお気に入りのシーンなどを挙げるなら…?
寺山 僕は映画の長尺の中、わずか15秒のところにもう全精力を注ぎまして。アディオス・アミーゴスなんですけど。
髙木・玉城 (爆笑)。
──テレビ版でも登場していた、ユッキーとのコンビのメキシカンな彼ら!
寺山 そこ「だけ」に全てを注ぎ込み、登場部分は思いのほか早く終わっちゃったんでその後はちょっと気が抜けてしまいました(笑)。シュンリーさん(髙木)と都内の稽古場借りて、自主練までして臨みましたので。
髙木 やってません! 彼からはラインすら来なかったですよ。
玉城 (笑)。
寺山 いや、台本読んで「あ、これ入れてくれてるんだ。うれしい♪」っていう気持ちをね、大げさに言ってしまいました(笑)。なんか過去の懐かしいネタがふんだんに盛り込まれてる中、アディオス・アミーゴスも入ってたのはやっぱりテンション上がりましたよ。
髙木 そこに関しては僕、本編のときは結構緊張してたんですよ…いまだに自分でも不思議なんですけどね(笑)。寺山くんとは前からよく舞台でもそういうポジションでやってたから本来リラックスするはずなのに、「やってやんなきゃ」って気持ちが変に強すぎて。だから映画版の台本に「アディオス・アミーゴス」と書いてあった時、僕はイヤでした(笑)。
寺山・玉城 (爆笑)。
髙木 僕的なユッキーの感想としては、『サクセス荘』では何かとトラブルメーカー的なポジションになっているせいか、サクセス荘vsS4のはずなのに「あれ? コレ、サクセス荘vsユッキーにもなってない??」っていう、若干寂しい気持ちになる時間はありましたね。なんかね…キャラの宿命なのかな。ユッキーはよく無視されるんですよ(笑)、サクセス荘の仲間に。
──それはある意味キャラクターを全うできたということでもありますね。
髙木 うん。でも…寂しいっス(笑)。
玉城 確かにそういう感じ、あったかも(笑)。僕はとりあえず今回、「占いで予言したことをちゃんと言う」って言うのが使命でした。ちゃんと台本通りに言って、「ここからこういうことが始まります」って観ている方にわかってもらわなきゃいけないので…。
寺山 そっか。話がそこから転がっていくんだもんね。
玉城 読み合わせの時に偉い方からも「そこから始まるんだから、頼んだよ」と(笑)。だから「ちゃんとやらなきゃ」と、そこだけはトチらないように集中しました。
──ちなみに作品の大きなテーマのひとつである「サクセス」。自分自身にとってのサクセスとは?
髙木 サクセスっていう言葉自体すごく素敵だし、もちろん自分もサクセスしたい気持ちは強いんですけど、サクセスって言葉は結構怖くもあって。成功しちゃうとなんか一個終わっちゃったって感じじゃないですか。やっぱり挑戦者としてずっといたいから「サクセスしたいけどしたくないな」って思っちゃう。この『サクセス荘』も成功させたいけど完成形出したら終わっちゃうのかなとか…終わりたくないから。なんかそういう気持ちはすごくあります。
寺山・玉城 かっこいい〜。
髙木 ほんとは成功者として早くリッチになりたいんだけどね(笑)。
寺山 僕は学生時代から何かひとつのことをやり続けて達成したっていう経験が全くなくて。役者業くらいなんですよ、自分がずーっと同じ夢を追いかけられているのが。だから僕にとってサクセスってなると、やっぱり役者として成功するということになりますし、今も絶賛追いかけ中です。「役者としての成功」って…ちっちゃい成功はたくさんあるんですけど、ゴールってなんですかねぇ…玉ちゃん。
玉城 うん? 確かに明確なゴール地点ってなかなかないですよね。でもその“ゴールがわからないところ”がまた、俳優という仕事の魅力だったりやり続けられる楽しさなんだと思うから、単純なイメージで言うサクセスだったらもう「海外」ですかね。サクセス=海外。日本でお仕事があった時、海外の自宅から駆けつける。そこまでのスターになったらもう…これぞサクセス、でしょう。アハハハハッ(笑)。
髙木・寺山 おお〜(笑)。
インタビューの全文は現在発売中の『omoshii press』vol.18でご覧いただけます。
『映画演劇 サクセス荘 〜侵略者Sと西荻窪の奇跡〜』はイオンシネマほか全国上映中。詳しくは下記公式サイトまで。
https://www.tv-tokyo.co.jp/success_soum/