インタビュー & 特集
涼風真世アルバムリリース記念 誕生日のオンラインイベント
今年デビュー40周年の涼風真世さんが、ニューアルバム『Fairy ~A・I~ 愛』をリリースしたのを記念し、誕生日の9月11日に初のオンラインイベントを開催。MCには、宝塚歌劇団月組トップスター時代の元相手役・麻乃佳世さんを迎え、アルバム収録曲や、麻乃さんとのデュエットで「愛(エメ)」などを歌い、楽しいトークを繰り広げました。イベント終了後に行われた合同取材会も併せてレポートします。(文/小野寺亜紀)
INTERVIEW & SPECIAL 2021 9/17 UPDATE
1981年に宝塚歌劇団に入団して以来さまざまな役を演じ分け、歌手としても活動を続けてきた涼風真世さん。9月8日に5年ぶりのニューアルバム、40周年記念盤『Fairy ~A・I~ 愛』を発売したのを記念し、誕生日の9月11日に初のオンラインイベント『涼風真世 バースデーLIVE』を行いました。
冒頭でまず、涼風さんがオリジナル曲「空だけはそこにある」を、今アルバムの編曲などを手掛けた三枝伸太郎さんのピアノ伴奏で披露。「空を見上げると皆さんと心が繋がっているような気がするんです」と、毎朝“空写真”をアップしている自身のブログにも触れ、笑顔を見せます。その後、MCとして宝塚時代の相手役だった元月組トップ娘役・麻乃佳世さんがサプライズで登場し、懐かしい舞台の話なども飛び出すトークが展開しました。
初の生配信イベントについて涼風さんは、昨年の還暦記念コンサートがコロナ禍で中止になり、今年40周年記念コンサートも断念したことで、「何か皆さんと繋がりたい、皆さんにお届けしたい」と思い開催した経緯を吐露。ニューアルバムのスペシャルフォトブックを手に、「こんなに涼風真世の過去を振り返ったことは、無かったような気がします」と話し、昨年の自粛生活のなかで、自身の過去の映像や音楽、譜面などを見返し、そのうえでアルバム制作へ踏み出したことを明かしました。
新曲「地球の涙」で詞を書き下ろした小池修一郎さんについては、初舞台の頃から今年の『ポーの一族』『モーツァルト!』まで演出を受け、「40年の中でどなたかに歌詞を書いて頂けるなら、小池修一郎先生しかいないと思ってお願いしました。私のことを全部分かって下さっている先生」と大きな信頼を寄せます。また、新曲の作曲を依頼したSUGIZOさんについては、LUNA SEAのコンサートを観に行き、共通の知り合いを通してお会いするなかでその世界観に魅了され、「大自然を大切にする気持ちや、世界情勢など色んなことを感じていらっしゃる。(新曲の)壮大なメロディの中には地球に対する優しさがあるし、慈しみもあり、でも絶望もある。人間はちゃんと前を向いて歩いていかないといけない、というメッセージも込められていて、色々な方に聴いて頂きたいです」と話しました。
ファンからの数々の質問にも明るく答え、「50周年のときは何をしたいですか? 野望をお聞かせ下さい」という質問に、『赤と黒』で演じたジュリアン・ソレルの歌の一節を“野望”つながりで披露する場面も! 今後は「色んなジャンルの歌にチャレンジしたいです。童謡も歌ってみたいし、『物語を語る』ということもしてみたい。喉のトレーニングを怠らず、ずっと現役で歌っていられるように頑張りたいです」と、50周年の抱負を語りました。
そしてライブコーナーとなり、オリジナル曲「眠りの果て」(作詞:松井五郎 作曲:玉置浩二)を披露した後、今アルバムでは涼風さんがロミオとジュリエットの両パートを歌っている「愛(エメ)」を麻乃佳世さんとデュエット。麻乃さんは感無量な様子で「こんなに光栄なことはないです」と話し、涼風さんが「とんでもないです!」と笑顔を返します。さらに二人で「花は咲く」をハーモニーで聴かせ、最後は涼風さん作詞の「A-YU-MI(歩み)」を歌い、「皆さまの応援がある限り涼風真世、自分を信じ歌うことをやめません。これからもずっと応援して下さい。本日はありがとうございました」という言葉で初の生配信イベントを締めくくりました。
イベント終了後には涼風さんの合同取材会が行われ、40周年を迎えての想いからコメントしました。「宝塚歌劇を15歳で初観劇したときから、宝塚に絶対入ると決めて音楽学校に入学し、二十歳で初舞台を踏み、トップスターを経て、13年弱で退団しました。その宝塚時代で培ったものが今も私の血となり肉となり、無事に40周年を迎えることができました。宝塚を観ていなければ今の私は存在していませんし、退団後も色々な方々に支えて頂き、今も現役で舞台に立てることに感謝の気持ちで一杯です」。さらに、「今回のアルバムには、その40年の想いを全て込めましたので、永く聴いて頂けたらなと思います」と言葉を繋げました。
初の生配信については、「楽しかったです! 私は話すのがすごく苦手なのですが、少しでも涼風真世の“素”を観て頂けたらなと思いました」とホッとした表情。麻乃佳世さんが側にいることでリラックスできたと明かし、「よしこちゃん(麻乃)は年下なのにしっかりしていて、人生の大切な友達であり、安心できる家族のような存在。これからも仕事でもオフでも長く友達でいられたらなと思います」と、涼風さんのコンサートでも共演している元トップコンビの確かな絆を感じさせました。
ニューアルバム『Fairy ~A・I~ 愛』では、「闇が広がる」のトートとルドルフ、「愛したことだけが」のマリー・アントワネットとフェルセンなど、全パートを一人で歌い分ける驚きの歌唱力と表現力を披露している涼風さん。「自分の声の全ての音域を使って表現できた、集大成のアルバムになっている気がします。基本、喉がすごく強いんです。男役のときは『低い声はこういうふうに出さなければ』とか意識していたのですが、今は力を入れずに低い声から高い声まで自在に出るようになりました。これはボイストレーニング(の成果)もあると思いますが、やはり一番は両親に、これだけ強い声を出せるように生んでくれた母親に感謝しています」。
今回、新曲「地球の涙」に取り組むなかで、小池さんからもアドバイスを受けたと言います。「言葉の繋げ方や、私の癖で色々な声が出てしまうのを統一して、言霊が聴いて下さる方の耳に自然に届くように気をつけました。SUGIZOさんからの『ここはこういう気持ちで歌ってほしい』という想いも含めて、レコーディングしました」と打ち明けます。
また、昨年、還暦記念としてファンクラブ限定で発売されたCD『Fairy ~A-YU-MI~』に初収録され、今アルバムにも収められている「A-YU-MI(歩み)」についてもコメント。「0歳から60歳まで、自分の人生を振り返ったときに色々な想いがあり、それを歌詞に込めました。歌詞を書くのは二度目で、これが楽曲になるだろうかと不安だったのですが、三枝さんが早くに曲をつけて下さったので歌い込みました。色々なことを考えながら、皆さんで創り上げた曲です」。
この日、61歳のアニーバーサリーを迎えた涼風真世さん。その歌声はますますパワフルに、伸びやかに響いてきました。「歌が大好きなので、どんな形でも歌っていきたいです。そのためにも体力維持が必要。70歳を目指して精進していきたいです」。
【データ】
涼風真世『Fairy ~A・I~ 愛』(フェアリーアイ)
2021年9月8日(水)発売
生産限定盤(CD+DVD+BOOK)9900円(税込)
■CD収録内容
01.地球の涙
02.眠りの果て <Acoustic Version>
03.愛(エメ)
04.愛の面影
05.闇が広がる
06.…もしも
07.Forever Love <New Vocal Version>
08.愛したことだけが
09.無縁坂
10.A-YU-MI(歩み)
11.やさしさに包まれたなら
12.マイ・ウェイ
13.LOVER’S GREEN
14.空だけはそこにある <New Vocal Version>
■限定盤DVD収録内容(49分)
「涼風真世&京フィルドリームコンサートin 春秋座2021」
(2021年1月30日京都芸術劇場 春秋座にてライブ収録)
・愛のかけら
・愛!
・我が名はオスカル
・星から降る金
・流れ星のかなた
・A-YU-MI(歩み)
・花は咲く
[ボーナス映像]
・地球の涙(メイキングMV)
■限定盤付属BOOK内容(全116ページ)
「デビュー40周年記念Special Photo Book」
・涼風真世からのメッセージ&スペシャルロングインタビューを掲載
・撮り下ろし写真を多数掲載
・40年間の活動を記録した詳細な年表付き
ビクターエンタテインメント「涼風真世」オフィシャルサイト
http://jvcmusic.co.jp/suzukaze
「地球の涙」 トレーラー映像
https://youtu.be/VKjTQOcic0Q
「A-YU-MI(歩み)」
https://jvcmusic.lnk.to/A-YU-MI
https://youtu.be/1bfu8mEouMg