インタビュー & 特集

ラミン・カリムルー、サマンサ・バークス、ルーク・ウォルシュ、佐藤隆紀(LE VELVETS)らが熱演!『CHESS THE MUSICAL』観劇レポート

ラミン・カリムルー、サマンサ・バークス、ルーク・ウォルシュという世界的なミュージカルスターと、佐藤隆紀(LE VELVETS)はじめ日本人キャストが全編英語で届ける『CHESS THE MUSICAL』。梅田芸術劇場メインホールで1月25日~28日まで上演された舞台は、「ここはブロードウェイかウエストエンドか!」というほどの異次元感に包まれた。圧倒的クオリティを前にすると、気づかぬうちに涙が流れている――。そんな瞬間が何度も訪れた舞台が、2月1日から東京国際フォーラム ホールCに場所を移して上演される。歌のみならず、振付、演出、あらゆる面でファンタスティックな今作の一端をレポート!(文/小野寺亜紀、舞台写真撮影/岸 隆子[Studio Elenish])

INTERVIEW & SPECIAL 2020 1/31 UPDATE

左から、ラミン・カリムルー、サマンサ・バークス

ABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが作曲、『エビータ』『ライオンキング』などのティム・ライスが原案・作詞をしたミュージカル『CHESS』。コンセプトアルバムのヒットからスタートし、世界中に“チェスフリーク”が存在する音楽的魅力に溢れた作品だ。これまでコンサートバージョンをはじめ、多くの『CHESS』が創作されてきたが、今回はロンドンでトップテンに入る実力のニック・ウィンストン氏が、1986年開幕のロンドン初演台本を基に演出・振付した舞台の世界初披露となる。

幕が開くとまず米ソの冷戦時代を象徴する映像が、スクリーンに次々と映し出される(今作では場面に沿った映像がそれぞれ凝っていて見逃せない)。そして舞台を大きく占めるひな壇のセットでアンサンブルたちが歌い出し、複雑な振付を見せていく。このアンサンブルの細かな動きと力強いコーラスが、全編で物語の緊張感をあおり何度も息をのむ。さらにチェスの審判であるアービター(佐藤隆紀)が、まるでターミネーターのごとく冷徹な表情で颯爽と登場、朗々とチェスの背景を歌い上げる――という冒頭からゾワッと鳥肌ものだ。

ダークな色の口紅、高身長で威圧感を醸し出す佐藤隆紀は、流暢な英語で歌い、芝居し、ストーリーテラーを担いながら常にクール。『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンなど人間味溢れる役柄を演じることの多い佐藤の、新境地となったに違いない。

佐藤隆紀(LE VELVETS)

時の世界チェスチャピオン、アメリカ合衆国出身のフレディを演じるのは、ルーク・ウォルシュ。『ROCK OF AGES』UKツアーなど数々の舞台で活躍する英国ミュージカル界の新星だ。美男子ぶりが映える白い衣裳で、ボビー・フィッシャーがモデルの自由奔放なチェスの天才を演じる。両親との辛い過去を打ち明ける「Pity The Child」のハイトーンは、彼の深い闇を表現した芝居と重なり胸に突き刺さる。

ルーク・ウォルシュ

フレディと対戦するソビエト連邦のチェスプレイヤー、アナトリー役はラミン・カリムルー。『オペラ座の怪人』『レ・ミゼラブル』などで主演、来日公演も多い天才肌の俳優だ。筆者はこれまで何度もラミンの生歌に圧倒されてきたが、今作で歌った「Anthem」は特別だった。コンサートとはまた違い、役を生きているなかで真の祖国への想いを歌い上げる1幕ラストのこの歌は、重厚なコーラスともあいまって神々しくさえあった。大阪の取材会でラミンは、イランで生まれ色んな国を転々としてきた自分との境遇が、アナトリーに重なるということを語っていたが、まさに故郷を探し続けるアナトリーと同化し、素晴らしい歌声はもちろん、その表情に心震えた。

ラミン・カリムルー

フレディのセコンドで、のちにアナトリーと惹かれ合うフローレンス役は、映画『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役でも知られるサマンサ・バークス。初来日だが、『レ・ミゼラブル 25周年記念コンサート』での共演経験もあるラミンとの信頼度の深さを感じさせる芝居、強く凛とした存在感、何より「Nobody’s Side」などでみせる驚異の歌唱力に惚れ惚れする。フローレンスもまたハンガリー動乱で父と離別した孤独を抱えており、心の機微を感じさせる芝居もさすがだった。

サマンサ・バークス

さらに特筆したいのは、そんな世界のスターと遜色ない実力を見せた日本人たちだ。アナトリーの妻、スヴェトラーナを演じたのは、先ごろ『ファントム ~もうひとつのオペラ座の怪人~』でエキセントリックなカルロッタを好演したエリアンナ。今作では楚々とした“待つ女”で、サマンサとのデュエット「I Know Him So Well」も美しく聴かせる。共産主義のソビエトを象徴するようなモロコフ役(アナトリーのセコンド)は増原英也。なんと耳心地のいい、深い歌声か。二人がラミンやサマンサと肩を並べるカーテンコールは、オリンピックで活躍する日本人選手を見つめるような心持ちになった。そしてこの作品になくてはならないと思えたアンサンブルの力量に、最大の拍手を送りたい。

国境とは何なのか、まるで今の時代を象徴するようなテーマの数々が浮き上がってくる本作。国家の脅威、勝ち負け、複雑な愛など、さまざまなドラマがチェス盤のコマのように綿密に配置されている。それを読み解くのも、展開と音楽にただ身を任せるのも観客次第。

全編英語だが、日本語の字幕スーパーがプロセニアム部分ではなく、舞台奥のスクリーンの両サイドに出るのでとても見やすかった。そして改めて英語=原語で聴く『CHESS』の楽曲の数々は、リズム感や語感を肌で感じ取れて、素晴らしい音のシャワーを浴びたような爽快感をもたらした。ノリのいいディスコサウンドから、讃美歌のようにも聞こえる神聖なコーラス、クラシックベースの透明感あるソロ、破壊力のある切ないロックまで、これほどバラエティに富んだ音楽で組み立てられたミュージカルはなかなかない。それを美しい照明や斬新な振付と共に、迫力ある生オーケストラによるスペシャルな歌声で聴ける稀有なチャンスを、ミュージカルファンならぜひとも逃さないでほしい。

【1月25日(土)梅田芸術劇場メインホール初日開幕時のキャストコメント】

ラミン・カリムルー(アナトリー役)
私がこのように何度も日本の公演に参加させていただくのは、日本の皆さまが本当に素晴らしいからです。日本で得る経験は、私にとってとても大きい。この素晴らしいCHESSという作品の一部に関わることができ、非常に光栄です。多くの方に観に来ていただけると嬉しいです。

サマンサ・バークス(フローレンス役)
憧れていた日本に、仕事と言う形で来ることができ、本当に嬉しいです。日本のお客様からもたくさんの拍手をいただき、素敵な初日を迎えることができました。クリエイティブチーム、スタッフの方々、アンサンブルの素晴らしいパフォーマンス、みんなで作り上げたこの作品を是非劇場で観ていただきたいです。

ルーク・ウォルシュ(フレディ役)
本日初日あけて、大阪のオーディエンスの皆様はノリがよく、素晴らしかったと感じました。素敵なスタンディングオベーションもしてくださって、ありがとうございました。キャストも、テクニカルチーム、ライティングチームをはじめとした裏方の皆さんの素晴らしい努力のおかげでこのワンダフルな舞台が出来あがりました。ここの舞台に立つことができてとても嬉しいです。素晴らしい舞台ですので、ぜひ観に来てください。

佐藤隆紀(LE VELVETS)(アービター役)
今回、無事に初日を終え、この一ヶ月間頑張ってきた日英カンパニーの努力が大きな感動を生んでお客様に届いていくのをステージ上から感じました。ラミン、サマンサ、ルーク、この世界で活躍する役者のエネルギー、表現力を稽古場で生で体感し、それに触発されて日本人のキャスト全員が信じられないスピードで努力し、振付けや歌を自分のものにしていく姿に仲間ながら感動しました。この世界レベルの競演をぜひ皆様、見逃すことなく目撃者になっていただきたいです。

【公演情報】
『CHESS THE MUSICAL』
※英語上演(日本語字幕あり)
【大阪公演】2020年1月25日~1月28日 梅田芸術劇場メインホール
【東京公演】2020年2月1日~2月9日 東京国際フォーラム ホールC
作曲:ベニー・アンダーソン ビョルン・ウルヴァース
原案・作詞:ティム・ライス
演出・振付:ニック・ウィンストン
音楽監督:島 健
出演:ラミン・カリムルー サマンサ・バークス
ルーク・ウォルシュ 佐藤隆紀(LE VELVETS)
エリアンナ 増原英也
飯野めぐみ 伊藤広祥 大塚たかし 岡本華奈 柴原直樹
仙名立宗 染谷洸太 中井智彦 菜々香 二宮 愛 則松亜海
原田真絢 武藤 寛 森山大輔 綿引さやか 和田清香(五十音順)
※詳細はhttps://www.umegei.com/chessthemusical2020/をご覧ください。


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