インタビュー & 特集

上質なコメディ『カクタス・フラワー』で初絡み!? 水夏希さん&松尾伴内さん

11月10日から青山DDDクロスシアターで上演される『カクタス・フラワー』。『ガイズ&ドールズ』『ハウ・トゥ・サクシード』のエイブ・バロウズの脚本による傑作コメディです。ステファニー役を演じる水夏希さんとジュリアンの親友ハーヴェイを演じる松尾伴内さんに、作品の見どころなどをお聞きしました。(文/大原薫、撮影/熊谷仁男)

INTERVIEW & SPECIAL 2018 11/10 UPDATE

『カクタス・フラワー』の舞台はNY。中年の歯科医ジュリアンは、家庭を大切にする誠実な男であることを証明するため既婚者を装い、若い娘トニと交際している。ある日彼女から、「奥さんに会いたい」と迫られたジュリアン。 堅物の独身看護師ステファニーを、急遽妻に仕立てるが……。

――ステファニー役を演じるのが水夏希さん、そして、ジュリアンの親友ハーヴェイを演じる松尾伴内さんです。お二人が演じる役柄を教えてください。

_DSC8350_pp 私が演じるステファニーは真面目で有能な看護師なんですけど、女性として自分を解放できていない部分があるんです。吉田栄作さん演じるジュリアンとの一連の騒動で自由になって、本当の自分を見つけていく役ですね。

松尾 僕が演じるハーヴェイはジュリアンの昔からの親友。不細工な男がカッコいい男についておこぼれをもらって良い思いをして、でも自分でも恋を見つけたいと思って頑張ってるんです。

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――ジュリアンはハーヴェイに「ステファニーの恋人役をやって!」と頼むんですよね。

松尾 ハーヴェイは心の中ではジュリアンを応援したいなと思ってるんですよね。
 歯を無料で治してもらうためにね(笑)。
松尾 親友といいつつ、見返りはあるんです(笑)。水さんとも芝居で絡みがあって。僕は二役をやるんですが、ジュリアンの親友のハーヴェイの方は、ステファニーが「いやー、やめて!」というくらいの拒否反応される役なんですよ。
 作品の中でもインパクトが強い絡みだから難しいですね。
松尾 スミマセン! …と思いながらも僕は楽しいですよ。
 今回は共演の皆さん全員初めての方ばかりなんです。まったく予想もつかないところからボールが飛んでくる感じがして、それは面白いですね。

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――稽古場はどんな雰囲気ですか?

 笑いが起こって、楽しい稽古場ですよ。でも、最初は皆さん比較的静かでした。私と(演出の)板垣(恭一)さんだけがベラベラ喋っています。
松尾 だから稽古場が明るい感じなんですよ。水さんは昔からそういう感じなんですか?
 そうですね。
松尾 宝塚の元トップの方だと、イメージでは稽古場で物静かにじっとして本を読んでらっしゃるのかと思ったら、ケータリングで何かつまんだり、ちょこちょこ何かやってらっしゃる。
 (笑)、昨日(青木)さやかさんと「伴内さんは意外と静かな方なんですね」と話していたんです。テレビだと明るくしてらっしゃる印象だから。
松尾 意外と緊張するんですよ。慣れたら喋るようになるんですけど。だから水さんは明るくていいなと思いますね(笑)。
 コメディだし、カッコつけててもしょうがないというか。自分のすべてをさらけ出して、調理をしていただこうかなというスタンスなので。
松尾 よく知らないと「怖い人なんだろうな」とか思われませんか?
 よく言われます。ファンの方とのイベントでもずっと喋っているので、「イメージとギャップが……」と言われたりしますね(笑)。
松尾 想像以上に明るい方なんだと思うと、僕も入っていきやすいですよ。
 増田(有華)さんも松本(幸大)さんも明るくて爽やかでいいですね。立ち稽古初日は緊張してましたけど。芝居の冒頭が二人の場面から始まって、皆が注目しているので。板垣さんが「緊張してる?」と聞いたら「してますよー!」と。
松尾 でも、お二人から若さが伝わってくる。僕にはない若いエキスがね(笑)。
 そうそう。二人のダンスシーンなんかは、近くで見たことがない空気感で楽しいです。

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――一転じて、水さんと松尾さんでアダルトな魅力が見られますね。

松尾 そうですね。僕と水さんの二人で踊るシーンもあるので面白く、さらにカッコよく、いろいろなものを混ぜながら見せられると、若い人たちとはちょっと違った魅力になるんじゃないかと思うんです。それは水さんにかかってます!
 いえいえ、そんな(笑)。
松尾 僕はクルクル回されたり、バーッとやられてるだけですから。
 すみません、遠慮なくやっているので(笑)。でも、伴内さんはたけし軍団でタップダンスを習われていたんですよね。
松尾 そうなんです。(ビート)たけしさんの弟子に入ったときから、「お前、タップくらいやれよ」と言われて。30年やっていますけど、実際にやった期間をきゅっと縮めたら、正味2年くらいかな。

――そんな経験も今回の舞台に生かせそうですか?

松尾 いや、生かせるかなあ…。
 もちろんですよ。役者は技術はあった方がいいけれど、お客様が「楽しいな」「いいな」と思うのって、技術があるかどうかじゃないんですよね。昨日も板垣さんとそんな話をしていたんです。伴内さんを見ていると、その存在にワクワクさせられますね。昔からそういう芸風なんですか?
松尾 昔からですね、特に自分の雰囲気をこうしようというのはなくて、こういう感じでずっと来させてもらった。
 たけしさんとの出会いの話を聞いてびっくりしました。「そんなことがあるの?」って。
松尾 深夜3時にラジオの生放送が終わったたけしさんを出待ちして「弟子にしてください」と言ったんですよ。それがきっかけで、たけしさんのお茶くみから入れていただいた。
 すごい。人生に迷いはないんですね。
松尾 いや、僕なんか水さんに比べたら大変じゃないですよ。やっぱり宝塚のトップの方はすごいですから。普通に考えたら舞台で共演させていただくなんてなかっただろうし、こういうご縁でご一緒させていただくのは嬉しいですよ。水さんもこういうお笑い陣と一緒にやるのは刺激があるでしょう?
 本当に。さやかさんとも絡みがあるんですが、予想の上を行くようなことをされるから、焦ります。ようやくちょっと落ち着いてきましたけど(笑)。
松尾 僕らは毎日違うことをやったりするけど、水さんは慌てずに堂々とされているから、すごいなあって。
 いや、実はあたふたしているんですよ。
松尾 それを見せないのがさすがですよね。

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――改めて、『カクタス・フラワー』とは、どんな作品でしょうか?

 1960年代のコメディですが、ストーリーが全然古さを感じさせない。普遍的な人間の関わり合いを描いているんですね。
松尾 面白いですよ。僕も見て好きになりました。様々な男と女の愛情というのかな。それが思わぬところから始まって。
 そうそう。人生ってなかなか思い通りにいかないこともあるし、ひょんなことで「これでよかったんだ」と思うこともある。共感ポイントがたくさんある作品だなと思いますね。それに、展開が早い。1シーン5分くらいの勢いで、ポンポン話が進んでいくみたいな。
松尾 一つ問題があってそれを収めようとすると、ああ、今度はこっちから別の問題が出てくる。
 「ああ、また嘘つかないといけない」とか。
松尾 そうそう。つぎつぎと問題が出てきて、それを収めようとすると大ごとになって。だから話が進むにつれ、どんどん面白さが膨れていくんです。
 板垣さんが稽古の初めの頃に「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くで見るとコメディだ」というチャップリンの言葉をおっしゃったんですが、そのとおりだなと思いますね。一人一人は必死で前に進めようとしているのに、その姿がおかしいんです。お客様は手放しで楽しんでいただけることは間違いないなと思いますね。

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――この作品でどんなことが伝えられたらいいなと思いますか。

 今とてもいいタイミングでステファニーという役をいただいたなと思うんです。私は(宝塚を卒業してから)コメディもストレートプレイも初めて。今までは音楽がある作品ばかりで、「これを歌いあげたら一つのシーンが完結する」というものをやってきたから、歌がないということが本当に恐ろしくて。でも、それにチャレンジするには自分と向き合って、胸襟を開いてやらないといけないんです。ステファニーも自分を解放して、自分の本当の気持ちに気づいていく。今の自分と重なるところがありますね。お客様にも、もっと自分の気持ちに素直でいいんだ、自分は自分でいいんだと思っていただけたらと思いますね。
松尾 僕はね、この作品の話は、現代の人たちが経験していることばかりだと思うんです。
 本当にそう。
松尾 日常に生活していて……
 「あるある」ばっかりですよね。
松尾 本当にそうなんです。たとえば、相手が自分を好きだけど、今は相手に興味ないとか。今の人たちが経験している人間関係に照らし合わせて「ああ、そうそう」と思いながら見ていると、最後には素敵なことも起こるんだなと感じていただけると思いますね。

 

 

無題『カクタス・フラワー』
東京公演:2018年11月10日(土)~12月8日(土)
大阪公演:2018年12月11日(火)
静岡公演:2018年12月13日(木)

作/エイブ・バロウズ
上演台本・演出/板垣恭一
音楽/和田俊輔
出演/水夏希・吉田栄作
増田有華・松本幸大(宇宙Six/ジャニーズJr.)
松尾伴内・青木さやか

https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2018/cactus_flower/

 


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