インタビュー & 特集
座・ALISA Reading Concert vlo.II 『キセキのうた~私たちの「今」を歌おう~』 観月ありささん・湖月わたるさん・春野寿美礼さん
観月ありささんが発起人となって昨年12月に誕生した座・ALISAは名作や名曲を軸としたドラマ仕立ての構成で、今を生きる女性たちの勇気と感動を伝える本作、2作目となる 『キセキのうた~私たちの「今」を歌おう~』が、8月26日に開幕しました。
今回は観月さんが元宝塚歌劇団トップスターの湖月わたるさんと春野寿美礼さんとボーカルユニットを結成!
松任谷由実さんの楽曲集を原作として、「離れ離れになっていた3名の女性が友人の死をきっかけに再集結。40代を迎えていた彼女たちが再び歌への情熱をリスタートする……」という物語。観月さんが愛称「アリ」、湖月さんが愛称「ワタル」、春野さんが愛称「オサ」という名前でステージに登場します。
今なお美しく輝く3人にお話を伺いました。
(撮影/笹井タカマサ 文/大原薫)
INTERVIEW & SPECIAL 2018 9/1 UPDATE
――三人がお揃いになって、いかがでしたか?
観月 この衣装で3人で並ぶのも、(東京公演が上演される)セルリアンタワー能楽堂のステージに上がるのも初めてだったんですが、実際に3人で並んだら「大丈夫だわ、よかった」と思いました。
春野 見事でしたね。
湖月 先ほどありささんから「色もデザインも3人が並んだときの雰囲気も考えられた」と伺ったんです。
春野 そうなんです。「細部まで考えた」と聞いて驚きました。
――今回のストーリー作りには最初から観月さんが参加されているんですね。
観月 そうですね、前回の座・ALISAは空想世界のピュアな恋の話だったんですけど、今回はもうちょっとリアルな話を読みたいと最初に言っていたんです。40代女性のリアル感で、見に来てくださったかたたちがくすっと笑ったり、「あるよね、そういうこと」と共感できたりする脚本がいいなと思って、そういうテーマで脚本を書いていただきました。湖月さんと春野さんに出演願えるということでお二人の個性を生かした当て書きで、登場する女性像もバランスよく散りばめられた内容になってるんじゃないかなと思います。
――台本を読まれた感想は?
湖月 それぞれの人生を生かしたお話になっていて、共感できる部分がたくさんありましたね。40代女性で、結婚して子供がいる方(春野)、結婚して間もない方(観月)、結婚の道を選んでない方(湖月)、それぞれの人生を通してエールを送れたらと思います。
春野 私たちはまったく違う役の人物になりきって芝居をすることが多いんですけど、今回は等身大に近い形で描かれていて、役を演じるというよりは今の自分が形になるのではないかと感じています。そういった面では自分が今まで経験してきたことをここに投入していけるかなと思いますね。
観月 お二人は華やかなものや外国の方の役を演じることが多くて、あんまり現実的な女性像をやらないじゃないですか。華やかなものをやってきた方たちがリアルな部分を読むというのは面白いかなと思いますね。
湖月 観月さんは、今放送されているドラマを見ても、私の大好きな『ナースのお仕事』のいずみちゃんもそうですけど、どこか憎めなくて、応援したくなるような女性をずっと演じてこられたじゃないですか。本当にすぐそばにいそうなリアルな女性を演じる第一人者の方と、元男役の私たちが初めて女子トークを舞台でやるという(笑)
春野 そう。やったことがないから、怖いところはありますよね。
観月 大丈夫かなあ、お二人のファンの方に「こんなことをさせて」とか思われないですかね(笑)?
春野 いやいや。「こんなオサが見られるなんて」と喜んでいただけると思いますよ。
湖月 普段に近い私たちを舞台上で演じる貴重な機会なので、ぜひ、ありささんの世界に私たちを引っ張り込んでいただきたいです。
春野 今回は壁を取っ払ってやっていきたいです。
観月 楽しいですね。それぞれのファンの方がどういう感覚で見るのかなというのも楽しみの一つですね。
――お互いのご印象は?
観月 湖月さんは2年前に舞台を見に来てくださったときが初対面だったんです。「うわ、大きい!」って(笑)。
湖月 (笑)
観月 テレビの世界では自分より背が高い女優さんと会うことがないんですよ。その後に私のコンサートに出演していただいてからのお付き合いで「また何かできたらいいね」とずっと言っていたんです。春野さんとは今回初めてで、細身なのに存在感がとてもどっしりと落ち着いているんですね。自分も40代になったんだから、これくらい落ち着かないといけないなと思いました。
春野 ありがとうございます。
湖月 私は『ナースのお仕事』のいずみちゃんが大好きで、どれだけ勇気をもらって応援したかわからないんですけど(笑)。2年前に観月さんの舞台を見に行ったときはシェイクスピアのお話で、ドレスも男装もどちらも絵画から抜け出たようにおきれいだったんですよ。本当に舞台映えしていらしてまた惚れ直したというか(笑)お会いしたらすごく気さくにご挨拶してくださったのが嬉しくて。舞台に花を咲かすことができる方だなというのをすごく感じていて、一つの作品を一緒にできるということで間近でいろんなことを勉強させていただきたいなと思います。このゴールドの衣装のほかに、アイドル時代の衣装もあるんですよね。とても嬉しいです! 観月さんのセンスを感じるステージになると思うので、ご一緒できて本当に光栄です。
観月 いやあ、頑張ります。ふふふ(笑)
湖月 オサちゃんとは宝塚時代、同じ時代をトップという立場で駆け抜けた仲間、退団してからも一緒に公演をしているのですが、お芝居をするのは初めてなんです。だから、二人でありささんにくっついて。
春野 もう離れません(笑)!
観月 私の方が学ぶことが多くて「どっちがいいと思います?」ってずっと言ってると思う。
湖月 いえいえ。ご一緒できて心強いです。
春野 私はテレビで拝見していて、そんな観月さんはなんてピュアで可愛らしくて憎めない方なんだろうと思っていたんです。先日初めてお会いしたとき、観月さんの方から小走りで私の真正面までいらっしゃって「よろしくお願いします!」とご挨拶してくださったんです。本当は私の方からご挨拶しないといけないのに。人を真正面から受けとめてくださる純粋な方だと感じましたね。気さくにお話をしてくださるし、座長なのに「どうしましょう」と相談してくださって。視野が広い、心が広い方なんだなと思いました。
観月 いつもそうやって周りに助けられてるんですよ(笑)。
春野 だから絶対にありささんについていこうと自分の中で決めたし、何かあったら倒れないように支えたいという気持ちです。本当にそんな素敵な方とご一緒できるのが幸せです。
観月 嬉しい!
春野 こちらこそです。わたるさんは宝塚時代からずっとご一緒させていただいているんですが、私はいつもわたるさんに助けられているので。大きな声では言えないですけど、私はダンスはあまり……。
湖月 言ってる、言ってる(笑)
観月 録音されてますからね(笑)。
春野 声を小さくしてもダメですね(笑)。ダンスを得意としてやってきてなかったので大変な場面もありましたが、その都度わたるさんに助けていただいたんです。ダンスだけでなく精神的な面でも助けていただきました。今回もわたるさんとご一緒するということで勇気づけられています。この三人のユニットをオフも楽しんで過ごしていきたいと思います。
観月 いいですね。女子だけだと楽しいですよね。
湖月・春野 楽しいですね。
――ご覧になる女性の方へどんなメッセージを届けたいですか。
観月 今、自分が40代になって、自分の生き方をちょっと止まって考えて「このままでいいのかな」「あのときこうした方がよかったんじゃないか」と考えたりする時期だと思うんです。いろいろと思うことがある40代で、周りからは「もう40代だから」と言われても自分の精神や体が追い付かないところも結構ある。40代ならではの悩みや思うところを演じて、少しでも見ている人が「ああ、私もこういうこと思ってるけど、もうちょっと気楽に考えよう」とか、「自分の人生も悪くないな」と自分と重ねて思って前向きになってもらえる舞台になったらいいなと思っています。ここからの50代、60代をどう過ごしていくかと、前を向ける作品になったらいいなと思っているんですね。それを40代の私たちがやるから、説得力が出てくる。自分の悩みって意外と自分のうちに秘めて表に出さないところがあるじゃないですか。自分自身と向き合うきっかけになったらいいなと思いますね。
湖月 そうですね、本当に。
観月 「あのときにこの人と出会ったから今この作品ができる」とかいうことってあると思うんです。出会いの大切さ、人とのつながりの大事さを伝えていけたらいいなと思っていますね。
湖月 ありささんは早くからこの作品に携わってらっしゃって、今おっしゃったメッセージをお伝えするために、違う人生を選択した3人の内の1人としてキャストに選んでいただいたんだと思うんです。私が演じる「ワタル」は独身を続けている役ですが、結婚しない理由は人それぞれで、結婚するかしないかより、何かにときめきを感じたり、自分が輝ける何かを見つけて、前を向いて歩いて行く道を見つけることが大切なように思います。もし結婚する・しないで悩んでいる方がいたらあまり悩まないでほしいなと思いますね。やりがいを見つけて、キラキラ輝いていてほしいです。いろんな人生があると思いますから。
春野 そうですね。実生活の私は結婚もして妊娠出産という経験もして、今幸せですけれども、幸せだからといって何も悩みがないわけではないんです。皆さんそうだと思いますが、好きなことをやっているからといって何も悩んでないわけじゃない。皆それぞれに抱えていることがあると思うけど、40代だからと言ってそこに収まってしまうのではなくて、ちょっと勇気があれば一歩踏み出して全然違う人生が開けるんだということをお伝えしていけたらいいなと思いますね。些細なことで大きな変化があるかもしれない。40代でいろんな方面で活躍してらっしゃる方もたくさんいるし、今はいろんな選択ができる時代。自分で視野を狭めないで足を踏み入れるチャンスがいくらでもあるんだということを感じ取っていただけたらと思いますね。
湖月 その一歩の勇気に、ぜひこの舞台を見ていただきたい。
観月 そうですよ! 私自身が、挑戦し続ける勇気を持ってやってますから。様々な形の女性の話を交えながら、音楽とダンスと衣装と華やかな世界を作っていきたいと思っております。女性同士でもデートや旦那様とも、ぜひいろんな方に見ていただきたいですね。
8月26日に前半戦初日を迎えた舞台の様子を、少しだけお届けします!
座・ALISA Reading Concert vlo.II『キセキのうた~私たちの「今」を歌おう~』 は、後半戦、9月1日(土)~3日(月)まで東京・セルリアンタワー能楽堂、9月22日(土)~9月23日まで大阪・サンケイホールブリーゼ、9月29日(土)~9月30日(日)まで名古屋・ウインクあいち 大ホールにて上演。詳細は下記公式サイトにてご確認ください。
https://www.za-alisa.com