演劇 & エンタメ系 WEBマガジン omoshii

（part.1より続く）

　言葉の端々から、努力を重ねてきたからこその確かな自信が伝わってきました。その柳下さんに、Wキャストの太田さんについて聞いてみると…。

「もっくん（太田）は、入り口が早いです。入り込み方、掴み方が早い。あと単純にビジュアルがかっこいいですね（笑）。シュッとしてて、“直貴かっこいいなあ”って嫉妬しながら見ています（笑）。でも僕にはどこかで負けず嫌いな部分があるので、負けたくないなって気持ちもありますし、（太田が演じる）直貴を見て、“そういうふうな感情があるんだ”“そっちでもやってみたい”と気づけることもあるので、そういう意味では、Wキャストであることで、より直貴を追求できるかなと思っています。とても恵まれた環境だし、とことんやってみたいです」

「ふたりは全然違っているんですよ」と、藤田さん。「柳下くんは直貴そのものである、と言えるくらい稽古初日に作り込んでいて、堂々と直貴として立っていて、とてもスマート。舞台の初日に出来上がるべきところが、稽古初日にもうできているのなら、もっとすごいところまで行きたいなと思っています。もっくんは、いい俳優ですね。以前別の舞台でもご一緒しているんですが、本質的に暗い人だなって思っていたんですけど、そうでもないみたいで（笑）。僕が言ったダメ出しに対して、すぐ反応が返ってくる、一瞬にして変わるんですよ。勉強家ですね。間違いなく言えることは、直貴を演じる上で必要な深みと、人生の、どうしようもなく絶望してすべてに裏切られる生々しさは、二人とも全然違う形で出ると思います」

　ミュージカル『手紙』には、藤田さんのほかに、重要な二人のクリエイターがいます。脚本・作詞の高橋知伽江さんと、作曲・音楽監督・作詞の深沢桂子さん。お二人について、藤田さんは

「深沢さんは、すごいんですよ。“私はこれを泣きながら書いたのよ！　だからこうして欲しいのよ！”って稽古場で立ち上がって、おっしゃるんです。それぐらい魂を込めてスコアを書いていらっしゃる。高橋さんも、本当にすごい熱量で、夜中の3時や4時に台本の直しが来るんですよ。“できました！”って。そんな時間まで妥協せずに取り組んでくださる。そういう方々と一緒に作っているんです。台本というラブレター、スコアというラブレター、そして東野さんの書いた原作というラブレター、３つのラブレターが僕らに立ち向かってきているので、それを乗り越える強さで僕らは取り組んでいかないといけないと思っています」

“再演ではなく再挑戦である”と宣言する新しい演出と、二人の直貴が作る「全然違う生々しさ」、そしてクリエイターたちの情熱が紡いでいく、新たなミュージカル『手紙』。再挑戦の結果は、ぜひ劇場にて目撃を…！

　また、柳下大さんの初日コメントが届きましたので、そちらもご紹介します。

「演出の藤田さんをはじめ、キャスト、スタッフ一丸となって作っては壊しを繰り返し、命をかけて魂を込めて作った作品をようやく皆様にお見せできることを嬉しく思います。
2017年最初の衝撃作をぜひ観にいらしてください。
全身全霊をかけて臨んでいます。
『ある日突然、人生が裏返しになった…。』」

ミュージカル『手紙』は、１月20日から新国立劇場 小劇場、そして2月11日から新神戸オリエンタル劇場にて、上演中です。

詳細は公式サイトにてご確認ください。
http://no-4.biz/tegami2/