インタビュー & 特集

INTERVIEW! 「新春浅草歌舞伎」 坂東巳之助さん

「新春浅草歌舞伎」の魅力とそれぞれの抱負を伺う出演者インタビュー。2回目は坂東巳之助さんの登場です。(文/仲野マリ、撮影/増田慶)

INTERVIEW & SPECIAL 2017 1/11 UPDATE

「経験が乏しかった自分にとって、浅草歌舞伎はひとつの原点になっている」と語る坂東巳之助。今回も『傾城反魂香』の主役・又平と『吉野山』の早見藤太は初役。『棒しばり』では太郎冠者を勤める。

「愛」はいつの時代も変わらないテーマ

「若いお客様に古典のよさをお伝えするのはたしかに難しいです。でも、古典って、いつの時代も変わらないテーマを扱っているから残っているんですよね。たとえば『傾城反魂香(通称:吃又)』は、吃音というハンディキャップを負った夫とそれを支える妻が奇跡を起こす物語です。夫婦愛とか自分の力を信じる気持ちとか、そういう普遍的なテーマが来てくださる若いお客様の心に響いてほしい。女房おとく役の壱太郎くんも自分も初役なので、それぞれ先輩に教わりますが、芝居は二人の掛け合いからできてくる。一緒に稽古を重ねていくことで、自分たちらしい夫婦の形が見えてくるのではないかと思います」

 

真っ白な気持ちで役に向き合う楽しみ

先ごろスーパー歌舞伎『ワンピース』に出演、ボン・クレーの見事な役作りが衝撃的だった巳之助。新作歌舞伎をつくるなどに新たな興味が湧いたのでは?
「自分は新しい歌舞伎を作りたいとか、あまりそういうことを考えたことはありません。新作も含め、歌舞伎の中にはいろんな演目、いろんなお役がありますので、機会があればどんなものでもさせていただきたいです。たとえば前回(2016年1月)の浅草歌舞伎で『毛抜』の粂寺弾正を勤めさせていただきましたが、まさかあのお役をいただけるとは思ってもいませんでした。そういう突然降ってわいたような形で役をいただくことを面白がるのは、役者にとって楽しみの一つなんだと思います。自分で方向性を決めるにはまだ早いですし、若い分、とにかく全力でやらせてもらう、というのが自分の信条。常に真っ白な気持ちで役に臨みます」

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浅草歌舞伎最大の目玉?? 楽しい「口上」で歌舞伎が一気に近くなる!

新春浅草歌舞伎には、毎年大好評の「お年玉<年始ご挨拶>」がある。第1,2部ともに上演前に日替わりで、出演者による口上が付いているのだ。ただ、口上とはいえ伝統にのっとった挨拶は最初と最後だけのことが多く、演目の解説や歌舞伎の見方、楽しみ方などを話したりと、それぞれの役者の個性も楽しめる。
「さっき話していたあの人がもう花道から登場してきた、なんていう驚きも含め、お客様が歌舞伎を身近に感じてくださっているようなので、これからも工夫して続けていきたいですね」
 最近、気になることがあるという。
「舞台を観る前に、全部わかろうと頑張っちゃうお客様が多い気がします。映画もあらすじを全部調べて、俳優さんたちの撮影エピソードとかも全部知って、先に観た人の口コミを読んで絶対面白いって確信してから行く、みたいな。せっかく劇場に足を運んでくださるのに、答え合わせして帰るだけじゃもったいなくないですか? 自分としては、できるだけフラットな気持ちで観てほしいんです。特に、初めて歌舞伎をご覧になるときは、そのときにしか味わえない新鮮な感動があるはずだから、ぜひ、真っ白な状態で観に来てほしいと思っています」
 そうは言っても予習なしでは何もわからないのでは?と不安な人が多いのもたしか。
「不安な人のためにはイヤホンガイドもありますし、日本人が日本語でやっているお芝居ですから、ほんとに最小限の情報があれば絶対に楽しめます」

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お正月の浅草で観る歌舞伎は一味違う。町ごと江戸の風情を楽しんで!

「新春浅草歌舞伎を特徴づけているのは、何といっても浅草という街そのものでしょう。浅草には、それもお正月の浅草にしかない雰囲気があります。日本のお正月らしい風情や空気感、仲見世の賑わい。その中を歩いて浅草公会堂に入り、芝居をご覧になって観終わったらまた街に出て行く……。私たちの芝居は、この街にすごく力をもらっている気がします」
出演者たちも当然街を歩いて楽屋入りする。
「自分たちも芝居の後、皆でご飯を食べに行くのを楽しみにしてるんです。お客様も劇場へ来る道々、わくわくするのではないでしょうか。日本の下町の、いわば江戸時代に似た空気を体全体に浴びながら劇場にたどりついて、そこから幕が開いていく、この感覚は、国立劇場のある半蔵門とも、歌舞伎座のある銀座とも違う、年に1回浅草ならではのものなのではないかと思います。ぜひ一度、経験してみてください!」

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ばんどう・みのすけ●二代目/屋号:大和屋  
平成元年生まれ。十世坂東三津五郎の長男。平成3年に初お目見得の後、平成 7 年に二代目巳之助を襲名し初舞台。舞踊に定評がある一方、平成27年よりスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』にゾロ、ボン・クレー、スクアードの3役で出演、好評を博した。。

★★★お知らせ★★★
最新刊「omoshii mag vol.8」に、尾上松也さん、坂東巳之助さん、中村壱太郎さん、中村隼人さんがご登場!
ぜひ、誌面でもカッコイイお写真とインタビューをご堪能ください。

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『新春浅草歌舞伎』
1/2(月)~26(木)浅草公会堂
出演/尾上松也、坂東巳之助、中村壱太郎、中村隼人/中村錦之助ほか
☎0570・000・489(チケットホン松竹)


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