インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『ロミオ&ジュリエット』馬場徹さん×矢崎広さん
1月15日に初日を迎えるミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。新キャスト・新バージョンで4年ぶりに上演されるこの話題作で、ロミオの親友・ベンヴォーリオをWキャストで演じる馬場徹さんと矢崎広さんに、お話を伺いました。
撮影/笹井タカマサ(馬場)、花井智子(矢崎) 文/小柳照久
INTERVIEW & SPECIAL 2017 1/12 UPDATE
−−稽古の様子はいかがでしょうか。
矢崎 僕はまだ稽古に合流したばかり(取材時)なので、追いつくのに必死なんですが、前回までの公演とはまた違う形のものになっていると感じています。
馬場 とにかくダンスの量が増えているので、稽古場は大変ですけど、面白いですね。
矢崎 ダンス・ミュージカルと言っても過言ではないくらいにダンスが多くて、新しい経験をしている感じです。シェイクスピアの愛のストーリーだけじゃなく、現代人にも共通する悩みや闇の部分が詰まってます。
馬場 矢崎さんは『ドッグファイト』でも踊ってましたよね?
矢崎 あれに比べてもさらにダンスがある感じ。ロックが入ってたりして、『ロミジュリ』の印象がガラリと変わりました。お客様の印象も変わるんじゃないかな。
馬場 表現することが多い作品ですよね。今回のカンパニーは先輩たちも気さくにお話できる方ばかりなので、稽古場に来るのが毎日楽しいです。稽古の段階では120%の全力を出し切って、本番に向けてブラッシュアップしていきます。全編、直球勝負です。
矢崎 稽古から楽しめているのは強いよ! 馬場くんのベンヴォーリオってとにかく説得力があって、喧嘩を止めようとするシーンなんて「そりゃ止まるわ」って思いながら見てました。
馬場 体がでかいから(笑)。
矢崎 いや、立ち姿だけで説得力あるよ! 僕は役を仕上げるにあたってはスロー・スターターで、求められたものを必死で本番までに仕上げるタイプなので、パッと演じてみせる馬場くんを見ると刺激を受けます。
馬場 僕もけっこう、矢崎さんの事は見てるんですが、「あの表情が素敵だな」とか「あんな表現の仕方があるんだ」とか、すごく勉強になってます。僕はあれこれまず動いてみるタイプだけど、矢崎さんは自分がやりたいビジョンがあって、スッと収まっていく感じが魅力です。
矢崎 役に対するアプローチが違いますね。
−−シェイクスピアの古典作品ですが、今の学園モノのドラマのような若者たちのやりとりには、感情移入しやすいなと思います。お二人はどんな学生時代でしたか?
馬場 サッカーやって、役者の仕事もしたりして、とにかく体を動かして楽しんでました。『ロミオ&ジュリエット』は初恋あり、男の友情ありと、学生時代を思い出す要素がたくさんありますね。
矢崎 僕もスポーツは小学校三年生から野球をやってて、しばらくは将来は野球選手になるもんだと思ってたんですが、ある日突然役者になろうと思い立ってそこからは一直線です。
馬場 今のお互いの役作りにつながるものがありますね。
−−役作りは、まずどういったところからアプローチをしていますか?
矢崎 『ロミオ&ジュリエット』はモンタギュー家とキャピュレット家との何世代にもわたる争いがベースにあって、なんでそこまでもめているのかハッキリしてない部分が多いのがまずは気になりました!
馬場 敵対している関係なのに、理由に明白なものがないんですよね。小池先生からは、ちゃんと敵対している関係を作ってほしいと言われています。両家が一緒に踊るナンバーもないし、踊りのカラーも両方違うので、シェイクスピアは理由を描いてないけれど、「対立」は意識してます。宗教的なものかもしれないし、古い町に新参者が入って成り上がってきたのかもしれないし。
矢崎 馬場くんが以前出てた『ザ・ビューティフル・ゲーム』も対立する人間関係が描かれたミュージカルだったね。
馬場 アイルランドを舞台にしたカトリックとプロテスタントの宗教争いに、サッカー少年たちが巻き込まれる悲劇。切っても切れない「血」がある作品は難しいです。
矢崎 現実世界でも、今なお人種差別が存在しますし、民族は同じでも分裂や合併による経済格差によるしこりが残ってたりします。
馬場 人それぞれの解釈がありますが、モンタギューとキャピュレットは、何が原因でもめている、というよりも、お互いに折れることができない見栄の張り合いをしてるのかもしれない。ベンヴォーリオを演じるにあたって、ロミオとジュリエットの悲劇をきっかけに両家が仲良くなってほしいと願いながら舞台に立っています。でもマーキューシオもどこかで平和を求めているし、ティボルトだって「実は争い事なんてしたくないんだ」とか「復讐の手先になりたくないんだ」と心情をナンバーの中で吐露しているんですよね。
矢崎 だけど、そうせざるを得ない環境の中で生きている。そういうなかで、最後まで生き残るのがベンヴォーリオの使命。両家の争いやロミオとジュリエットの死を見ている役です。そういうところが魅力的な役だと思います。
−−プレスギュルヴィック版はベンヴォーリオの扱いが大きいのが特徴の一つですね。
矢崎 そうなんですよ。芝居終盤に大ナンバーが控えてるし。
馬場 とても現実的な人だと思います。彼にも血の気の多いところはあるけれど、周りを見て、何か語らずとも、自分の中でいろいろ考え、悩むところが人間くさいかなぁ。人生が思い通りにいかないことを学び、ロミオやマーキューシオといった仲間を失い、一人になって生きていきます。もしかしたら、お客様が最も感情移入しやすい役かもしれません。
矢崎 うん。ベンヴォーリオには平和を思う心があって、受け入れやすいんじゃないかな。
馬場 僕は、周りを見ることができる人物だからこそ、彼のメッセージをきちんと伝えられたらと思っています。日本人の考え方に近いので、とてもキュートな感じに仕上がるんじゃないかなと。
矢崎 外国の人から見たらまた別の魅力があるのかもしれませんが、日本人としては共感できる役です。
−−新バージョンの『ロミオ&ジュリエット』です。見どころや意気込みを教えてください。
馬場 シェイクスピアは古典中の古典作品ですが、ロックのテイストが加わり、小池先生が近未来に設定した新しい『ロミオ&ジュリエット』です。ロミオ目線だけでなく、馬場ベンヴォーリオと矢崎ベンヴォーリオそれぞれの味わいも楽しんでください。
矢崎 この公演をきっかけに、シェイクスピアに興味を持っていただきたいですね。
馬場 古びることなく、何世代にもわたって伝えられてきた作品なので、楽しく観てください。
[プロフィール]
ばば・とおる
1988年6月17日生まれ、東京都出身。
2006年にミュージカル『テニスの王子様』で初舞台を踏み、注目を集める。2010年につかこうへい演出の『飛龍伝2010ラストプリンセス』に出演。『広島に原爆を落とす日』『熱海殺人事件 Battle Royal』などのつか作品や、『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『ザ・ビューティフル・ゲーム』などのグランドミュージカルにも出演。またドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』『スニッファー』など、映像の仕事でも活躍している。
やざき・ひろし
1987年7月10日生まれ、山形県出身。
2004年にミュージカル『空色匂玉』でデビュー。ミュージカル『イントゥ・ザ・ウッズ』、ドラマ『ごくせん』、バラエティ番組『戦国鍋TV』などさまざまなジャンルで活躍し注目を集める。最近の主な出演作に、舞台『黒いハンカチーフ』『女中たち』『ミュージカル「薄桜鬼」』シリーズ、ミュージカル『ドッグファイト』、ミュージカル『タイタニック』『ETERNAL CHIKAMATSU』、ドラマ『東京DOGS』『HERO』、アニメ『ヒロイック・エイジ』等。4月に本多劇場で上演される『魔王コント』に主演を予定。
[公演情報]
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
東京公演 2017年1月15日(日)~2月14日(火) TBS赤坂ACTシアター
大阪公演 2017年2月22日(水)~3月5日(日) 梅田芸術劇場メインホール
原作:ウィリアム・シェイクスピア
作・音楽:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
出演:古川雄大/大野拓朗(Wキャスト) 生田絵梨花(乃木坂46)/木下晴香(Wキャスト) 馬場徹/矢崎広(Wキャスト) 平間壮一/小野賢章(Wキャスト) 渡辺大輔/広瀬友祐(Wキャスト) 大貫勇輔/宮尾俊太郎(Wキャスト・Kバレエカンパニー) 香寿たつき シルビア・グラブ 坂元健児 阿部裕 秋園美緒 川久保拓司 岸祐二 岡幸二郎 他
公式サイト http://romeo-juliette.com
公式ツイッター@musical_RJ