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SPECIAL! 『お気に召すまま』初日開幕!
ウィリアム・シェイクスピアによって1600年頃に初演された喜劇『お気に召すまま』。けれど、今回のマイケル・メイヤー演出版『お気に召すまま』の舞台は1967年のアメリカ!? はたしてどんなシェイクスピア・ワールドがくり広げられるのか……。初日前日の1月3日、シアタークリエにて公開舞台稽古が行われました。その模様をお届けします!(文/文月カナ、舞台写真/東宝演劇部)
INTERVIEW & SPECIAL 2017 1/6 UPDATE
幕が上がると、舞台上にギリシャの神殿を思わせる建物がそびえている。そこにはクラシカルなスーツを身にまとった、オーランドー(ジュリアン)とアダム(青山達三)の姿が。一見ミスマッチのように見えるこの光景が、観る者をマイケル・メイヤーの『お気に召すまま』ワールドへと一気に引き込んでいく。
60年代が舞台になってはいるものの、テキストはシェイクスピアの原典に忠実。宮廷(ワシントンD.C.)を追われた元公爵の娘であるロザリンド(柚希礼音)はレスリングの試合に出場したオーランドーに一目惚れ、従妹のシーリア(マイコ)とのガールズトークに花が咲いている。シェイクスピアならではの巧みな修辞を、ふたりがテンポ良く、しかもかわいらしく聴かせる場面だ。床にうつ伏せになって手足をバタバタさせるロザリンドが、すごくかわいらしい! また、レスリングの場面で肉体美をあらわにしたオーランドーが、ロザリンドがあっという間に恋してしまうのも納得のりりしさなのだ。
一方のオーランドーもロザリンドへの恋に落ちたものの、長兄・オリヴァー(横田栄司)に疎まれアーデンの森・ヘイトアシュベリーにたどり着く。
ロザリンドの方も父同様に追放の憂き目にあい、シーリアと道化師のタッチストーン(芋洗坂係長)と連れだってやって来る。道中、男装しギャニミードと名乗っていたロザリンドは、その姿のままオーランドーと再会。「ロザリンドそっくりの男」として、なぜかオーランドーに恋の指南をするはめに……。
あくまできまじめなオーランドーに、「自分をロザリンドと思って口説け」と男のふりをして発破をかけるロザリンド。観ている側の口元が思わずゆるんでしまうコミカルさに加え、舞台となる森の異世界感が強く心に残る。舞台も当時のヒッピー・ムーブメントに彩られたサイケな装飾に変わり、アミアンズ(伊礼彼方)をはじめとするバンドミュージシャンがキャッチーなバラードを奏でる。
ワシントンD.C.とこの森は、時代こそ同じかもしれないが、まったく異なる世界なのだ。だからこそ恋の魔法もより強くなるのだろうか。ロザリンドとオーランドー、そしてオーランドーを追ってきたオリヴァーもシーリアと恋に落ちる。おまけに兄弟間の憎しみまでも消え、ふたりは和解するのだ。さらにタッチストーンとオードリー(入絵加奈子)、羊飼い(羊たちを表す演出が予想外のものなのだが、これはぜひ劇場で観てみてほしい!)のシルヴィアス(平野良)とフィービー(平田薫)と、4組ものカップルがハッピーエンドを迎える。
幸せな恋物語のなかで、ただひとりベクトルを異にしているのが憂鬱症のジェークイズ(橋本さとし)だ。サイケでカラフルな世界のなかで、彼だけが黒一色を身にまとっている。彼の憂鬱と思索とが、夢のような森の世界に苦みと奥行きとを加えているのだ。
女性陣のコスチュームのかわいらしさなど目にも楽しく、良い意味で軽さのある恋愛喜劇。だがそれだけでは終わらない、ポップでシュールなシェイクスピアの幕開けだ!
『お気に召すまま』
作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:マイケル・メイヤー
音楽:トム・キット
出演:柚希礼音/ジュリアン・橋本さとし/横田栄司・伊礼彼方・芋洗坂係長・平野良・古畑新之・平田薫・武田幸三・入絵加奈子・新川將人・俵木藤汰・青山達三/マイコ・小野武彦 ほか
【東京公演】シアタークリエ 2017年1月4日(水)~2月4日(土)
全席指定:11,000円(税込)
東宝テレザーブ:03-3201-7777(9:30~17:30)
【大阪公演】梅田芸術劇場 シアタードラマシティ 2017年2月7日(火)~2月12日(日)
お問い合わせ:梅田芸術劇場 シアタードラマシティ 06-6377-3888(10:00~18:00)
【香川公演】レクザムホール 2017年2月15日(水)
お問い合わせ:県民ホール サービスセンター 087-823-5023(10:00~18:00)
【福岡公演】キャナルシティ劇場 2017年2月24日(金)~2月26日(日)
お問い合わせ:キャナルシティ劇場 092-271-6062(平日10:00~18:00)
公式サイト:http://www.tohostage.com/asyoulikeit
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