インタビュー & 特集
INTERVIEW!『みんな我が子』田島優成さん-part.2
アーサー・ミラーの名作『みんな我が子』で、長男クリスを演じる田島優成さん。家族のしがらみを越えて、一歩踏み出そうとする青年を演じます。前回に引き続いて注目の俳優、田島さんに、お話をうかがいました。(写真/熊谷仁男、取材・文/湊屋一子)
INTERVIEW & SPECIAL 2011 11/30 UPDATE
(PART1より続く)
芝居を始めた頃は、ただ「楽しい!」という思いだけだったという田島さん。だが寺山修司作『中国の不思議な役人』という作品に出会って、完膚無きまでに打ちのめされた。
「今までやってきたことが何一つ通じなくて、毎日悔しくて、打ちのめされてました。頭では、演出家の言うことがわかるし、自分でも『ああしたい、こうしたい』というのがあるのに、それを表現出来る術がないから、結局振付というか、ロボットみたいになってしまって、それがすごく悔しくて……。
それから考え方が変わりました。
最初の頃は、自分は何でも出来る気がしていて、勉強なんていいやと甘く考えていたけど、この経験から、やっぱり技術が必要だと切実に思いました。
それからはいろんな舞台を観て、好きな役者さんの真似をひたすらしたり、勉強するようになりました」
もう二度と、悔いを抱えたまま本番を迎えたくない。そう思った。
「まだまだ途中なんですけど、楽しさもどんどんふくらんでるし、苦しさも奥が深くなっていますね」
最近は、観客の気配も感じられるようになってきた。観客の反応で舞台の上も変わる。そこが生の舞台、ライブの面白さだと思う。
「まだ余裕が出来たとまでは言えないんですけど、それでも最初の頃に比べたら、自分のことが分かるようになってきたと思います」
ではその“自分”とは?
「イメージを積み重ねて、ちゃんと説明できないと役に入れないタイプですね。『そのときの感覚で自由にやって』と言われると出来ない。監督や演出家の方たちと、ディスカッションしてやっていきたいです」
今回は大ベテランの共演者と同じ舞台に立つ。そうした先輩の演技を身近で見られるのを、とても楽しみにしている。
「長塚さんも、麻実さんも、すごくかっこいい。こういうすごいカンパニーの中で、“キャッチボール”ができるかどうかわかりませんが、全力でぶつかっていきたいと思います」
★プロフィール
田島優成(たじま・ゆうせい)
1987年8月27日生まれ。2006年デビュー。その後、ドラマでは2007年『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(CX)、2008年『ROOKIES-ルーキーズ-』(TBS)2010年『警視庁継続捜査班』(テレビ朝日)など、舞台は2009年『令嬢ジュリー』、『中国の不思議な役人』、2010年『ヘンリー六世』、『じゃじゃ馬馴らし』(共に蜷川幸雄演出)にと多数出演。本年も6~7月舞台『血の婚礼』にトランシーバー少年役という難役で出演、期待の若手俳優である。