インタビュー & 特集

SPECIAL! 『涼風真世&京フィル ドリームコンサート in 春秋座』レポート

6月22日、1996年リリースの1st ALUBUM『MINE』が、豪華版『MINE[20th Anniversary Deluxe Edition]』としてリイシュー、さらには、9月7日に、35th Anniversary NEW ALBUMも予定されている涼風真世さん。そのNEW ALBUMの、初回限定盤DVDの中に収録されるのが、4月23日に京都芸術劇場 春秋座で行われたドリームコンサートです。今年デビュー35周年を迎える涼風さんが、京都フィルハーモニー室内合奏団の演奏をバックに、『グランドホテル』など懐かしい宝塚時代の曲やミュージカルナンバーを熱唱しました。なぜブログで空の写真をアップするのか…といった秘話まで披露し、最後は「花は咲く」の大合唱となった、感動的なコンサートの模様をレポートします。(取材・文/小野寺亜紀)

INTERVIEW & SPECIAL 2016 6/19 UPDATE

今年15周年を迎える京都芸術劇場 春秋座で涼風真世さんがコンサートを行うのは、2014年に続き2回目。クラシック管弦楽とのコンサートは涼風さん自身珍しく、大好評だった前回を経ての登場となりました。

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まずは牧村邦彦氏の指揮のもと京都フィルハーモニー室内合奏団がオペラの名曲などを披露。観客の耳がいい具合に研ぎ澄まされたところで、いよいよ涼風さんが登場しました。黒いダービー帽に黒のコート、黒のスターブーツ(膝上ブーツ)&ジーンズというクールなスタイル。宝塚歌劇団で月組トップスターとして活躍、特にその歌唱力では追随を許さず“歌の妖精”として一時代を築いた涼風さん。初めに代表作『ベルサイユのばら~オスカル編~』より「我が名はオスカル」を堂々歌い上げます。伸びのある歌声で涼風オスカルのために作られた名曲が蘇り、すでに会場内は陶酔一色という雰囲気。歌い終わると一転キュートな声で挨拶、「父の故郷である京都で思い切り歌うことができて、これ以上の幸せはありません」と感慨深そうに語ります。

続いて「宝塚を退団後、初めて歌います」と、2番手時代に出演した『天使の微笑・悪魔の涙』より「悪魔の涙」を披露。「愛 金で買える代物 愛 ただの幻~」と低音ヴォイスで妖しく、突き放したようなまなざしで歌うと、あの美しきメフィストフェレスの魔力が蘇ってくるようです。観客の興奮を知ってか知らずか、歌い終わると涼風さんは「気持ちいいー!」と笑顔。実は本作は演出家・小池修一郎氏の宝塚大劇場デビュー作。小池氏と縁の深い彼女は、「なんてすごい歌詞なんでしょう(笑)」と改めて小池氏の才能に触れ、先日観劇したという雪組公演『るろうに剣心』(小池修一郎脚本・演出)について、「もう1回観たい。再演を望みます!」とアピールしていました。(涼風さんはアニメ版『るろうに剣心』緋村剣心の声を担当)

さらに主演ショー『メモリーズ・オブ・ユー』の「愛!」をたっぷりと。濃厚に歌い上げるボレロ調の名曲は、涼風さんの突き抜けたようでどっしりと胸に降りてくる歌声にぴったり。「20代でこの曲に出合い今は○○代(笑)。(歌詞の通り)“愛されるより愛すること、愛は愛すること”をこれからも心がけていきたいです」とチャーミングにコメント。

1幕のラストは今年新演出版が登場した話題の『グランドホテル』より、「At The Grand Hotel」。京フィルの演奏で壮大に盛り上がるなか、退団公演で熱演したオットーがそこに現れました。余命わずかなオットーが未来を見つめるその明るさ、ホテルの人々のざわめきや息遣いまで感じる奥ゆきのある歌声は、当時に増してさらに味わい深いものでした。曲の途中でホテルのルームキーを取り出し、それを上に掲げて清々しい笑顔で歌い切る涼風オットー。「人生はホテルの中にあるんじゃない、心の中にあるとオットーは気付くんです」とコメント。涙をぬぐっている観客が何人もいました。

2幕では柔らかいサーモンピンクのドレスに着替え、退団後の主演ミュージカル『マリー・アントワネット』より「100万のキャンドル」をパンチのある歌唱で聴かせます。アントワネットと同じイニシャルを持つ、革命に身を投じたマルグリットのソロを、アントワネットを演じた涼風さんが披露するというサプライズ。終盤には強さの中に優しさが宿る歌声でした。また今年、同作のミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイの『エリザベート』でゾフィーを演じることに触れ、「強く~厳しく~ 私はどのように演じるんでしょう!」とお茶目に話します。

次にこれまた彼女の当たり役となったミュージカル『レベッカ』より「レベッカ」を熱唱。館の亡き女主人・レベッカを盲目的に慕うダンヴァース夫人。舞台となるイギリスの寒々とした海の景色が目の前に見えるような、ゾクゾクッとするビッグナンバーを圧倒的な迫力で聴かせました。

その後は「見上げてごらん夜の星を」「言葉にできない」とアルバム『麗人』シリーズ収録の曲を披露。星空のセットをバックに情感豊かに歌った涼風さんは、その後のトークで自身のブログに“空”の写真を毎回アップしていることについて話し出しました。「私は宮城県石巻市に生まれその後も大自然のもとでやんちゃに育ちました。東京へ出てきて大自然を身近に感じたいと思っても、山は遠い! 海に浜辺はない! でも見上げたらそこに空がありました」と。また東日本大震災後、「年を重ねたこともあり色んな別れを経験し、“空って天国につながっているのかな”と思うようになりました」。“少しでも見る人の心の癒しになれば”という気持ちを込めて撮影していると話していました。

アンコールでは宝塚時代に妖精パックを演じた『PUCK』より「ミッドサマー・イヴ」を、透明感あふれる歌声で聴かせます。誕生したばかりのパックがありありと浮かぶキュートな声色。「私の足跡、過去を訪ね歩くような感じで楽曲を選びました」と話した涼風さんの、ひとつの原点とも言える名曲です。

また約1週間前に起きた熊本地震のことにも触れ、「東日本大震災のときも毎日考えました。今の自分に何ができるんだろう…」と。“被災地への気持ちを歌に乗せて届けたい”との想いから、ラストナンバーは「花は咲く」。「皆さんもご一緒に!」とマイクを客席にも向けながら復興支援ソングであるこの曲を明るく歌い、一体感溢れる温かいコンサートは幕を閉じました。

京フィルとのコラボレーションで、涼風真世さんの豊かな歌声、屈指の表現力に存分に浸ることができた貴重なコンサート。35周年を迎え、『エリザベート』『貴婦人の訪問』など難曲揃いのミュージカルに出演が決まっている涼風さんの、今後の活躍が楽しみな限りです。

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【データ】
■『MINE[20th Anniversary Deluxe Edition]』
1st ALUBUM『MINE』豪華版でリイシュー
2016年6月22日発売予定
初回限定盤(CD+DVD)5500円(税別)
通常版2500円(税別)
1996年に発売された1stアルバム『MINE』に、アルバム未収録シングル2枚他を追加収録。
DVDにはシアターコクーンでのコンサート映像『涼風真世’97』を、未収録だった映像も追加して収録。

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■35th Anniversary NEW ALBUM
2016年9月7日発売予定
初回限定盤(CD+DVD)予価6000円(税別)
通常版3000円(税別)

『MINE』以来20年ぶりとなるニューアルバムをビクターからリリース。
初回限定盤DVDには4月23日京都芸術劇場 春秋座で行われた本コンサートの模様を収録(涼風真世の歌唱曲のみ)

 

 

 


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