インタビュー & 特集
INTERVIEW!『1789』 加藤和樹さん
昨年、宝塚歌劇団月組でも上演され話題となったフレンチ・ロック・ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』が、東宝版として新たに登場します。主役のロナン・マズリエをWキャストで演じるのが加藤和樹さん。近年ミュージカルを中心に大活躍の彼が、いよいよ帝国劇場初主演に挑みます。稽古が始まる前に伺った思いとは…。(取材・文/小野寺亜紀、撮影/大東佐和子)
INTERVIEW & SPECIAL 2016 3/7 UPDATE
――フレンチ・ロック・ミュージカルというと『ロミオ&ジュリエット』にもティボルト役で出演されていましたが、この『1789』にはどんな印象がありますか?
『ロミオ&ジュリエット』もフランス発のロック・ミュージカルでしたが、『1789』のフランス版はダンサブルなパフォーマンスがより圧巻でした。音楽も一つひとつ完成されていてライブのような感覚になり、一緒に歌いたくなる、体に入り込んでくるような音楽。見事に惹きこまれましたね(笑)。場面も次々と変わっていくから飽きさせないですし。
――特に印象的なナンバーは?
やっぱり一番インパクトが強いのはマリー・アントワネットの登場のナンバーです。アントワネットがあんなテクノっぽい印象の歌を歌うのが新鮮。衣裳の中から華やかに出てきて驚きました。観客も手拍子したくなるような曲で、思わず口ずさんでしまいます(笑)。
――小池修一郎さんが日本初演として先に手がけられた宝塚歌劇月組公演『1789』は、フランス版とはまた違った印象ですよね。
やはり宝塚の舞台は格好良さや美しさという点でさすがだな、と思いました。今回僕らがやる東宝版ではデジタルロックでよりもっと男くささや泥くささを見せていけたらと思います。僕が演じるロナンは、父親を理不尽に殺されたという悲劇があるからこそ革命を起こしてゆく。きれいごとだけではない世の中を見つめ、ロナンの心の裏側まで作り上げていきたいです。
――東宝版のキャスト選考の際には、歌唱披露をされたそうですが、どんな気持ちで臨まれましたか?
そのときの歌唱の先生が「今日はコンサートだと思ってやってください」と言われたので、細かいことにはこだわらず、とにかく楽しもうと思ってやりました。
――コンサートという意味では、歌手活動でライブをいくつも経験されている加藤さんがこの作品に関わるのは、何か必然的なものを感じます。
いや、これがお芝居の中で歌うとなるとまた全然違う歌い方、見せ方になるので難しいところです。ロナンというキャラクターを自分の中にちゃんと落とし込めたら、また違う歌い方、表現になるでしょうね。ミュージカルではキャラクターによっても、楽曲によっても歌の伝え方は違うので。出合う楽曲をどう生かすかということを大切にしています。
――主役のロナンを小池徹平さんとWキャストで、と伺ったときはいかがでしたか?
ああ、そうきたか!と思いました(笑)。声の質も見た目も全く違うので、どうなるのだろうかと今からとても楽しみです。帝国劇場での初主演というプレッシャーはもちろん感じますが、どこか一人じゃないという心強さがあります。今回同年代の共演者の方が多く、ダンサーも『ロミオ&ジュリエット』でご一緒した方が多いんですよ。アクロバティックな技ができるダンサーが揃っています。僕は昔から小池先生に「ダンスが課題」と言われているので、全力でくらいついていきたい!
――やはり加藤さんの181㎝の長身は舞台上でよく映えます。ご自身もひとつの強みだと感じていますか?
そうですね、親から与えられたものなので、まずは親に感謝しています。ただワル目立ちをしてもいけないし、ときにはそれが邪魔になることもあるので、それ相応の見せ方、立ち居振る舞いをしなければと思っています。体型維持には気を付けていますよ。食べることが好きなので、つい食べ過ぎたときは食事量を調整するとか、色々トライしています。
――昨年はブロードウェイ・ミュージカル『タイタニック』の主演や、マサラ・ミュージカル『ボンベイ・ドリームス』など様々なタイプのミュージカルに出演されました。
ミュージカルはやればやるほど面白い。色々な楽曲に触れていく中で、その世界に引き込まれていく感覚がとても好きです。昨年演じたアンドリュース(『タイタニック』)では、タイタニック号が沈む前に歌うナンバーで、絶望感と最後まで希望を見出そうとする彼の葛藤が、曲とバシッとハマッたときが気持ちよかった。ヴィクラム(『ボンベイ―』)では行き場のない怒りがきちんと歌に乗る瞬間がありました。
――今回演じられるロナン役は農夫の息子で、革命に身を投じながらオランプという女性を純粋に愛する役。ヒールなヴィクラムとは真逆な役というか…。
そう(笑)、ロナンは正義感のかたまりのような人間です。革命は一人では起こせない、みんなで立ちあがろうと引っ張っていく熱い思いをもった役です。仲間同士の絆、結束力をしっかり表現し、オランプとの恋愛では、自然に恋に落ちていく様を見せてゆきたいです。公演日数を経ると、相手のお芝居に合わせて感情の揺れなどが変わっていくことも。だからこそ公演ごとに生まれる感情を大切に演じたいです。
プロフィール
加藤和樹●かとう・かずき
10月7日生まれ、愛知県出身。2005年ミュージカル『テニスの王子様』で注目され、翌年にCDデビュー。日本武道館での単独ライブなど音楽活動も精力的に展開している。俳優としてドラマ『ホタルノヒカリ』『インディゴの夜』などキャリアを積み、2013年ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』に出演。世界初演の大作ミュージカル『レディ・ベス』、設計士アンドリュースを演じた『タイタニック』など話題作に次々と出演している。
ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』
潤色・演出:小池修一郎
出演:小池徹平/加藤和樹(Wキャスト) 神田沙也加/夢咲ねね(Wキャスト) 古川雄大 上原理生 渡辺大輔 ソニン 吉野圭吾 坂元健児 広瀬友祐 岡幸二朗 花總まり/凰稀かなめ(Wキャスト) 他
●東京公演:4月9日(土)~5月15日(日)帝国劇場
●大阪公演:5月21日(土)~6月5日(日)梅田芸術劇場メインホール
公式HP http://www.tohostage.com/1789/
http://www.umegei.com/1789/