インタビュー & 特集

INTERVIEW! 『ETERNAL CHIKAMATSU』中島歩さん

2月29日(月)に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて初日をむかえた舞台『ETERNAL CHIKAMATSU』。この作品に出演している俳優、中島歩さんに、舞台にかけるお話をうかがいました。(撮影/齋藤ジン、文/湊屋一子)

INTERVIEW & SPECIAL 2016 3/1 UPDATE

名作と名高い近松門左衛門作の歌舞伎演目『心中天網島』をベースに、デヴィッド・ルヴォーがオリジナルアイディアを元に大胆に描く舞台『ETERNAL CHIKAMATSU』。中島歩にとってこの作品への出演は、大きな挑戦になる気がしているという。NHK朝ドラ『花子とアン』でのニヒリスト役が彼を全国区の顔にしたが、実は美輪明宏の『黒蜥蜴』をはじめ数多くの舞台作品に出演する舞台俳優としてのキャリアは濃い。

――初舞台が『黒蜥蜴』というのは、相当しんどかったのでは?

中島 初めて戯曲を読んだ時に、「お、これはやりたいし、やれるはず」、と感じましたね。(戯曲を)書いている人間としては「こうなったらかっこいいんじゃないの」「面白いんじゃないの」ってことで書くと思うんです。こうなったらどうなるっていう、ある種実験的なことだと思うんです。で、それに対して役者はすごく困ってくるんですけど。だからそこは役者も実験なんですよね、どういう状態に自分がなるのかという。今までやらせていただいた役に取り組むに当たって、「あ、自分がこういう風になるんだ」と発見があったのは、やはり『黒蜥蜴』ですね。美輪明宏演出の特殊さというのもあり、台詞自体も大きい台詞。それは普通の自分の地でやるような芝居ではないので自分の新しい部分が見えた。そういう体験を初舞台でできたというのはすごくよかった。ものすごく意味のある作品になってます。

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――その後も年に2本ペースで2014年、2015年と舞台に出演してきて、今年はすでに2月にこの『ETERNAL CHIKAMATSU』、4月に『愛の眼鏡は色ガラス』、7月に『BENT』が決まっています。さまざまな役を演じる上で、自分の引き出しを開けて、そこから役を出すタイプ? それともゼロから作っていくタイプ?

中島 自分の引き出しの中にある時はいいんですけど、それが無い時、例えば美輪さんとかの場合はこうやって引き出し開けて「ああ、これでどうですかね」「はい、違う」みたいな(笑)。新しい引き出しを作っていく感じですね。雨宮は自分とまったく違うから「そんな恥ずかしいです」みたいなこととか、「やだ」という嫌悪感とかが、そこに行くために伴うんです。でも、そこに行ったときに「あれ、知らない間にここまで行ってた」みたいな、こういう事が出来るようになっていたということを知りました。引き出しにあるものを使うのも、ゼロから作るのも、観ている方にとって出来たものがよければ、どちらでも気持ちいいです。ただ、自分にすでにあるものを伸ばしてもらう、みたいなのとか、もしくはあるもので終わっちゃう、みたいなのとかは、楽しいかもしれないですが、自分の価値観から全く思ってないことを「出せ!」というのをやった時の方が、何かやり遂げた気がしますね。

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――この『ETERNAL CHIKAMATSU』は、初めての外国人演出家との仕事ですね。

中島 初めてルヴォーさんにお会いしたときに、「何故これを取り組むか」とか、「今まで舞台をやってきてどうだった?」と聞かれ、どういう人間か見透かされないように、一生懸命「俺はいい俳優だ」と思われるよう話しました(笑)。

――『心中天網島』は観たことありましたか?

中島 なかったです。ルヴォーさんの演出作品も観たことがなかったので、その両方がどんなものなのか、稽古前はすごく未知なゾーンに入っていくぞというワクワク感はありました。不安ですけど、楽しみでもある感じで。僕は芝居でもなんでも、わりと物事をロジカルに考えちゃうんです。でも、最近……っていうか前から思ってたんですけど、考えて出たものよりもその場で出たものの方がやっぱり面白い。その場で起きたことにその場で反応したことの方が面白い。自分はロジカルに考えちゃうことがすごいコンプレックスなんで、そうならない、そうじゃないところでやりたいという気持ちで、芝居をやってるっていうのもあります。

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――大学で文芸、文章を書く方をやっていたことは、それに影響ありますか?

中島 頭で考えて表現するのもかっこいいなあと思うんですよねえ。評論家とかインテリの人たちを見て、「ああ、俺もインテリになりたい!」って(笑)。でもそういう風にあこがれたり、気取りたいところは演じる上で邪魔だと思ったり。究極、響くか響かないか、みたいなことですかね。ドヘタでも響くこともあれば、超うまいっていうことで響くこともある。不器用な俳優みたいなのもいいのかもしれないですけれど、上手くなる努力は絶対に怠ってはいけないんだなと思います、当たり前の話なんですが。片や「ああ、うまいね」と言われたことを極限までやったら、「ちょっとやめてそれ」と言われるたりするわけです、往々にして。だから自意識に縛られないこととか、前にやったことをなぞらないとか、捨てっぷりの見事さがうまいってことかもしれない。上手くやらないねってことの上手さっていうのもあるし……フレキシブルでやれるっていうことなのかな。まだよくわからないです。

――今回の『ETERNAL CHIKAMATSU』には、どのようにぶつかっていこうと?

中島 歌舞伎俳優の中村七之助さんをはじめ、この作品で初めてご一緒する方も多くて、その方たちとの化学反応で、自分から何が出てくるのかが楽しみです。何が出せるんだっていう不安も相当あるんですが、そこは稽古で全力を尽くして、本番はライブなんでその瞬間を楽しむ。楽しむというところにいけたら、すごくいいなと思っています。

 

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プロフィール
なかじま・あゆむ

1988年10月7日生まれ、宮城県出身。2014年NHK連続テレビ小説『花子とアン』に出演し人気を博す。同年5月には映画『グッド・ストライプス』主演を果たす。舞台にも精力的に出演し、2015年には『黒蜥蜴』『フェードル』、2016年は、『ETERNAL CHIKAMATSU』を皮切りに、『愛の眼鏡は色ガラス』(主演)『BENT』の出演が決まっている。

公演データ

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『ETERNAL CHIKAMATSU』
2016/2/29(月)~2016/3/6(日)  梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
お問い合わせ 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ  06-6377-3888
2016/3/10(木)~2016/3/27(日)  Bunkamura シアターコクーン
お問い合わせ 梅田芸術劇場   0570-077-039
作:谷賢一
演出:デヴィッド・ルヴォー
出演:深津絵里  中村七之助/
伊藤歩/中島歩 入野自由 矢崎広 澤村國久 山岡弘  朝山知彦  宮菜穂子  森川由樹/中嶋しゅう 音尾琢真 他

 

 

 

 

 

 


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