連載
第12回ゲスト「西山宏幸のオレ哲学」第1週
連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。12回目のゲストは、ブルドッキングヘッドロックの元・主宰で、自ら俳優であり、ミュージシャンでもある西山宏幸さんです! 舞台『1995』の稽古の合間に来て頂いてたっぷりお話をうかがいました! 今回はブルドッキングヘッドロックの主宰になってそれを退くまでのいきさつをたっぷりと。その中に垣間見える西山さんの哲学とは!?
COLUMN 2015 7/25 UPDATE
川本:すみません、今回は、舞台『1995』の稽古中に来ていただいて。
西山:いえいえ、まだ序盤なんで大丈夫です(笑)。
川本:どうですか? 稽古は。
西山:若い子たち、新人を、鍛えようってことでワークショップをまずやりながら、流れで客演さんもそのワークショップに参加したりっていうところで、ようやく今、じっくりした稽古になりはじめてきたところです。
川本:台本やるっていうよりは、じっくりした稽古なんだ。
西山:そうそうそう。成さんに『おい、キミ失格!』に出てもらった時より、じっくりとした稽古。読みを一生懸命というか。
川本:去年の今頃だよね。
西山:そうですね。
川本:ブルドッキングヘッドロックへの参加は、ちょっと衝撃だったね、僕も。ここ近年のターニングポイントの舞台ですね。
西山:ブルドッキングヘッドロックの舞台って出演人数が多いから、僕らもいろんなゲストさんを迎えてるけど、その都度いらっしゃるゲストさんによって、なんか、雰囲気は変わりますよね。
川本:なるほど。
西山:それで、あー、成さんスゲーなって。
川本:そんなことないですよお。
西山:負けてらんないなって。
川本:でもオレ、緊張しましたよ。まあ喜安(浩平)君とはね、長いから。でもガッツリやるのが初めてなわけですよ。要は、「もちろん知ってるけど、ものすごく近づいちゃうのが怖い」っていう。
西山:うんうん。
川本:友達関係だったのが、恋愛になって、付き合っていって、関係が変わるような感じ?
西山:はいはい(笑)。
川本:だから、「出して」とか「出て」とか結構お互い言ってたけど、随分実現しなかった。それでいよいよやるってなってね。「緊張するなぁ、どうしよう…、どう振舞っていいのかな、友達だった異性が急に手をつないじゃった!」みたいな感じだから(笑)。「どうしよう、もう戻れない!」っていう感じ。もうそれは、付き合って深い所までいくか、別れちゃうか、どっちかになっちゃうって感じでしょ。
西山:うんうん。
川本:だから非常に怖いよね。誰かと一緒にやるっていうのは。
西山:僕が、当時ブルドッキングヘッドロックの主宰だったから、キャスティングにももちろん関わってたんだけど、それまでも成さんのお名前は何回も上がってたんですよ。
川本:うん。
西山:でも、話してると「やっぱり今回じゃないね」みたいな感じになって、機会をうかがってた。それで『おい!キミ失格!』の時は、「これ、やっと成さん呼べるな」と。
川本:それは光栄ですな。
西山:僕は、成さんと喜安の関係はそんなに知らないんだけど、なんか喜安からも「思ってるところあるから」っていう、なんか成さんの思いと同じように感じるものがあって。でも、二人に一緒にやってもらうことで、恋愛で言うと天使なのか悪魔なのか、キューピットなのかわかんないですけど、ついにオレ、そういう立場になるなと。ちょっと違う言い方をすると、ふたりを喧嘩させるみたいな。
川本:なるほどなるほど。
西山:そういうようなワクワクがありましたね。
川本:西山くんはブル(ドッキングヘッドロック)の主宰だったけど、今は主宰を退いたんですよね。そもそもの経緯が面白いよね、元々ミュージシャンだもんね。
西山:そう。もともとバンドをやってて、それで喜安とバイトで知り合って、そこで「自分はバンドをやってて、喜安は演劇をやってる」ってなって。でも、オレ、演劇って、なんか発表会のイメージがあったんで、「なんて恥ずかしい! うわー、絶対嫌だ!」と思ってて。でも喜安がやってるから、観に行ったんですけど。…で、僕、ジャッキー・チェンが好きだったんですよ。
川本:ほう! ほう!
西山:同じお芝居でも、ジャッキー・チェンって、わかりやすいじゃないですか。
川本:わかりやすい、わかりやすい。
西山:それに比べて、「演劇ってなんかわかりにくいねー」ってなって。曖昧な表現というか、観る側がいっぱい汲み取らなきゃいけない部分が多いような気がして。
川本:ああ、なるほど。
西山:「じゃあ、わかんないからちょっとやらせてよ!」って。
川本:あら!
西山:なんか、「わかんないのにいろいろ言うのもアレだな」と思って、まずやってみることにしたんですよ。ま、その割にはすっごい言ったんですけどね。「ダメ出し」っていうものを(笑)。
川本:「よくわからないよ」と。
西山:「よくわからないけど、あの人のあのセリフは、もっとこうした方がいいんじゃないのか」とかエラそうに言って。まあ、当時の喜安は、優しかったんでしょうね(笑)。素人のダメ出しを「うんうん」と聞いてくれたんですから。
川本:(笑)。
西山:で、「やらせてよ」って言ったら、「いいよ」って言うので、それでブルに出たんです。音楽は、最初作ってなかったんですけど、タワレコに喜安が行くのについて行ったりして。そこでずっと音楽聴いてるから、「その作業、面倒臭いね」ってことになって。
川本:あ、劇中で使う音楽を探してたってこと?
西山:そう。「タワレコに探しに行く」って言うから、「じゃあ一緒に行くよ」と。それで、「すっごいたくさん聴いて、もう飽きたよ」って言うんですよ。「そりゃ大変だね、あ、じゃあオレが作ったらいいんじゃないの?」っていう流れで作り始めたんです。喜安とは、そういう、先輩後輩じゃない関係性でやってた。だから多分、ある時期に喜安が「作・演出に専念したい」ってことになって、「じゃあ、主宰をやる人が、誰もいないんだったら、オレがやればいいんじゃない?」っていうような感じで引き受けたんですよ。
川本:あぁ、そうなんだ。
西山:それで、よくわからないなりに集団をまとめることをずっとやってたんですね。でも、集団ってあっちゃこっちゃで好きなこと言ってる奴らがいるのをまとめる方がいいな、「お前ら、頑張れ頑張れ」ってはっぱかけるのって結構大変だなと、ずっと思ってたんですよ。そのイメージを持ち続けていたところに、つい去年ぐらいに、「集団は一人一人がワイワイやってるのがいいと思ってるのに、その要素の一つである自分は、実はワイワイできてないんじゃないか」と気づいてしまった。
川本:なるほど。
西山:「これは大問題だぞ」と思って。それで主宰を「辞める!」ってことにしたんです。
川本:ほぉー、面白いですよね、西山くんて。
(2週目につづく)
ゲスト・プロフィール 西山 宏幸(にしやま・ひろゆき)
2001年からブルドッキングヘッドロックに参加し、俳優活動と共に、ほぼ全ての作品の音楽制作を担当。
2007年から2015年まで劇団の主宰を務める。
2013年のvol.23『少し静かに』では、演出・音楽・出演。劇場空間含め、舞台上のあらゆる「音」を取り入れた演出を行う。
最近の音楽制作としては、舞台『墓場、女子高生』、NHKドラマ『妻は、くノ一』、『妻は、くノ一~最終章~』、ABCドラマ『敏感探偵ジャスミン』(監督:入江悠)など。2015年3月自身がプロデュースするバンド「Naked High」の活動を開始。Vocal,Bassを担当。カーニバルのようなliveを目指して活動中。
ホスト・プロフィール 川本 成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ『ナルウザクスダの!』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』、『義風堂々!!』他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』、『男子はだまってなさいよ!聖バカコント』他、自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。趣味の分野では映画好きで、大の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ファン。この作品を語らせたら右に出る者はいない、と本人が自負している。(あくまでも本人が)
★西山宏幸さん出演情報です★
<舞台>
ブルドッキングヘッドロック 結成15周年記念公演 vol.26『1995』
7月29日(水)~8月5日(水)@下北沢ザ・スズナリ
http://www.bull-japan.com/
<LIVE>
ネイキッドハイ誕生祭「母♪サンキュウ!」
9月15日(火)OPEN 18:00/START 18:30 @STAR PINE’S CAFE
http://ameblo.jp/nishiyamah/
<映画>
「愛を語れば変態ですか」(監督:福原充則)2015年秋公開
★音楽を担当しています
blog「かんたんに新しいわたし」http://ameblo.jp/nishiyamah/
Twitter https://twitter.com/nishiyamah
★川本成さん出演情報です★
<舞台>
小堺クンのおすましでSHOW30 ~THE 30 STEPS~
8月28日(金)~9月6日(日)@東京グローブ座
http://t-onkyo.co.jp/
時速246億 川本成ソロ公演「独立」
11月11日(水)~15日(日)@中野・劇場MOMO
http://www.jisoku246.com/info/
blog「Naru’s blog’n boy」http://ameblo.jp/kawamotonaru/
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