連載
第8回ゲスト「井関佳子のオレ哲学」第1週
連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。第8回目のゲストは、演出家、声優、歌手、女優の井関佳子さん! 幾多の人気アニメのミュージカル作品にたずさわり、成功を支えた井関さんの哲学とは!?(写真/熊谷仁男、文/中村恵美)
COLUMN 2014 2/15 UPDATE
川本:ヨッティーと最初に会ったのは、カラオケ?
井関:そう。それが最初。10年近く前だと思う。
川本:神楽坂だっけ?
井関:クリスマスパーティ、だったよ、たぶん。
川本:パーティスペースみたいな、カラオケボックスでね。
井関:そこに遅れて成くんが現れて、私は「あ! 川本成だ! テレビに出てる人が来た!」と思って。
川本:なんじゃそりゃ(笑)。
井関:そして成くん、サザン歌ったのよ。素敵!とか思ったのよ。
川本:そうだ! ヨッティーも歌やってるから、一緒に歌ってね~。結構、二人で紅白みたいになってたよね。
井関:そうそうそう!
川本:「なんて名前だ、きみは!?」「井関っていうのか! オレは川本だ、よろしく!」って意気投合しちゃってね!
井関:それから10年くらい経つ(笑)。
川本:そうだよー。ヨッティーってどういう経歴でこの世界に関わってきたの? こういう話、初めて聞くけど。
井関:そうだね。大学で演劇を専攻して、サークルでミュージカルをやってたんですよ。大学を卒業して、新劇の養成所に2年間入って、そのころ既にネルケの松田さんと知り合ってて。そこからフリーで役者をずっとやって、24、5歳のときに、右も左もわからないながら演出助手の仕事をやって……。
川本:早いね!
井関:そうしたら役者よりそっちの方が需要があったと。大学卒業してから、役者を仕事にしたいと思ってたから、オーディションを受けてたんだけど、なかなか芽が出ないところに、演出助手やイベントとかの演出の仕事があれよあれよと入ってくるようになって。
川本:へー。
井関:でも最初は、演出助手が嫌だった。
川本:そうなの?
井関:役者として出たかったから、舞台に立てる役者たちがうらやましくて! 出たい!って思ってね。
川本:あーそりゃそうだよな。
井関:で、今に至る。
川本:じゃあ、音楽はいつから? 音楽ユニット「ねこマジ」は?
井関:「ねこマジ」を始めたのは96年。ミュージカルをやってたから、歌は歌ってたけど、でも独学だったのね。そこに、相方の白神(直子)が、「歌わない?」っていうから、最初はまず「練習をしよう!」となって。それで知り合いのピアニストを探して、南方(美智子)に練習に付き合ってもらっているうちに、「どうせだったら、ライブやらない?」ってことになって、それが始まり。だから自分発信じゃないんだよね。
川本:96年っていうと、18年やってるの!?
井関:うん。「ねこマジ」はダラーーーッと18年(笑)。
川本:歌も歌えて、教えることもできて。
井関:まぁ、専門的ではないけどね。私自身が歌を専門で習っているわけではないから、逆に役者が歌うなら……っていうことを教えられるのね。
川本:ああ、なるほど。
井関:声の出し方がわからない人っているじゃない? 歌が当たり前に歌える人、専門家の人が教えると、歌えない人を歌わせるのって結構難しいみたい。たぶん、私は自分の体と向き合ってきたし、そういう役者たちに対してアドバイスできる、というか。
川本:歌手じゃない、役者としての歌の表現の仕方ってことか。
井関:もちろんうまいに越したことはないけれど、たとえば、ミュージカルでも、この歌詞をこういう意味を持って聞こえるように歌うにはどうすればいいんだろうと悩んでるようなら、セリフで言わせてみたりとか。だから厳密に歌唱指導ということではないんだけどね。
川本:それが仕事になっていく、その大きなきっかけはやっぱり『テニミュ』(ミュージカル『テニスの王子様』)でしょ?
井関:そうね、もちろん。それと、私、一番最初に演助をやったのがミュージカル『美少女戦士セーラームーン』なのよ。
川本:ああ、そう!
井関:去年20周年記念で復活したんだけどね。『セーラームーン』に私が関わったのが24歳のとき。私がついて5年間続いたのね。同じ作品に5年間も関われるなんて、すごいことじゃない?
川本:確かに。
井関:カンパニーとしても強くなるし。そこで学んだことはいっぱいあって。その次に違う演出家の方の演助についたら、ストレスで1週間で4kg痩せた(笑)。
川本:そりゃすごい。
井関:「まったくやり方が違うんだ」って初めてそこで気がついて。言葉が通じることって大事なんだって思って、そこでほかの演出家の方の演助につくのが怖くなった時期があったんだよね。
川本:うん。
井関:そうこうしているうち『テニミュ』のお話をいただいたんだけど、そのときは、知っている役者もいたし、成くんとかが声優をやってたからアニメも見てたのね。そして上島雪夫という振付師が演出をやるってきいて、上島さんの舞台も見てたから、「それはちょっと大変でもやってみたいな」と思って、お話うけて、やったの。
井関:平光(琢也)さん。
川本:ああ! 読者の皆さんに説明しますと、平光さんというのはアニメ『テニスの王子様』の音響監督でもあります。コントグループの『怪物ランド』の方です。
井関:だから、去年の公演も関わったんだけど、15年ぶりに平光さんと打ち合わせしてると、時空がゆがむの(笑)。あれ、今はいったい何年?って。
川本:もう、ライフワークじゃないですか! 続けていくんでしょ?
井関:どうでしょうね(笑)。
川本:もう『セーラームーン』の一人じゃない? セーラー井関!(笑)。
井関:アメとムチを使ってガンガンお仕置きするタイプ(笑)。
川本:月にかわんなくてもお仕置きよ!
井関:平光にかわってお仕置きよ!(笑)
川本:いいね~、それ!(笑)。でもすごいね。『セーラームーン』と『テニミュ』をやってるなんてね。
井関:そうなの。おかげさまでというか、幸か不幸か、関わった作品が長く続くものが多かったので、現場数というか作品数としては、意外と少なかったりするんですよ。割と家族のようにやってきた現場が多いし。でも、その『テニミュ』も去年で離れたので、今、大変というかヒマというか(笑)。
川本:いわゆる演出とか演出助手の仕事っていうのは、基本は、自分より若い人たち、キャリアの浅い人たちにアドバイスしなきゃいけないでしょう。『セーラームーン』の場合は女子で、『テニミュ』は男子でしょ。女子と男子の違いってある?
井関:あるある! 女子のほうが難しい。
川本:ああ、そう!?
井関:最近は男の子もデリケートな子が多いけどね。でも、やっぱり女の子の方が気を使ってあげなきゃいけないことが多いような気がする。コンディション的なこととか。
川本:ああ。
井関:もちろん、それを許してばかりではないけど、「おら、やれよ!」と一発で厳しく言うわけにはいかない。それを言うまでのコミュニケーションが必要になる。
川本:なるほど。男子はバカだから一発でいいんだよね。
井関:ん……(笑)。ただ、私みたいな年齢不詳なタイプが「おら、やれよ!」と突然言ったら、男子も女子もまずは「ひゃっ!」ってなるのね。で、それを怖いって思う人もいれば、おもしろいっていうか、気を使わなくていい人なんだと思う人もいる。むしろそう思わせるというかね。
川本:うん。
井関:若いからかもしれないけど、男の子って女性に対して、そんなにパーンとは心を開かないじゃない? 開かないです!っていう態度の子もいるでしょ。だから、こっちがそんなことはおかまいなしに、強引に「開けますよーーーっ」って接しちゃったほうが、それに対して拒否反応を起こすか、あるいは寄ってくるか、どっちかになってわかりやすい。そこからの話になるから。でも女の子は「開けますよーーーっ」の前に、どういう子なのかちゃんと見てあげなくちゃいけないんだよね。
川本:なんか、学校の先生みたいだね。金八みたいじゃない。
井関:そうなのよね。「君にはいいところがある」ってね(笑)。
川本:もう教師だね。
井関:私、大学時代、教職免許を取らなかったのね。それは、たぶん、教職を取ってしまったら教師になってしまうと思ったから。演劇がやりたくって、今、こうしてやっているけど、結局、先生みたいだなって、ちょっと残念なところはある(笑)。
川本:結局、先生にはむいてるんだ。
井関:そういうのが得意なんだろうね。
(2週に続く)
ゲスト・プロフィール 井関 佳子(いせき・よしこ)
歌手、女優、声優、演出家。神奈川県出身。早稲田大学第二文学部演劇専修卒業後、新劇養成所を経て、現在はフリーで活動。1998年、白神直子、南方美智子とともに音楽ユニット「ねこマジ」を結成、ボーカルを務めている。舞台『合唱ブラボー』の演出、ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』『ミュージカル HUNTER×HUNTER』、ミュージカル『テニスの王子様』『ROCK MUSICAL BLEACH』『マクロス ザ・ミュージカルチャー』
などに演出補・演出助手として参加するなど、マンガ・アニメのミュージカル化作品のスタッフとしても活躍している。
ホスト・プロフィール 川本成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ『ナルウザクスダの!』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』、『義風堂々!!』(2013年7月~)他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』、『男子はだまってなさいよ!聖バカコント』他、自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。
★お知らせその1★
井関佳子さん出演ライブのお知らせです!
ねこマジワンマンライブ
ねこマジ:白神直子(Vo)井関佳子(Vo)南方美智子(Pf)
日時:2月27日(木)19:30開場/20:00開演
会場:外苑前Z.IMAGINE
料金:予約¥2,800/当日3,000円(共にドリンク別)
ご予約メールアドレス:zimagine@radio-zipangu.com(代表者氏名、人数等をお知らせください)
ご予約フォーム:http://form1.fc2.com/form/?id=719179
お問合せフォーム:http://form1.fc2.com/form/?id=595423
★お知らせその2★
井関佳子さん出演ライブのお知らせです!
「ゴーラック・ナイト Vol.3~大人のエンタテイメントそろえました~」
笑いと音楽の絶妙な快感ラインを走る孤高のインディ、“ゴーラック・レコード”が
お届けするおかしな夜はいかがですか?
日時:3月31日(月)開場18:30/開演19:30
出演:柳家喬太郎、寒空はだか、ねこマジ
会場:吉祥寺・スターパインズカフェ http://www.mandala.gr.jp/spc.html
料金:前売・当日3,600円 (全席自由・ドリンク代別途)
※限定150枚、売り切れ次第、販売を終了いたします。
※ 前売り取り扱い
吉祥寺スターパインズカフェ、及びメンバーの出演する上記ライブ会場のみでの発売となり、限定150枚が売り切れ次第、販売を終了させていただきます。当 日券の有無については、吉祥寺スターパインズカフェへお問い合わせください。またお電話によるご予約は受け付けておりませんのでご了承下さいますようお願い致します。
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ねこマジ情報
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メルマガ最新号
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★お知らせその3★
川本成さん出演舞台のお知らせです!
明治座3月欽ちゃん奮闘公演THE LAST「ほめんな ほれんな とめんな」
日程:3月7日(金)~30日(日) 劇場:明治座
作:秋房子・君塚良一 演出:萩本欽一
出演:萩本欽一・田中美佐子・的場浩司・小倉久寛・風見しんご・山口良一・松居直美・はしのえみ・野添義弘・佐々木健介 他
※川本成は10・11・18・23・24・25・30日は出演致しません 料金:A席(1・2階)11,550円/B席(3階)5,250円 チケット:各プレイガイドにて発売中 詳細は公演オフィシャルサイトをご覧下さいhttp://kinchan-last.com/
★お知らせその4★
川本成さん出演舞台のお知らせです!
bpm本公演「不如帰」
日程:4月17日(木)~20日(日) 劇場:全労災ホール スペース・ゼロ 作・演出:浅沼晋太郎
出演:川本成・進藤学・菊地創・猪狩敦子・伊藤マサミ・NAO-G・浅沼晋太郎・
豊崎愛生 他
料金:前売 6,500円/当日 7,000円(全席指定・税込) チケット:2月15日(土)~一般発売開始
詳細は公演オフィシャルサイトをご覧下さいhttp://www.hototogisu-bpm.com/
★お知らせその5★
川本成さん出演舞台のお知らせです!
ブルドッキングヘッドロック+三鷹市芸術文化センターpresents
太宰治作品をモチーフにした演劇公演第11回「おい、キミ失格!」
日程:6月6日(金)~15日(日)
劇場:三鷹市芸術文化センター・星のホール
作・演出:喜安浩平
出演:西山宏幸、篠原トオル、永井幸子、岡山誠、喜安浩平
川本成 (時速246億)、竹井亮介(親族代表)、森谷ふみ(ニッポンの河川)筒井俊作(演
劇集団キャラメルボックス)、傳田うに(劇団鹿殺し)、小園茉奈(ナイロン100℃)、竹内
健史、小笠原健吉、浦嶋建太、葛堂里奈、鳴海由莉、二見香帆
詳細はオフィシャルサイトをご覧下さいhttp://www.bull-japan.com/home/