連載

第7回ゲスト『浅沼晋太郎のオレ哲学』第1週

連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。第7回目のゲストは、演出家・脚本家・俳優・声優・コピーライター・デザイナーとマルチな才能でなんでもこなす浅沼晋太郎さんの登場です!(撮影/熊谷仁男)

COLUMN 2013 6/15 UPDATE

川本:浅沼くんと、こうやって話すのも初めてでしょ?

 

浅沼:照れくさいですね。

 

川本:()。飲んでばっかりだからなぁ。

 

浅沼:ラジオに出ていただいたときはお互い割と好きなことばっかしゃべってましたよね。

 

川本:そうそう。でも、最近だよね。密な仲になったのは。

 

浅沼:最近、ガンガン飲んだりするようになった。

 

川本:うん。それにしても、浅沼くんは本当に忙しいね。

 

浅沼:そんなことないですよ。時間の使い方が下手だから忙しく見えるだけです。

 

川本:そうかな。

 

浅沼:意外と寝てるし(笑)。

 

川本:いろいろやってるじゃないですか。このコーナーに今まで出てくれた人の中で、一番いろんな種類のことをやってる人かなと思う。

 

浅沼:でも喜安(浩平)さんもそうですよね。

 

川本:喜安くんもそうか。でも、喜安くんともちょっと分野が違うよなぁ、浅沼くんは。

 

浅沼:ですか?

 

川本:うん。違う。このコーナーは、その人の哲学を聞こうっていうコーナーなんですけど。

 

浅沼:俺、なんもないですけどね(笑)。

 

川本:なんでもいいの。朝は絶対に納豆食べるとか。そういうことでもいいの。

 

浅沼:なるほどなるほど。でもみんな、芝居に関係している哲学を話してますよね?

 

川本:ぜんぜん、もう芝居の話、これまで一回もしたことない。

 

浅沼:嘘つけっ!()

 

川本()

 

浅沼:俺、バックナンバーちゃんと読んだもん。

 

川本:そういうとこ几帳面だよね。ほんっとに。

 

浅沼:()

 

川本:読まなくたっていいのに。誰も読んでこないから()

 

浅沼:だって俺だけ変に浮いてたら、気持ち悪いじゃないですか。

 

川本:大丈夫ですよ。

 

浅沼:「なんだこいつの哲学!」って思われたくないもん。

 

川本:心配しすぎですよ。浅沼くんは、脚本も書いてるし演出もしてるでしょ。

 

浅沼:はい。あとは、自分の作る舞台で、たまにちょろっと俳優として出てます。

 

川本:俳優としても出る、と。

 

浅沼:もちろんメインを張ったりはしないですけどね。には声優とか。あとはデザイン事務所にいたことがあって・・・・・・。

 

川本:うそでしょ!?

 

浅沼:ホントです。デザイン事務所でコピーライターやってたんですよ。

 

川本:へぇ、知らなかった。

 

浅沼:なので、広告のコピーを書いてた時期もあります。

 

川本:その経歴・・・・・・浅沼くんってホントはさ、もう年齢、50歳ぐらいでしょ?

 

浅沼: ()

 

川本:だってそのキャリアを考えると、結構年齢不詳だよ、謎だよ。いつそれをやってたの!?っていう・・・・・・。

 

浅沼:僕、今、「ばかやろう」って突っ込もうと思ってたんですけど。実はこの間、ゲッターズ飯田さんにたまたまお会いして、占ってもらったんですよ。

 

川本:人気の占い師の方ね。

 

浅沼:はい。そしたら、「君は生まれた時から60歳だ」って。

 

川本:うそ!? じゃあ今、もうヤバイじゃん。90歳とかじゃん。

 

浅沼:もう、ヨーダみたいなもんですよ()

 

川本:いつコピーライターだったの。

 

浅沼:大学卒業してすぐですね。デザイン事務所に契約社員みたいな形で入って、コピーライトしながら、芝居の脚本も書いてました。

 

川本:コピーライターってどういう仕事なの?

 

浅沼:どういうって糸井重里さんみたいな?()

 

川本:・・・・・・ということだね()

 

浅沼:そうそうそう()。まあ、広告の文章書きです。

 

川本:「毛髪力!」みたいなことでしょ?

 

浅沼:そう。あと映画のポスターで「生きろ。」とか()

 

川本:もともとコピーライターになろうと思ってたの?

 

浅沼:いやたまたまですね。大学に在学中から、地方のラジオドラマの脚本も書いてたんです

 

川本:へぇー! でも、もともと好きなんだ。書くの。

 

浅沼:もともとは映画監督になりたくて、多摩美(術大学)に入ったんですけどね。

 

川本:そうだ。多摩美出身だ! アートの人なんだ。

 

浅沼:って訳でもないんですけど。当時の大学ではみんな、結構アバンギャルドなものばっかり撮ってたんですよ。それが流行で。僕だけ、演劇のコースの奴らに出てもらってドラマ的なものを撮ってた。

 

川本:ああ! 美術系だからアバンギャルドな感じかぁ。ストーリーとかじゃなくて。

 

浅沼:そう。実験映像とか。中にはクレイアニメに挑戦しようとして失敗してるやつもいましたけど(笑)。

 

川本:芸術の一つというかアートの表現の一つという感じの映像が主流だったんだ。

 

浅沼:でも僕はご存じのとおり、やっぱり、ジャッキー・チェンとかが好きなんで。

 

川本:エンタメ好きだよね。

 

浅沼:だから、みんなと違ってしょうもないアクション映画なんかを撮ろうとしてたんですよね。それで、ちゃんと物語性のある脚本を書いていた。その流れで、大学の先生が「ラジオドラマの脚本家を探しているところがあるから書いてみろ」と。で、大学生のペーペーが、長野県に行ってラジオドラマを書いて演出してたんです。

 

川本:ほぉ。長野県でやってたんだ。

 

浅沼:上田市でやってたんですよ。しかも帯で。

 

川本:え!?

 

浅沼:月~金で、毎回3分ずつ。

 

川本:すごいじゃん! なかなかできない経験だよね。

 

浅沼:そうなんですよ。その後は、大学卒業時に、自分の映画に出てもらってた演劇コースの先輩に「劇団作るから座付き作家になってくれないか」と誘われまして・・・・・・。

 

川本:うん。

 

浅沼:その頃、ちょっとだけ舞台に興味を持ち始めていたんですよ。というのも、あんなに足枷のある中で作品を作るってどういう感覚なんだろう、と。

 

川本:ああ。

 

浅沼:結局、映像のように、CG使えない、カット割り使えない、ここ見てほしいって時にアップが使えない。

 

川本:制約がいっぱいある。

 

浅沼:ほんとにいっぱいある。それから、場面の展開、時間の経過も映像と比べて制約が果てしない・・・。もちろん、表現の方法はいっぱいあるんだけど、そのときは、制約だらけじゃないかって思ってた舞台に興味が出てきた。

 

川本:ああ。

 

浅沼:それで、そのに、デザイン事務所に入ってコピーライティングもしながら、舞台の脚本も書き始めて、・・・・・・、という流れなんですよ。

 

川本:うんうん。すごいね。要は自分の思い描いた将来があって、プラス流れっていうか、人のススメにオモシロそうだからのっかったりもして、っていうのも結構あって、その結果、人よりも経験が多いってことか。

 

浅沼:そうですね。あとは…できるだけ、死ぬときに、あれやりたかったなっていうのを少なくしたいからかも()

 

川本:なるほどね。

 

浅沼:やれることは、とりあえず全部やっときたい。

 

川本:とりあえずは、やると。

 

浅沼:そう。ただ、飽きっぽいんで。

 

川本:飽きっぽい?

 

浅沼:そう。結構、飽きっぽくて。一番長く続いてるのは、舞台なんですよね。こんなに長く続くとは思わなかった。

 

川本:一回やったら、「なるほどねって、もういいや」ってなると思ってたってこと?

 

浅沼:正直、23年で違うに進んで行くのかなと。でも違った。

 

川本:それは、なぜ?

 

浅沼:まだまだやれていないことが多いからかな。あとは面白い人とたくさん出会えるとか。

 

川本:あと、結局ちやほやされたくてやってるじゃないですか。

 

浅沼:ですね(笑)。

 

川本:僕もそうなんですけど、ちやほやが観客からダイレクトに来るじゃないですか。

 

浅沼:舞台はね、確かに。

 

川本:映画って撮り始めて、編集して、スクリーンにかけて、それを観客と一緒に観てればまだいいですけど、それでも、作り始めてから上映までのスパンが相当ある。でも、今、モテたいってことでしょ?

 

浅沼:今、モテたい!

 

川本()。今! 今モテたい! 直でモテたい!

 

浅沼:すぐ褒められたいタイムラグなしですぐ!(笑)

 

川本:わかる()、褒められて伸びるじゃん。ずっと褒められてたいよね。

 

浅沼:褒められて伸びるっていうよりも、「褒められるために生まれてきた!だから褒めて!お願い!(笑)」ぐらい言いたい気持ちです。

 

川本:それは哲学じゃない?

 

浅沼:そうですかね。

 

川本:俺は褒められるために生まれてきた――。どう?この、キャッチコピー!

 

浅沼:かっこわりーなぁ()でもこれ確か伊集院(光)さんだったかな、他の方が言ってたことなんですけどね()

 

川本:でもそうだよね。

 

 

浅沼:結局、「これが正解ですよ」って言えるのって演出家だけじゃないですか。

 

川本:うん。

 

浅沼:役者たちが「これ面白いのかなぁ?」と思いながら稽古していて、でも演出家が「これでお客さんきっと笑うから、俺を信じてこれでやってみてくれ」っていう。そういう話ってよく聞くじゃないですか。でもそれを言っていいのは、基本的には演出家だけなんですよ。

 

川本:うん。

 

浅沼:で、なんて言ったらいいのかな。僕が舞台をやってるのは、僕が好きなもの、面白いと思うものを、「ほら、面白くない?」って出して、色んな人と共有したいからというか・・・・・。

 

川本:ほう。それはこれまでそういう経験をしたことがあるわけ?

 

浅沼:はい。

 

川本:でもそれは、自信がないとやれないことじゃないですか。迷いとか不安とか恐怖はあるでしょ?

 

浅沼:そりゃもうめちゃめちゃありますよ。むしろ自信なんてない。恐怖を抑えつけるために「エア自信」つけることばかり。すっげー怖いうえに、なんなら生活を脅かすくらいまで身を切る事だってあるのに「趣味や道楽でやってる」とか思われたりすると「死ななくていいから一生変な顔のままでいてくれ」とか思います(笑)。

 

川本:ねえ。「これ、つまんない」ってみんなが言ったらどうしようとか。

 

浅沼:言われるかもしれない。だから、僕いつも言うんですけど、脚本が書けなくなることは、そんなに怖くはないんですよ。

 

川本:うん。

 

浅沼:変な話、もし書けなくなっても、誰かに手伝ってもらうとか、あるいは2年後3年後書けた時に、また自分のところで公演ができればいいかな、って思えばいいことなんですけど、自分が面白いと感じることと、世間が面白いと思っていることにずれが生じること、これはもうどうしようもない。それが一番怖いです。

 

川本:あれ、通じねーなってこと?

 

浅沼:そう。あるいは、世間が「スゲー、これ面白い!」と言ってるのが、まったく理解出来なくなるっていうのが怖い。

 

川本:ああ。でも、そういうことってたまにない?

 

浅沼:たまにあります。でもそれは、理由がわかったうえで、今の俺の趣味じゃないなって思える。ある人たちには面白いんだろうということは理解出来る。

 

川本:好みだからね。

 

浅沼:でも「面白いと思う人がいること自体が全く理解できない」ってことが、いつかきっと出てくるかも知れない。

 

川本:うん。

 

浅沼:それって、アリかナシかを選択する運動神経が落ちてきたってことでしょ?

 

川本:ああ、その恐怖があるってことか。

 

浅沼:「わかんねー、どうしよう」って。それが、要は、自分の感覚の終わりの時なんだろうなぁと思って。

 

川本:それを普段、どうやって乗り越えようとしてる?

 

浅沼:そうですね・・・・・・、アウトプットをする仕事をしてるじゃないですか。

 

川本:はいはいはい。

 

浅沼:ということは、どこかでインプットしなければならないなって。アウトプットするためにはインプットが必要不可欠。だから、インプットで乗り切っているかなぁ。

 

川本:それはどういう状態?

 

浅沼:それはやっぱり「出会う」ってことでしょうね。

 

川本:ああ。

 

浅沼:成さんに出会ったり川尻(恵太)さんに出会ったり。たとえば川尻さんと成さんの話を聞いていると、ちょっとおかしいんじゃないかと思うくらい面白いじゃないですか。

 

川本:うんうん。

 

浅沼:そんなときに、たとえば僕がしゃべったことで川尻さんも成さんも笑うとするじゃないですか。そこで初めて「あ、俺が面白いと思って入ったこのフィールドは間違いなかったし、そこに自分も入ることができた!」って感じるんです。

 

2週に続く)

 

 ゲスト・プロフィール 浅沼晋太郎(あさぬま・しんたろう)

197615日生まれ、岩手県出身。多摩美術大学卒業。脚本家・演出家・俳優・コピーライターとして活動。2006年『ZEGAPAIN-ゼーガペイン』主人公のソゴル・キョウ役をきっかけに声優としても活動を始める。現在も、NHK Eテレ『ファイ・ブレイン〜神のパズル』大門カイト役TOKYO MX他『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』アサギ・トシカズ役、webラジオ『本チャン web ラジオ 絶園のテンペスト-Z-』(パーソナリティ)などがOA2007年より、エンターテイメント・ユニット『ハイブリッド・アミューズメント・ショウ bpm』に参加。bpm作品の全脚本と演出を担当する。舞台作品以外にも、映像脚本、イベント用脚本、CDドラマ脚本も執筆。

 

ホスト・プロフィール 川本成(かわもと・なる)

欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994あさりど結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ『ナルウザクスダの!』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』、『義風堂々!!』(20137月~)他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』他、自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。

 

  

お知らせその1★

浅沼晋太郎さん作・演出・出演舞台のお知らせです!

*pnish*プロデュース『RADIO KILLED THE RADIO STAR

日程:626日(水)~77日(日)

劇場:俳優座劇場

作・演出:浅沼晋太郎(bpm

出演:佐野大樹・森山栄治・鷲尾昇・土屋裕一/小笠原健・小池唯・猪狩敦子・菊地創/浅沼晋太郎 声の出演者あり

料金:前売・当日共¥5,500(全席指定・税込)

チケット:イープラス・ローソンチケット・チケットぴあにて発売中

詳細は*pnish*オフィシャルサイトをご覧下さいhttp://www.pnish.jp/

 

 

お知らせその2

浅沼晋太郎さん出演舞台のお知らせです!

office ENDLESS produce vol.12RE-INCARNATION-RE-BIRTH- ※新作

日程:912日(木)~916日(月)

劇場:THEATER 1010

作・演出:西田大輔(AND ENDLESS

出演:米倉利紀 中村誠治郎 浅沼晋太郎 田中良子 広瀬友祐 佐久間佑人 村田洋二郎

赤塚篤紀 猪狩敦子 椎名鯛造 谷口賢志 中村憲刀 塚本拓弥 杉山健一 竹内諒太

一内侑 平野雅史  and More

料金:前売・当日共¥6,800(全席指定・税込)

チケット:629日(土)10時よりチケットぴあ・ローソンチケット・イープラスにて一般発売開始

詳細は『RE-INCARNATION』オフィシャルサイトをご覧下さい http://officeendless.com/sp/rein/

 

 

お知らせその3★

川本成さん出演舞台のお知らせです!

時速246vol.ANo.721

日程:東京公演72日(火)~9日(火)/名古屋公演713日(土)・14日(日)

劇場:東京・赤坂レッドシアター/名古屋・テレピアホール

作・演出:御笠ノ忠次

出演:飯野雅彦・海老澤健次・郷本直也・清水宏・DAIZO・豊永利行(SET)・藤原祐規・宮下雄也(RUN&GUN50音順/川本成(時速246億)

料金:前売¥4,500 当日¥4,700(全席指定・税込)

チケット:イープラス・ローソンチケットにて発売中

詳細は時速246億オフィシャルサイトをご覧下さいhttp://www.jisoku246.com/

 

 

 

お知らせその4

川本成さん出演イベントのお知らせです!

街角美人Presents Color-i CV Collection

日時:729日(月)開場13:30/開演14:00

会場:赤坂BLITZ

出演:郷田ほづみ・甲斐田ゆき・竹内順子・川本成 and more

料金:前売¥4,800 当日¥5,500(オールスタンディング・ドリンク代別)

チケット:629日(土)10時よりチケットぴあ・ローソンチケット・イープラスにて一般発売開始

詳細はイベントHPをご覧下さhttp://www.color-i2012.com/cv.html

 

 

お知らせその5

川本成さん出演舞台のお知らせです!

小堺クンのおすましでSHOW28 IN THE**** SHAREHOUSE

日程:96日(金)~15日(日)

会場:東京グローブ座

構成・演出:小堺一機

脚本:舘川範雄

構成補:小山協子

出演:小堺一機・松尾伴内・川本成・堀口文宏・伽代子・大澤恵・大野朱美

声の出演:山寺宏一

料金:S席¥7,000 A席¥6,000

チケット:東京音協・チケットぴあ・ローソンチケット・イープラスにて発売中

詳細は東京音協HPをご覧下さいhttp://t-onkyo.co.jp/

 

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