連載
第12回 西山宏幸さん
第12回ゲスト「西山宏幸のオレ哲学」第4週
連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。12回目のゲストは、ブルドッキングヘッドロックの元・主宰で、自ら俳優であり、ミュージシャンでもある西山宏幸さんです! 西山さんの哲学を探るシリーズ、最終回の4週目であかされる、ご本人の名前に隠されていたポリシーとは!?
COLUMN 2015 10/9 UPDATE
川本:これから何をしていきたい人なんですか、西山くんは。
西山:それは、考えてるんですよ。音楽にまつわることはやっぱりいいな、と思って。いいなっていうのは、音楽って世界共通だと思うんです。音だから五感に訴えられるのがいいなと思って。あとは最近、自分の名前に立ち返るってこと をしてます。成さんも、「川本成」の「成」は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」みたいな名前にまつわる言葉ってありますよね。僕は「宏幸」。母親から聞いたところによると、「宏」は宇宙をあらわすらしいんですよ。「幸」が幸せ。あなたは既に幸せが宇宙くらいあるんだよと説明されて。
川本:おー!!
西山:だから、人に分けてあげなさい、と。なんかそういう会話をした記憶があるから、一緒にやった人とかがハッピーになったらいいなと思ってます。誰かを巻き込みたい ですよね。
川本:そうだね。
西山:一人でやるのも意味があるし、大事だなと思うんですけど、誰かとやるのはやっぱりいい。主宰というものをやってたから思うのかもしれないですけど。「すみません、ちょっと協力してください」ってお願いする方が多くなってくるけど、その分楽しいことをいっぱいやれたらいいなって思いますね。
川本:よく言うじゃないですか、破壊と創造だって。でも難しいじゃん、破壊と創造って。言葉的にも難しいし、芸術は破壊と創造なんだって言ってもピンとこない気がするんだよね。でも、やっぱりそれもバンドと近いんだよ。たとえば、アルバムを作ろうと盛り上がって実際つくったとしても、方向性が違うってなったら解散する。次へ行くために、一個のものを失くすっていうスタイル。それは、確かに必要だなと思ってる。維持していくっていうのは大事だけど、その方法としては小さな破壊と創造を繰り返しながら維持していくんだろうね。
西山:246憶もそうじゃないですか。毎回、よし!このメンツでやるぜ、って。そういうのがいいですよね。ネイキッドハイも、ブルの主宰とはまた違うんですよ。要は一人だから何かをやる度にすごいへこむ んです。
川本:ほう。
西山:あー、オレにもっと力があればって反省するんですよ。でも、客観的に見れば、それはそれでいいな、と思って。今回もし、何かをできたと感じたら、それは成果であったり成長を感じたということかもしれないけど。でも逆に、自分にできないことを知る っていうのは、なんかいいですよね。さらには、できなかったことができた時に嬉しく感じますし。
川本:なるほどね。できることだけでやってるとね、できないこと欲しくなるよね。さらにそこからできるようになったら、なお嬉しい。ちなみにオレ、泳げないんだけど……。
西山:え!? 何で? 何で? 何で?
川本:オレ、運動神経ないもん、全然。
西山:いやいや、めちゃくちゃ動いてますよ!
川本:ホントに。球技とかも全然できないし。ただ泳げるようになったら、世界は広がるよね。あと英語喋れるようになったら世界は広がるよね。・・・と思うよね。広がるというか、逆に世界が狭くなるよね、いい意味でね。
西山:うんうん。
川本:そんなことを思ったり…。何かやるってことは、人と交わりたいのかな?
西山:うん。交わりたいんだと思います。
川本:ネイキッドハイ、いいですね。参加したいっていう人、多いでしょ。
西山:多いです。でも最近思うんですけど、この人が参加した時に、その人が損するのは嫌だから、いいよって段々言いづらくなってきてる。
川本:(笑)、わかるねぇ。
西山:自分の名前論から言うと、“エンジョイがありますように”だから。関わってくれた人が損するのは嫌だから、やりたいのはわかるけど、でもオレにはまだあなたを良い感じにするアイディアがないんだよって伝えます。
川本:やっぱり、西山さん、面白いですねぇ。
西山:もうめちゃくちゃです。めちゃくちゃなことやろうかな、と思って。
川本:これから、当然ミュージシャンとしても役者としてもやっていくわけでしょ。
西山:そうですね、はい。
川本:面白いね。感覚派だよね。
西山:感覚派です ね。
川本:オレ、どっちなんだろうと思ってたんだけど、感覚派なんだね、きっと。
西山:うん、そうだと思う。
川本:勘違いしちゃダメだね、オレも。
西山:(笑)。僕ね、風神Tシャツを作りたいんですよ。
川本:あら、いいじゃないですか。
西山:アメコミみたいな。成さんモデルにしたやつ。で、ブロアーの先の素麺のピロピロが文字になってたりする。THANK YOU!みたいな。
川本:(笑)。
西山:何に対してTHANK YOU!かわかんないですけどね。
川本:いいじゃないですか。絵、描くの?
西山:描こうかなと思って。僕、もともと絵、描いてたんですよ。陶芸とかもやってて。
川本:へぇー。
西山:めっちゃできますよ、陶芸。
川本:マジか!
西山:菊練りみたいな。
川本:西山くんって、どんなおじいさんになるんだろうね(笑)
西山:なんか、髪をドレッドとかにしたいですね。
川本:オレと初めて会った時、ロン毛だったもんね。
西山:そうそう。
川本:将来…どうなっていたいの? 例えば、お金が欲しいとかあるじゃん? 売れたいとか、有名になりたいとか。
西山:まぁ、お金はあった方がいいなと思うんですけど、そんなにはいらないなと思ってて。金塊とか別にいらないじゃないですか。
川本:金塊は逆に欲しいかな。家に延べ棒とかあったら面白くない?
西山:(笑)。それはいいな。延べ棒は久しぶりに聞いたな。ルパンぐらいでしか延べ棒というものを見ないな。なんか、いい楽器とか欲しいですね。好きな所に行ったりとかもしたいけど、一番は何がやりたいかって言うと、……一生頑張り続けたい ですね。
川本:そうだよね。
西山:多分、頑張るからお休みがあるわけで。お金があってずっとお休みがあるんだったら、生きてるのも嫌だな、意味ないなって思っちゃうから。それこそね、頑張ってお仕事もやるし、頑張って遊ぶし、っていうのがいいですね。
川本:頑張って遊ばないとね。遊ぶ、ということはさ、インプットするってことじゃん。で、何かやるってことはアウトプットするってことじゃん。それが逆になることもあるんだけど。休みを取るってことをしないといけないよね。頑張って休みを取らないといけないね。何かを入れないと何かが出ないよね。
西山:僕、最近You Tubeとかでずっと見てたんですけど、世界が感動したパフォーマンスとかあるじゃないですか。それは風神の前に、いろんな要素があるんだろうなって見てたんですけど、やっぱ世界は面白いなーと思って。全然、言葉わかんないけど面白いものは面白いってなるんだな、と思ったり。
川本:常にこう、表裏一体みたいなことってあるじゃん。何かをするためには何かをしないことだ、みたいな。この間、日本映画専門チャンネル見たら、「森繁対談」ってのがあって、昔やった番組らしいんだけど、森繁久彌さんがいろんな人と対談するっていう番組で。第1回目のゲストが高倉健さんなの。もう既にスゴイでしょ。ヨットハーバーみたいな所で喋るんだけど、「ここは銀座4丁目なんですよ」とか言ってて、銀座にヨットハーバーが当時あったんでしょうね。何十年前かわからないんですけど。そこで森繁久彌さんと高倉健さんが二人で喋るんだけど…全然喋んないの、二人とも。
西山:(笑)。
川本:そうなると、逆に見るね。勉強になったのは、今まで喋る仕事は、当然、喋ろうとしたの。でも喋らないってことも必要なんだな、と。高倉健さんや森繁久彌さんが喋んないことで、すごい見るのよ。何を考えているんだろうとか、何かを言おうとしてるなっていうようなこと。そうすると見る側の感情が、またちょっと育つんだよね。非常に面白いなーと思って。喋る場では、喋るほうが楽じゃないですか。喋る場で喋らないほうが辛いんですよね。なのに、喋んないんですよ、高倉健さんも森繁久彌さんも。で、とうとう高倉健さんが、サングラスをかけだすの。もう表情までシャットアウトし出すんですよ(笑)。面白いなーと思って。勉強になるね。
西山:あ、でもさっき、僕らの間にも、ちょっとそういう時間ありましたよね。なんか無言の時間が。それが、ちょっと面白いなーと思ってて。
川本:面白いじゃん、そういうのって。よく欽ちゃんも言ってたことなんだけど、「逆だよ」っていう。2個セットになってて、こっちがしたいんだったら逆のほうが面白い、みたいな。さすがにそうだな、と。だから、怖いけどやる、とか。続けたいけど止める、とか。そういう、逆をやってる人はやっぱり面白いなと思う。今度「森繁対談」見せるね。
西山:見たい見たい。
川本:それとね「傷だらけの天使」も再放送を見たんだけど、セリフ早すぎて何言ってるかわからない。ショーケンも水谷(豊)さんも、伝えようとかしてないんですよ。だけど、それは伝わるんですよね。
西山:見る側が、わかろうとするんですよね。
川本:最近思うんですけど、表現者って、自分が何をしたいかってことが重要で。面白そうなことを盛るんですよ。でも、大事なのは、見てる人がどうかっていうこと。たとえば、パン屋だとすると、パンを作って満足しちゃってるんですよ。大事なのは食べた時に旨いかどうか。そう思って、ショーケンとか見ると、迎合もしてないし自分がやりたいってことも特にしてない。だからなんか突き抜けてていいんですよね。だいたいどっちかなんですよね。見てる人のこと考えてないか、迎合しすぎてるか。でもショーケンはどっちでもないんですよ。言ってることもわかんないし(笑)。でも、両方、良い風になってる。
西山:いい炊き加減なんですよね、ごはんで言うと。
川本:ネイキッドハイもそれに近いじゃん。自分がやりたい!やりたい!ってことばかりでもない。でもサービス!サービス!、わかりやすく!わかりやすく!だけでもない。ベタではなくてちょっとわかりにくいことも入れてるんだけど、オナニーでもないっていう。
西山:いいバランスだな、と思って。いろんな要素があってね。バンドでね、なんかパフォーマンスをギャンギャンやってるのをボーッと見るのもどうかな、つまんないなと思うから。もちろん、そういう時間もあったりするんですけど、でもちゃんといい具合にもってけてたのかなぁと思って。
川本:お客さんが何か五感を使わなきゃいけないわけよ。お客さんも頑張って見ようってことね。そうすれば、心が揺さぶられちゃうから。それが一番いいものだよね。ボーッと見てるものって揺さぶられないから。完成形を出されると揺さぶられないんだよね。面白いけど特に揺さぶられもしない。だから森繁さんの対談も、頑張って見ないといけないわけよ(笑)。
(西山宏幸さんの「オレ哲学」は今回で最終回です。次回のゲストをお楽しみに!)
ゲスト・プロフィール 西山 宏幸(にしやま・ひろゆき)
2001年からブルドッキングヘッドロックに参加し、俳優活動と共に、ほぼ全ての作品の音楽制作を担当。
2007年から2015年まで劇団の主宰を務める。
2013年のvol.23『少し静かに』では、演出・音楽・出演。劇場空間含め、舞台上のあらゆる「音」を取り入れた演出を行う。
最近の音楽制作としては、舞台『墓場、女子高生』、NHKドラマ『妻は、くノ一』、『妻は、くノ一~最終章~』、ABCドラマ『敏感探偵ジャスミン』(監督:入江悠)など。2015年3月自身がプロデュースするバンド「Naked High」の活動を開始。Vocal,Bassを担当。カーニバルのようなliveを目指して活動中。
ホスト・プロフィール 川本 成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ『ナルウザクスダの!』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』、『義風堂々!!』他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』、『男子はだまってなさいよ!聖バカコント』他、自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。趣味の分野では映画好きで、大の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ファン。この作品を語らせたら右に出る者はいない、と本人が自負している。(あくまでも本人が)
★西山宏幸さん出演情報です★
<舞台>
ポップンマッシュルームぴあ野郎公演「錆びつきジャックは死ぬほど死にたい」
10月28日(水)~11月3日(火)@CBGKシブゲキ!!
作・演出:吹原幸太
http://pmcyaro.com/stage/pmpyaro_rustedjack/sp/
★音楽を担当しています
<映画>
「愛を語れば変態ですか」(監督:福原充則)2015年秋公開
★音楽を担当しています
blog「かんたんに新しいわたし」http://ameblo.jp/nishiyamah/
Twitter https://twitter.com/nishiyamah
★川本成さん出演情報です★
<舞台>
時速246億 川本成ソロ公演「独立」
11月11日(水)~15日(日)@中野・劇場MOMO
演出:小林顕作/作:川本成、小林顕作/出演:川本成
http://www.jisoku246.com/info/
WATARoom produce6 VIVID CONTACT -re:born-
2016年1月8日(金)~17日(日)@中野ザ・ポケット
http://www.wataroomoffice.com/news.html
<LIVE>
川本成のフォークとトークin名古屋
10月11日(日)OPEN 17:00/START 17:30 @LIVE HOUSE Tiny7
http://www.hagimoto-kikaku.co.jp/asarido/reserve_folk/
blog「Naru’s blog’n boy」http://ameblo.jp/kawamotonaru/
Twitter https://twitter.com/runarurunaru