連載
第1回 小林顕作さん
第1回ゲスト『小林顕作のオレ哲学』第4週
宇宙レコード&コンドルズの小林顕作さんが語る「オレ哲」。これまで4週にわたってお送りしてきましたが、今回で小林さんは最終回。さて、最後に語られるのは、どんな「オレ哲」となりますか!?(写真/下坂敦俊、構成・文/中村恵美)
COLUMN 2012 1/20 UPDATE
川本:今、情報が多い時代でしょう。たくさん情報が入ってくるせいか、下の世代の役者の子は、こんな俺らの話をちゃんと聞いてくれる子もいるけど、なんか、全くピンと来てないやって子ももちろんいますよねえ。そういうのを感じると、「俺らがオヤジになったんだろう」なんて話してるんですけどね。
小林:どうなんだろうね。
川本:演劇の数も昔よりも増えたんですよね?なにやら「イケメン舞台」というジャンルがあるくらいだからね。
小林:前に比べたら、確かに増えたよね。小劇場の人たちが頑張ってすそ野を広げた感じは、ものすごくあるけれども。
川本:ああ、そうですね。
小林:でも逆に、真新しさはない。やっぱり、宮藤(官九郎)さんとか(阿部)サダヲくんとか八嶋(智人)さんらが、すそ野を広げた、可能性を広げたでしょ。 そうなると「あ、じゃあ、ああいう劇団とか作ったら俺にもチャンスがあるかもしれない」っていう
安易な「偽物」がうわーって集まってくるから、真新しさはないよね。
川本:そういうモデルケースが、今の子たちにはあるからね。
小林:そうそう、俺たちには無かったから。このまま野たれ死ぬんだって言う人たちばっかりだったじゃない。
川本:モデルケースが無いから、笑いとか芝居とか作ると、結果どうにもなんない、変なぐちゃぐちゃしたものができちゃって(笑)。
小林:(笑)。
川本:でも今は、何でもセオリーが簡単に手に入るから、YouTubeなんか見ながら、こんな雰囲気とかこんな風にとか、選択肢は増えてるんでしょうね。今の子たちにはパターンがある。
小林:そうそうそうそう。三人だったらこのタイプ、二人だったらこのタイプとか。コントスタイルとか。色々あるね。
川本:…と、こんなこといいだすとね、オヤジになったんじゃないか、老いちゃったんじゃないかなぁと。
小林:いやでも、そんなオヤジのほうがいいんじゃないかと思うね。だって、これまで、俺たち、やってきたんだもん。
川本:でも、俺、ボケ老人にはならない。ツッコミ老人になるから。
小林:あっそ、うまい事言うな。
川本:で、俺がいろんなところにツッコんでると、逆にあの人ボケたと言われちゃう(笑)。
小林:(笑)。セオリーで思い出したんだけど、作家の中谷さんが、萩本さんのところに、笑いのセオリーをいろいろ教えてくれってきた時の話でさ。萩本さん、将棋がすごく好きだから「じゃあ、そこ座って、俺と将棋させ」って中谷さんと将棋をはじめたんだよね。中谷さんが強かったせいか、帰してもらえずに、結局、1週間くらい将棋ばかりしてたらしい。
川本:ほう。
小林:で、中谷さんがしびれを切らして、「欽ちゃん、いつになったら笑いの事を教えてくれるんですか?」って言ったら、「もう、教えたよ」って(笑)。
川本:(笑)
小林:1週間将棋をやった中に、全部入ってるって言ったという(笑)。
川本:そういう人なんです。
小林:でもやってる人間からすると、至極わかる。
川本:僕も欽ちゃんに、高校の時に、そんなようなことばかり言われて、当時はまったくわかんなかったんですよ。でも、何年もやってると、これが当てはまる瞬間があるんですよ。
小林:すごくありますね。
川本:で、おもしろいなぁと思ってきたりして。
小林:だから僕も、この話を聞いて、
宇宙レコードの稽古やってる時は、ほぼ将棋しかしてなかったですよ(笑)。
川本:(笑)。顕作さん、欽ちゃんと将棋したら面白いと思うよ。
小林:ほんと一回やってみたい。もし僕が勝つようなことがあったら帰れないだろうけど。
川本:勝っても負けても帰れないと思う。たぶんずーっとやってると思う。
小林:(笑)。俺もずーっとやっちゃうタイプだからねぇ。
川本:でね、結局、宇宙レコードの舞台も同じですよ、セオリーとかセオリーじゃないとかじゃできない。あれは普通の人にはできないんですよね。技術的な事だけでは出来ませんもん、あの舞台。
小林:うん。
リングに上がってくるしかないからね。
川本:勇気ですよね。
小林:うん。
川本:若い時は勇気があるんですよね。中学生や高校生のときは、怖さを知らないから喧嘩もやっちゃうんですよ。だんだん知識がつくと喧嘩にも行かなくなる。それが、大人になったってことかもしれないけど。だから、舞台やるときには、子供のころに戻ったつもりでやらないと、勇気ってものはなくなっていくでしょ。
小林:そうだね。
舞台に出てる時は、俺はホント、自分のこと、クソガキだと思ってるよ(笑)。
川本:中には、台本があって動きをつけてくれて芝居すればそれでいいっていうスタンスの役者さんもいたりするでしょ。
小林:そういうスタンスもありかもしれないけど、僕がそういうスタンス、与えられたものでいける人間だったら、公務員とか、もっと効率のいい、安定した収入の仕事を選ぶと思うな。
川本:与えられた仕事を100%、100点を目指してこなすってことですよね。
小林:うん。
川本:われわれは、280点か、またはマイナス520点かどっちかって感じですからね。
小林:マイナス520点が、いいんですよ! (笑)
川本:そうなってくると、またいいんですよね(笑)。
小林:今日のはすごいマイナスだったな~ってね(笑)。
川本:(笑)。話が尽きないので、じゃあまあ、このあたりでしめますか。
小林:僕まだ全然プロローグなんですけど……ウソです(笑)。
※第一回小林顕作さんの「オレ哲学」は今回で最終回です。 お楽しみいただけましたでしょうか? 次回のゲストは喜安浩平さんです!近日公開、お楽しみに!
ゲスト・プロフィール 小林顕作(こばやし・けんさく)
1996年、ジャンルにこだわらず、舞台を形成していく演劇ユニット『宇宙レコード』(※レは丸囲みが正式)を、西村たけお・中村たかしとともに結成。同年、男性のみ学ラン姿でダンス・映像・コントなどを展開するダンスカンパニー、コンドルズに立ち上げから参加。作品中のコント脚本を担当。客演も多数。現在、NHK教育『みいつけた!』(月~金曜日 午前 7:40~7:55、日曜版:午前7:25~7:55)オフロスキー役でレギュラー出演中。2012年2月にはコンドルズのイスラエル公演が決定している。
ホスト・プロフィール 川本成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』他、また自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。
★お知らせ★その1
川本成さん出演舞台のおしらせです!
SUGARBOY「Fruits」
日程:2012年2月8日(水)~19(日)
会場:下北沢・小劇場楽園
脚本・演出:川尻恵太
出演:今立進(エレキコミック)・鬼束道歩・川本成(時速246億)・高橋良輔・民本しょうこ・辻本耕志(フラミンゴ)・宮下雄也(RUN&GUN)・諸岡立身(トーキョーハイライト)
チケット:前売/予約:¥4,000 当日:¥4500 <発売中>
チケット予約・お問合せ:http://sugarboy.jp/
★お知らせ★その2
川本さんが主宰している、時速246億の第5回公演『グレイトフルデッド』のDVDが、2011年11月30日(水)に発売となりました! 劇場の興奮と臨場感をご家庭で味わえます。この機会に、ぜひお求めください。アニメイト他、CDショップなどで取り扱っておりますので、お問合せ下さい。
時速246億vol.05『グレイトフルデッド』DVD絶賛発売中
【定価】¥4,500(税込)
【品番】NEBS-10001
【発売元】株式会社ティー ワイ エンタテインメント
【販売元】キングレコード株式会社
萩本企画HP http://www.hagimoto-kikaku.co.jp/
時速246億HP http://www.jisoku246.com/