連載
川本成の「オレ哲学」
第18回ゲスト「小林顕作のオレ哲学2」第2週
連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。18回目のゲストは、小林顕作さんです! 独特の価値観で生きる自由人。川本さんが、小林顕作さんに心酔するわけ、うなずけます。先週からの続きをお楽しみください。(撮影/猪瀬紀子)
COLUMN 2018 10/12 UPDATE
川本:顕作さんの作る世界って、世間と逆行してると言うよりは、世間の王道を突いてる気がするんですよ。王道っていうのは、多数ということじゃないですよ。欽ちゃんが言ってた7対3の理論がおもしろいなって思ってて。世界は、大体なんでも7対3になるんだそうですよ。プロとアマチュアも7対3。たとえば、ウォルト・ディズニーとかスティーブ・ジョブズみたいな人は、7対3でいうなら、3割のほうにいるマイノリティなんですよ。
小林:そうだね。
川本::要は少数派。10人に相談して7人に反対される人があの人達なんですよ。でも、それを貫き通した人が、すなわちプロなんですよ。天才的なアイデアで、大ヒット商品や大衆に愛されるもの、王道を生み出すのはそういう人たち。だから、オレも、いつも少数派だったらいいなって思ってる節があって。顕作さんも少数派だと言われるけど、考えてることは王道なんですよ。大多数である世間のほうが、他人のアイディアに乗っかったり、流行りを追っかけたりしてるなぁ、と思って。「あー、オレもそっちだなー」って思ったことがあったなー。
小林::なるほどね。
川本::顕作さんは、今後、どうなっていくんでしょうか? だって、オフロスキー役もやり続けて、大河にだって出て…。
小林:今後かぁ…今、自動車にはまってるって話をしましたけど、できれば、バスの免許が取りたいな、と。2年ちゃんとしていれば大型免許の試験が受けられるので。バスで友達を連れてツアーをしたいんですよ。
川本::ほう。
小林::それで、僕が運転手やるんで、ガイドさん付けて、仲間を連れてツアーをやりたいんですよ。温泉に浸かって宴会するみたいな。で、何度か話したことあるかもしれないけど、今老人が一人で死んでいくことが多いじゃないですか?
川本::孤独死?
小林::そう。演劇やってる人達って、意外と社会と繋がりがない、演劇の人達とだけしか付き合いがないみたいなところがあるんですよ。それで、劇団☆新感線の方々って、ゆくゆくはマンション一棟買って、そのマンションにみんな一緒に住もうっていう計画があるらしいんです。オレもなんかそういうことをやりたいなって思ってて。お金儲けたら広い土地に、知ってるやつらの家族全員で住もうか っていうのを考えてます…。
川本::ホントにサンマーク出版から、本、出してる人だよ(笑)
小林::ハハハハハ。村を作ろう!みたいな。でも、実際のところ、今、村化って進んでるんだって。この間まで、お隣が誰か素性もわからないっていうのが普通だったんだけど、ちかごろ災害が増えてる関係もあってか、やっぱりどこかで繋がっていたいっていう気持ちになりはじめてるらしいんだよ。あ、なるほどなと思って。みんな、ちょっと他人と繋がった生き方みたいなのを考え出して、コミュニティができはじめてるんだって。顔だけ知ってるみたいな人達が、一緒に共同で住むようなコミュニティ。
川本::へぇ。
小林::オレも ここから別に演劇で一旗揚げようなんて思ってない し、面白く生きられたらなと思ってるんだけど、友達が「寂しく死ぬのが嫌だ」って言うから、オレが、飲みの席で「 みんなで一緒に住むっていうのはどう? 」っていう提案したんですよ。そしたら、ほぼ100%の人が「住みたい!」って (笑)。 「もう、絶対顕ちゃんと一緒に住みたい!!」って言うから、「じゃあ、オレ、もっと頑張るわ」と思って。
川本::おもしろそうですよね。
小林::「子どもが産まれたら、そこでみんなで育てようよ」「朝ごはんはオレ作ってあげるよ」って。そしたら「マジで?それ超いいわー!」ってなった。
川本::昔よりも、田舎で仕事もできますもんね。パソコンとかもあるし。
小林::そうだよね。
川本::漫画家さんも、今は原稿をメールで送れるから、地元に住んだままの人、多くなってるらしいですよ。田舎に住むっておもしろいですね。
小林::楽しいよね!
川本::鳥取県どうですか? 鳥取県。
小林::うん、いや、遠いな!(笑)
川本::鳥取県は住むところ山ほどありますよ。
小林::山ほどあるね。…でもなんか、そこでみんなが集まって生活するようになった、そしたら季節ごとに豊作を祝う祭りが欲しいじゃないかっていう流れになるじゃん。それで祭りやるじゃん。で、今年はこうなったけど来年はこうしようって段々できていくのが伝統じゃないですか。そうやって出来上がっていく踊りや舞っていうのが…
川本::ヤベー奴じゃん!ヤベー宗教のヤベー奴じゃん!
小林::ハハハハハ。
川本::ヤベーよ。
小林::そうするとどうなっちゃうのかな、っていう。
川本::宗教になってきちゃった。
小林::でも、元々部族ってそうやってできてきたんだよなーって思うと、非常に興味深いなと思って。
川本::まぁ、おもしろいっちゃあ、おもしろいですけど。
小林::僕、イスラエルのキブツっていう集落で居候させてもらったことあるんですよ。コンドルズで公演に行って。だけど、そこはもう、キブツっていう部落の習慣が失われて。みんなお金が儲かるようになって、マイカーを持って、そうするとだんだんみんなの気持ちが離れていったって。「昔はどうだったの?」って聞いたら、「お金もない共産主義でみんなで集まって暮らしてて貧乏で子だくさんみたいな状況だったんだけど、すごく幸せだった」って言うんですよ。なるほどなーと思って。
川本::俗世間の集団の中にいると、焦ったりするじゃないですか。そのストレスをいかになくそうかっていう考え方でしょ。
小林::うんうん。
川本::ストレスから病気もくるし、だったら一緒に楽しく暮らそうよっていうことでしょ?
小林::とどのつまり、健康でいることが一番 だったりするから。
川本::そうですよ。だって僕らがこの俗世間で焦ってる理由って、誰かが売れたとか。
小林::お金は貰いたいとか。
川本::説教されたとか、アイツはこうなのにオレはこうだとかね。それにしても、顕作さんには、悲壮感がないんですよね。『スター・ウォーズ』でたとえるなら、顕作さんはルーク・スカイウォーカー。『スター・ウォーズ』って、おとぎ話みたいにシンプルな構造になってて、僕好きなんですけど、人はたいていマイナスに引き寄せられるって話じゃないですか。ダース・ベイダーはまさにその代表なんですよね。人ってやっぱり、マイナスのネガティブな要素にどんどんどんどん入っていく。その中にルーク・スカイウォーカーっていうポジティブな人がいて、ネガティブ対ポジティブが、これも7対3になってる。多数派に少数派が立ち向かっていくっていう話なんです。ほとんどの人はダース・ベイダーなんですけど、顕作さんはルーク・スカイウォーカーなんですよ。
小林::まー、当然そうだろうね(笑)。
ゲストプロフィール 小林顕作(こばやし・けんさく)
1996年、ジャンルにこだわらず、舞台を形成していく演劇ユニット『宇宙レコード』(※レは丸囲みが正式)を、西村たけお・中村たかしとともに結成。同年、男性のみ学ラン姿でダンス・映像・コントなどを展開するダンスカンパニー、コンドルズに立ち上げから参加。作品中のコント脚本を担当。客演も多数。最近では、2.5次舞台の演出もこなす。現在、NHK Eテレ『みいつけた!』(月~金曜日 午前7:45〜8:00、再放送 月〜金曜日 午後4:45〜5:00)オフロスキー役でレギュラー出演中。
ホストプロフィール 川本 成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はテレビ『アナログBANBAN』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』、『義風堂々!!』他では声優を務め、2018年公開の映画『ONLY SILVER FISH』、『紅葉橋』に出演する等、活躍の場を広げている。
舞台では『男子はだまってなさいよ!』、『ブルドッキングヘッドロック』、『月刊「根本宗子」』など話題の劇団に多数出演する他、自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。2016年に細川徹(男子はだまってなさいよ!主宰)を作・演出に迎え上演したSFコメディ『バック・トゥ・ザ・ホーム』の再演&続編を2018年11月に連続上演することが発表され話題を呼んでいる。趣味の分野では映画好きで、大の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ファン。この作品を語らせたら右に出る者はいない、と本人が自負している。(あくまでも本人が)
★小林顕作さん お知らせ★
<舞台>
放課後の厨房男子【演出】
2018年10月18日(木)~11月4日(日)銀座・博品館劇場
http://event.1242.com/special/kitchenboys/
★川本 成さん お知らせ★
<舞台>
時速246億「バック・トゥ・ザ・ホーム2018」「バック・トゥ・ザ・ホーム2」連続公演
2018年11月7日(水)~25(日)赤坂レッドシアター
http://www.jisoku246.com/
<映画>
紅葉橋
2018年公開
http://no-4.biz/momijibashi/
ONLY SILVER FISH
2018年秋公開
http://www.mmj-pro.co.jp/onlysilverfish/
<ラジオ>
おしゃべり会 戦車部
インターネット放送局 ケーズステーション 不定期配信
http://www.kzstation.com/
blog「Naru’s blog’n boy」 http://ameblo.jp/kawamotonaru/
twitter @Runarurunaru