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手塚治虫の不朽の名作を再舞台化!『アドルフに告ぐ』製作発表!

2015年創立30周年を迎えた劇団スタジオライフが、記念公演第3弾として『アドルフに告ぐ』を8年ぶりに上演します。6月12日に中野サンプラザで、映画監督山本晋也さんと脚本・演出の倉田淳さんとの特別対談と製作発表が行われました。(撮影・文:Yukari Watanabe)

NEWS & INFORMATION 2015 6/25 UPDATE

『アドルフに告ぐ』は、漫画家・手塚治虫さんの不朽の名作。「アドルフ」という名前の2人の少年とアドルフ・ヒットラー、3人のアドルフの人生が、ベルリンオリンピックやナチスの興亡、第二次世界大戦、戦後の中東紛争など歴史上の出来事と共に綴られる歴史漫画です。この物語をスタジオライフが8年ぶりに再舞台化します。

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製作発表に先立ち、映画監督の山本晋也さんと演出家の倉田淳さんによる、特別対談「戦後70年、今『アドルフに告ぐ』を上演するということ」が行われました。

昭和14年生まれの山本監督は、東京大空襲等戦下を生き抜いた実体験や、手塚作品についても多いに語りました。山本監督は立川談志師匠の門下で、談志師匠と親しかった手塚治虫氏とも交流があったとのこと。『アドルフに告ぐ』について「最後に、アドルフ・カウフマンに“俺の人生は何だったのだろう。あちこちの国で国家の正義というやつに付き合って、そして何もかも失った。肉親も友情も、おれ自身までも。おれは愚かな人間だ。愚かな人間がゴマンといるから、国は正義をふりかざせるんだろな…”という言葉を言わせている。手塚治虫のメッセージはここに集約されていると思う。国家は正義という呪文で、国民を操ろうとする。本当に大切なことは、個人の幸せだ。アドルフへのメッセージは、すべての人へのメッセージである」。また「今回の公演は、必ず観にいく。ポイントはどこか、作る人が答えを探していかなければならない」とスタジオライフの役者へメッセージを残しました。

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対談に続いて、スタジオライフ出演者21名が登壇し、製作発表が行われました。
8年ぶりのリブート公演と銘打つ意味は、単純な再演ではなく、日本篇、ドイツ篇の異なる視点からのアプローチ、さらに特別篇に加え、ダブルキャストを併せると全5パターンとなる初の試みであると説明がありました。

脚本・演出の倉田淳氏は「『アドルフに告ぐ』は5年前、前代表の河内が戦後70年の2015年に上演を強く希望し、決めていった最後のプログラム。見る視点が変われば、正義もまた変わる。その相互関係を構築できたらと稽古を重ねているところ。アドルフとは、私たちのすべての中に刻まれている名前の1つであり、我々が継いでいかなければならない。そして継いだものを、後に継いでいってもらう使命を持って、この作品に挑んでいます」と前代表の遺志とその思いを語りました。

続いて、3人のアドルフ・カウフマン、2人のアドルフ・カミル、そして峠草平役の6人の役者が、それぞれ役への思いと意気込みを語ってくれました。

<松本慎也さん>
stad_03「アドルフ・カウフマンを演じる松本慎也です。戦後70年の節目の年に、『アドルフに告ぐ』を上演できること、そしてアドルフ・カウフマンという魅力的な役を演じることに幸せを感じています。直接、戦争を経験した方々の生の声を聞く貴重な機会もどんどん少なくなっていきます。そんな中、手塚治虫先生のたくさんのメッセージが溢れた登場人物の生きざま、命をここにいる劇団員みんなで、真摯に、魂をこめて演じることで、平和への思いを少しでも未来に繋げていく機会にできたらと思っています。テーマ的に固い言葉が多くなりますが、純粋に演劇的なエンターテインメント性のある、皆さんに楽しんでいただける作品です。是非、劇場にお越しください」

<山本芳樹さん>
stad_04「初演に引き続き、アドルフ・カウフマンを演じる山本芳樹です。幼少期からのカウフマンを演じることで、無理なく演じることが、自分にとっての課題の1つです(笑)。初演から8つ年齢を重ね、その間、様々な役を演じ、8年前の僕より8つ先輩の俳優として、その経験を反映できたらと思っています。今回、新しい気持ちで取り組んでいますが、8年前に演じた気持ちも蘇ってきます。歴史の大きな流れは予定通り進んでいく。ただその状況を説明するだけではなく、よりライブ感、リアルさを表現していきたいです」

<仲原裕之さん>
stad_05「特別篇でアドルフ・カウフマンを演じる仲原裕之です。特別篇は、昨年、高校の芸術鑑賞会で上演しました。芝居に興味のない生徒も、物語が進むに連れて、どんどん前のめりになっていく様子を実感しました。手塚先生の作品の力、芝居の力を感じることができました。今回の特別篇もその力を信じて、役者1人1人の熱量を出して、作品を作っていきたいと思います。よろしくお願いします」

 

<奥田努さん>
stad_06「アドルフ・カミルを演じる奥田努です。舞台ということで、お客様に“生”で演じることがより大事だと思っています。僕らは僕らにしかできない、戦争やそういった状況に対する思いを、お客様に“生”で伝えることができるように頑張ります」

 

 

<緒方和也さん>
stad_07「アドルフ・カミルを演じる緒方和也です。2007年の初演時には、スタジオライフに入団して1年目の新人でした。今回再演にあたり、アドルフ・カミルを演じさせていただくことは、身の引き締まる思いです。たくさんの方に観にきてほしいと思います」

 

 

<曽世海司さん>
stad_08「初演に引き続き、峠草平を演じる曽世海司です。山本監督の話を伺いながら、我々が突き進んでいるテーマ性、方向性に間違いはないと確信しています。今回、日本編、ドイツ編という2つのルートを設け、3つの視点から『アドルフに告ぐ』に挑むことに意義を感じ、一眼となって頑張っています。峠草平は、語り部、狂言回しの役割がありますが、大変魅力的な男です。峠草平をより魅力的に、この8年で培ったものを役にどれだけ投影できるか自分への挑戦、勝負でもあります。とにもかくにも、是非、楽しみにしていてください」

最後に新代表・藤原啓児さんから、前代表・河内喜一朗さんの、正義と悪の境界線のないイデオロギーに対しての深い思い、8年前の初演時から再演決定まで一貫して抱いていた『アドルフに告ぐ』の上演に対する情熱と思い入れが語られました。

『アドルフに告ぐ』は、7月11日(土)~8月2日(日)紀伊國屋ホール、8月22(土)・23日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演されます。
詳しくは、公式サイト(http://www.studio-life.com/)をご覧ください。

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