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『松竹大歌舞伎』制作発表

平成26年度『松竹大歌舞伎』の製作発表が、7月25日(金)都内にて行われました。(取材/文 仲野マリ)

NEWS & INFORMATION 2014 7/29 UPDATE

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平成26年度『松竹大歌舞伎』が、片岡愛之助を座頭に、11月12日(水)から11月25日(火)まで、10都道府県・10都市で開催されます。
製作発表には片岡愛之助さんと松竹株式会社の安孫子正副社長が出席。

安孫子副社長最初に安孫子副社長が「この秋の松竹の地方公演は愛之助さんにまわっていただくことになりました。例年の公演と比べますと公演回数が少ないですけれども、それはその月の前半に永楽館での公演がございますので(永楽館歌舞伎:11/4~11/9、兵庫県豊岡市)、それを終えられた後に続けてということになります。愛之助さんは、今歌舞伎をベースに様々な仕事を勢力的になさっていますが、これはとても素晴らしいことで、地方のお客様も、そんな愛之助さんが来てくださることを歓迎してくれています。市の主催の方も本当に喜んでいらっしゃいます。歌舞伎の面白さを、より多くの方に分かっていただこうと一生懸命努力している愛之助さんを中心に、お芝居の『英彦山権現誓助剱』と舞踊の『団子売』をそろえ、少人数ですが中身の濃い公演で歌舞伎の魅力を届けるべく地方を回ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶をしました。

愛之助丈次に愛之助さんが「巡業で初めて座頭を務めさせていただきます。実は久しぶりの歌舞伎なんです(笑)。今年は5カ月しか出さしていただいておりませんので、ちょっとさびしく思っていました。先だって久し振りに6月の博多座で、本業の歌舞伎に戻ってまいりましたところ、僕やっぱり歌舞伎役者だったんだ、と思って(笑)。実家に帰ってきた感じというか、やはり歌舞伎の方が安心してできますね。ですから、10月の新作歌舞伎『GOEMON』、そして11月からは永楽館歌舞伎、そしてこの巡業と立て続けにありますことを、非常に楽しみにしております」と意気込みを語りました。

歌舞伎以外の仕事が増えている点について

「僕は歌舞伎役者ですから、もちろん歌舞伎を務めることが本筋です。これは当たり前のことですけれども、その他にいろいろなお仕事をさせていただくのも、とてもうれしいことです。(市川)海老蔵さんに勧められて始めたブログにもメッセージをたくさんいただいておりまして、歌舞伎に初めて行ってきましたとか、敷居が低くなったとか、歌舞伎ってこんなに楽しかったんですか、とか、やはり歌舞伎以外のお芝居やテレビなど他のメディアに出たことで、それをきっかけに来てくださっている方がこんなに多いんだ、とすごくうれしく思っております。ですからこれからも、歌舞伎以外の舞台や映像のお仕事を、最低年1回は務めていきたいと思っております」

〈初めて〉歌舞伎を観る人のための気遣いが、『英彦山権現誓助剱』の上演方法に

「『毛谷村』は、この場面だけの上演が多いんですけれども、初めてご覧になられる方は『毛谷村』だけ見ても、(長いストーリーの一場面だけなので)人間関係がわかりにくいんじゃないかと思い、今回『杉坂墓所』を入れさせていただきました。これをつけることによってより物語が深まりますし、主人公の六助とお園の関係や、お園の逼迫した状況、敵役の卑劣さなどがはっきりして、感情移入しやすくなると思います」

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今回の六助は、ミケンに刀のキズがある?

「主人公の六助という男は、剣豪で力持ち、でもまっすぐで気がやさしいというキャラクターです。初めて務めさせていただいた前回(平成25年1月浅草新春歌舞伎)は、伯父の(片岡)我當に手とり足とり教わりました。普通、六助というのは眉間に傷があるんですが、その時はつけませんでした。これは我當の考えとして、六助ほどの剣の達人が、わざと負けると言っても傷が残るまでバーンっとはやられないだろうというのがあったからです。伯父も昔はつけていたんだけれども、今はつけてないと、仰っていました。『役者はそれぞれ身長も違えば顔も声も違うから、いろんなことを試して自分に合ったものをしっかりと探しなさい』というのが伯父の言葉です。私も初演は最初に教わった筆のとおりに進めたいですしそういたしましたが、今回は、眉間に傷をつけて一回やってみようかなぁと思っております。六助の優しさと力強さ、人間の器の大きさというものが、なお一層感じられますよう、自分なりに試みていきたいと思います」

相手役・中村壱太郎の魅力

「壱太郎さんは小さいころから、ほんとにもう赤ちゃんの頃から見ていて、そのうち子役を務められるようになり、素敵な子役さんだなぁと思ってたら、いつしか一緒に芝居をするまで大きくなられました。今は自分の奥さんの妹の役、奥さんの役、たまにお母さんの役まで務めてくれています。すごくしっかりしていますし、時々ふっと山城屋のおじさん(祖父の坂田藤十郎)に似ていたり、そうかと思えば父上の(中村)翫雀さんにそっくりなところもあったり、若いのにこなれた雰囲気がふと漂うんです。そういう意味で、本当に脈々と流れる血を感じますね。『団子売』などは特に、そういう空気感が大事ですから、私も一緒に演じさせていただくのを楽しみにしています」

地方巡業の魅力

「私たち、恐らく西コース・東コース・中央コースと全部回らさしていただいているので、日本全国の都道府県に行っていると思うんです。でも、巡業って芝居が終わりましたら、バスに乗ってすぐに移動なんです。3時間くらい走ってそれで次の土地の宿に着く。夜遅いですから、コンビニが開いているだけで喜ぶような具合です。ですから、実はそこの土地のことはあまり見ていないのが正直なところです。劇場の、それも楽屋に入って初めて『あっ、ここ来た来た!』と思い出す感じなので。だからご当地の唯一の楽しみは美味しい出前を取ることですかねぇ。それくらいしか時間がないのですが、今回はできるだけ時間をつくって、ちょっと周りを歩いてみたいなぁと思っております」

最後の公演会場となる中津文化会館(11月25日)は大分県。『英彦山権現誓助剱』ゆかりの英彦山も近い。安孫子副社長によると「ゆかりのあるところに積極的に声をかけていくということは常にしておりますが、あえてということではありません。この地が最終になったのは偶然ではありますが、これも何かのご縁ではないでしょうか」と公演成功の兆しを感じたようでした。

フォトセッション

 
(公演データ)

平成26年度松竹大歌舞伎
平成26年11月12日(水)~11月25日(火)

(演目)
英彦山権現誓助剱 一幕
  杉坂墓所/毛谷村
団子売 竹本連中   (青字はなくても可)

(出演者)
片岡愛之助/中村壱太郎/上村吉弥/市川男女蔵

(日程)
11/12(水)高周波文化ホール(富山県射水市)
11/13(木)こまつ芸術劇場うらら(石川県小松市)
11/15(土)小坂町康楽館(秋田県小坂町)
11/16(水)小坂町康楽館(秋田県小坂町)
11/18(火)四日市市文化会館(三重県四日市市)
11/19(水)愛知県芸術劇場(愛知県名古屋市)
11/20(木)羽島市文化センタースカイホール(岐阜県羽島市)
11/22(土)神戸文化ホール(兵庫県神戸市)
11/23(日)岡山市民会館(岡山県岡山市)
11/24(月・祝)ルネッサながと(山口県長門市)
11/25(火)中津文化会館(大分県中津市)
(11日間・19回公演/10都道府県・10都市)

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