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インタビュー & 特集

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INTERVIEW! ブロードウェイミュージカル『CHICAGO』 朝海ひかるさん

11月1日より東京国際フォーラムで上演されるブロードウェイミュージカル『CHICAGO』宝塚歌劇100周年記念OGバージョン。ロキシー・ハート役で出演する朝海ひかるさんにお話を伺いました。(文/小柳照久、撮影/熊谷仁男)

INTERVIEW & SPECIAL  2014 10/21 UPDATE

「これからご覧いただくのは、殺人、貪欲、堕落、暴力、搾取、不義不貞の物語です。いずれも皆さんが好きなものばかり」という何とも素敵な口上で始まる『CHICAGO』の物語。朝海ひかるさんは2012年3月の『DANCIN’ CRAZY2』におけるハイライト版に引き続き、ヒロインの一人、ロキシー・ハートを演じます。「清く、正しく、美しく」とは正反対の役にビックリすること必至。全幕版では悪女っぷりに磨きをかけての登場です。

センセーショナルなヒロインたち

-–愛人殺害、夫に罪をなすりつける、看守には賄賂、悪徳弁護士と組んで陪審員やマスコミを騙しまくる、ヴェルマ・ケリーとのライバル関係……。ロキシーは何とも波瀾万丈な役ですね。『DANCIN’ CRAZY2』の時に一度演じられていますが、演じた感じはいかがですか?

『DANCIN’ CRAZY2』の時はダンスショーだったので、役を通してミュージカルナンバーを踊っているという感覚が強く、“演じる”という上では今回が初めてという感覚がありますね。

—ビッチなのにお客様の共感を得なければならない難しい役どころですが、いかがですか?

ロキシーがなぜお客様に共感していただけるかというと、人間としての嘘がないんです。演出の吉川徹さんがおっしゃってましたが、『CHICAGO』の登場人物は嘘をつかない、自分の心に正直というところが観ていてスカッとするし、共感もします。 “よくぞ言ってくれた”というのもありますし、そういうところがお客様に受けるんだと思います。

—女性はスカッとするかもしれませんけど、男の立場からすると結構ツライ作品なんですが……。

そうでしょうねー(笑)。ロキシーを含め、女性の登場人物ほとんどが恋人やご主人を殺害して監獄に入れられている囚人なんですけれど、そもそも男が女を裏切ってるんです。その仕返しを女性がしただけ。だからしかたがない(笑)。男性に「僕たちもいつ撃たれるかわからないんだ」と大いに反省していただき、女性に誠実な男性になっていただければと思いながらこの作品をやってます!

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-そんな中、女性たちにモテモテなのが悪徳弁護士のビリー・フリンですね。誰のことも愛してくれませんが。

愛してくれませんねぇ。でも、それでも許されちゃう男性なんです。「それでもいいの」と思っちゃいます。確かに『CHICAGO』は、男性目線では厳しい作品だと思いますが、その中でビリーは自由に生きていて、良くも悪くも男の中の男!女性から見て「こういう人がいたら」という格好良さです。

—ライバル関係のロキシーとヴェルマですが、性格は対照的ですね。猫を被っているけれど大胆なロキシーと、毒々しいけれど意外と人情的なヴェルマ。選びにくいかもしれない質問ですが、朝海さんはどちらの女性に共感を覚えますか?

私は『CHICAGO』というミュージカルが大好きで、今まで何度も観ているのですが、ロキシー役を演じさせていただく前はヴェルマ派だったんです。ナンバーも格好良くて最高ですし。でも演じてみて思うのは、姐御肌に見えるのはヴェルマですが、本当に強いのはロキシー。まわりのことは“知ったこっちゃない”という感じですけど(笑)、自分にとにかく誠実で、嘘がないところが、自分もこんな風に生きてみたいって思いました。さすがに尊敬まではいきませんけど(笑)、凄いです。


演じて感じる日米の文化の違い

—ロキシーには次から次へと難題が降りかかり、打ちのめされることも多いけれど、立ち直りの早さも天下一品ですね。

頭の回転が早いんですよ。状況に応じて、どうすることが自分にとってベストか、どうすれば自分が望む「無罪判決」「有名スター」などの夢に近づけるかを、動物的な勘で嗅ぎ取ることができる女性なんです。ロキシーにとって、操られている自分というのは一番嫌なことなので、ビリーに束縛されると「私の自由にさせて!アンタなんてクビよ!!」となりますが、同じ監獄で顔を突き合わせてた子が死刑になるのを目の前で見て、コトの重大さをキャッチし、「もう一度お願いします」となるんです。

—そこで悪びれないであっけらかんとしているロキシーに、見ているほうは「邪険にしといてまたお願い?」とビックリします。

弁護士という仕事のイメージは、日本とアメリカでは全然違うそうです。日本の弁護士は「正義を貫く先生」という感じですけれど、アメリカはビリー・フリンを観ていただくとわかるように、お金のためだったらどんな嘘八百でも、どんな作り話でも仕立てて、絶対無罪を勝ち取ってみせるという感覚があって、弁護士=先生じゃないそうです。お互いビジネスと割り切って利用しあう。そのあたり、日本とアメリカの感覚の違いがあると思いますね。


フォッシースタイルを踊ってみて

—日米の違いといえば、ダンスにおける女性の見せ方もかなり違いませんか?

日本はどちらかというと、可愛い子が良しとされていて、強いとか、セクシーとか、格好良い女性を敬遠される男性が多いと思うんです。セクシャルのとらえ方が日本とアメリカでは違うので、世の男性方には『CHICAGO』というミュージカルを観て、「こういう女性も素敵だな」と思っていただきたいです!

—ボブ・フォッシーの振付も非常にセクシーです。

フォッシーの振付って男性が踊っても、女性が踊ってもセクシャルなものだと思うんです。エネルギーを外に出すのではなく、内にためることでセックスというもの表現するのは、初演当時はとてもセンセーショナルなダンスだったと思います。フォッシーの振りは永遠に変わることなくずっと生き続けていくんだろうなと踊るたびに思います、他にはないんです。初演以来、まるで日舞の型のように、フォッシー・スタイルを継承してきたスタッフの方に敬意を表します。女性だけゆえのセクシーさもお楽しみください。

—関節という関節を全部動かすようなスゴイ動きがあるかと思いきや、眉や指一本だけを動かすことで表現する場面もあります。ヴェルマと歌い踊る「Nowadays」なんて何とも粋です。

表現しすぎないところが、大人のテイストで格好良いですよね。

—大きな動きじゃないのに、観客を魅せる時のコツってありますか?

エネルギーが外に行き過ぎると魅力的にならないと、前回『CHICAGO』を踊ったときに学びました。それからいろいろな舞台で踊っていますが、外に向けて表現するばかりでなく、学んだことを実践するようにしてます。

—衣装も装置もシンプルなプロダクションですが、ロキシーは無罪だけではなくスターの座を狙う魅力的な役。シンプルの極みの中でゴージャスなことを表現する魅力と難しさはいかがでしょうか?

『CHICAGO』の魅力の一つは演じる者、観る者の「想像力を楽しむ」というところにもあります。ロキシーのナンバーに、その名も「Roxie」というのがあるんですが、最初は「ねぇ、聴いてくれる?」と友人にしゃべっていたのが、どんどん、どんどん、妄想が広がって、ショーの中で自分が真ん中に立っていてイケメンの男の子がいっぱいいてと・・・・・・大変なことに! もちろん、体で表現できることは限られていますが、頭の中の想像っていうのは無限大じゃないですか。想像すれば想像するほど、体を通じてお客様にきっとわかっていただける、きっと見えているとイメージして演じてます。すると、実際は真っ黒な衣装の男の子たちが出てくるだけなんですけど(笑)、「ROXIE」という電飾が降りてくる、そんな感覚が伝わる感じがするんです。

—『DANCIN’ CRAZY2』の時に電飾、見えました! 羽根、溢れてました!

(笑)。衣装や装置がシンプルだからこそ、演者側のイメージがストレートに伝わりやすいんだろうなと思います。自分が内面から盛り上がって鳥肌が立つような感覚を味わい、イメージの大事さを感じました。今回、トリプルキャストで三人のロキシーがいますけれど、一人一人の想像力が違いますので、三人三様の場面になると思います。他の二人のロキシーを観るのが楽しみです。

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『CHICAGO』ファミリーの掟

—『CHICAGO』は舞台だけでなく、お稽古の段階から細かな指定があるそうですね。歌用、芝居用、ダンス用と、三つの稽古場が用意されるというのは聞いたことがありますが、その他にも何かあるんですか?

稽古着は黒!という約束があるんです。そして、通常のお稽古場だと、香盤順に上手・下手・上手・下手と待機場所が決まっているんですが、レディース、ジェントルメンと別れてるんですよ。あ、例外がいて、ビリーはレディース側、ヴェルマはジェントルメン側にいます。ちなみに、ロキシーはレディース側に座っています。ビリー・フリンと一緒です!

—そういえば、同じ役でも髪型や服の形は女優さんごとに自由みたいですが。

そうですね。カツラは使わないという指定はありましたけれど、キャストに合った髪型、役のイメージにあった髪型であれば自由なので、スタッフが三者三様の髪型を考えてくれてます。


宝塚OGたちによる華麗なる『CHICAGO』のみどころ

—さて、今年は宝塚歌劇100周年ということで、今回の『CHICAGO』もそれを記念した公演になるんですが「清く、正しく、美しく」の本家では考えられない作品ですね。すみれコードはどこへやら、退団してすぐだったら男役時代のファンの人は「えっ!?」と戸惑ったと思います。

あはは(笑)。そうですよね。でも、前も意外と抵抗感がなかったと言っていただきました。実はすみれコードのことは考えていなくって、制作発表で「下ネタ満載」と言われ、「あ、気になるのか!」と思った程です。

—きわどい台詞だらけですが、下品にはなってないのは何なんでしょうね。稽古の段階で「そこ、やりすぎ!」と注意しあうんですか?

ないです! まったくないです。看守のママ・モートン役が結構下ネタを言うんですね。演じられるお一人が初風諄さんなのですが、伝説のマリー・アントワネット様が「もう、嫌だわ、こんなお下品なこ、と、ば。ねぇ」と優雅におっしゃっているんです(あまりにソックリな物まねに一同爆笑)。でも、一番ノリノリですみれコードを破られています!

—みなさん、ちゃんと日本の女性じゃなくなっているんですね

それができるのが宝塚OGならではだと思うんですよ。男の役だけでなく、外国人の役を自然にできるよう研究してきましたから。宝塚を出た者の強みの一つですね。

—個性は強烈だし、バタ臭いし、思考方向は日本人の感覚から離れているのに、ちゃんと魅力的に昇華してしまうのが凄いです。

日本の女性の感覚もだんだんアメリカナイズされてきたのかもしれません。『CHICAGO』の映画版を観た時、ロキシーが可愛くて可愛くてたまらなくって。『CHICAGO』がそんなにわからなくもない世界になってきていると思うんですよ。

—あの、今さらですが、朝海さんが演じるロキシーだから格好良く見えますけど、一般のお女性がロキシーを目指しだしたら困るんですけど

日本の社会にロキシーがはびこったら、それはそれで難しいものがありますね(笑)。

—とにかく凄い人気で、11月東京公演は完売、12月の凱旋公演も決まりました。全公演ではないけれど、アフタートークショーやプレミアムグランドフィナーレも楽しみです。最後にomoshiiをご覧の方にメッセージをお願いします。

色々話を聞いて興味をもっていただいた方、観ようかどうか悩んでいる方。世界初・女性キャストのみの『CHICAGO』は、今後そうそう上演できるものではないので、希少価値の高い舞台です。ぜひこの機会に観ていただきたいと思います。劇場でお待ちしています!


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<プロフィール>
朝海ひかる(あさみ・ひかる)
1991~2006 年、宝塚歌劇団に在団。元雪組トップスター。早くから透明感のあるさわやかな個性とダンスの実力を認められ、2002 年雪組男役トップスターに就任。2006年『ベルサイユのばら』でオスカル役を演じ、好評を博す。同年退団後も舞台を中心に活躍。ミュージカルのみならずストレートプレイでの演技も注目を集めている。主な作品に『蜘蛛女のキス』(演出:荻田浩一)、『エリザベート』(演出:小池修一郎)、『シラノ』(演出:山田和也)、『ローマの休日』(演出:マキノノゾミ)、『おもひでぽろぽろ』(演出:栗山民也)、『みんな我が子』(演出:ダニエル・カトナー)、『しみじみ日本・乃木大将』(演出:蜷川幸雄)等多数。2015年1~2月『ボンベイドリームス』、2〜3月『Golden Songs』に出演予定。

 

<公演データ>
ブロードウェイミュージカル『CHICAGO』
宝塚歌劇100周年記念OGバージョン

日程:11月1日(土)〜 9日(日)、12月10日(水)~ 19日(金)
会場:東京国際フォーラム ホールC
演出:ウォルター・ボビー
振付:アン・ラインキング

出演:峰さを理、麻路さき、姿月あさと/和央ようか、湖月わたる、水夏希/朝海ひかる、貴城けい、大和悠河 他
※大阪、愛知公演あり

詳細は公式サイトにてご覧ください。ブロードウェイミュージカル『シカゴ』公式サイト

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