インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『blast ブラスト!』 活躍する日本人キャスト
マーチング&ドラム・エンターテインメントの金字塔『blast ブラスト!』が、6月28日から10月まで全国47都道府県ツアーを敢行します。オーディションで選ばれた精鋭たちが集まるこの人気作に、日本人キャスト3人が今年も参加。03年の日本初演以降ソリストとして活躍する石川 直(なおき)さん、2年前の全国ツアーより参加の和田拓也さん、米所裕夢(よねそ ひろむ)さん、3人による楽しく熱いトークをお届けします。(取材/小野寺亜紀)
INTERVIEW & SPECIAL 2014 7/1 UPDATE
アメリカの伝統的なドラム・コーをショーアップし、トニー賞・エミー賞にも輝いた『ブラスト!』。日本でも03年の初演以来人気に火がつき、12年までに計621回の日本上演を達成。今年は2年前と同じく全国47都道府県ツアーを行い、いよいよ100万人動員を果たします。これはブロードウェイ作品のアメリカカンパニー史上初の快挙! 何度観ても心をわしづかみにされる熱い舞台の裏側を、パーカッション・ソリストの石川 直さん、ビジュアル・アンサンブルの和田拓也さん、トランペットの米所裕夢さんに伺いました。
11歳よりモダンバレエを始め、渡米後最優秀カラーガード賞などを受賞した和田拓也さんと、数々の全国大会で賞を受賞しソリストとして活躍していた若きトランペッター・米所裕夢さん。『ブラスト!』の大先輩、石川さんは米所さんに「2年前と違ってヒゲがある!」と楽しそうにつっこんだりしながら、二人を見守っているのが伝わってきます。
石川「二人ともそれぞれパートは違うけど存在感があって、お客さんも目がいくと思います。米所は柔らかい音を出すことも、突き刺さるような音を出すこともできる変貌自在な男(笑)。和田は前回、シンバルを持ちながら僕のドラムを飛び越えてジャンプするという振付があったんだけど、すごいふくらはぎをしているんですよ。いい筋肉をしています! 日本の吹奏楽やマーチングをやっている人たちからすると、信じられないアクションもあるのが『ブラスト!』です」
米所「前回は憧れの舞台に立ててすごく幸せでした。全国ツアーでは各地でお客さんの反応が違って面白かったです。哀しい雰囲気を帯びている『ロス』というソロの曲を吹かせていただいたのですが、東日本大震災のこともあり周りから涙したという話も頂戴して、しっかり気持ちを入れて吹こうと思いました」
和田「僕が担当している“ビジュアル・アンサンブル”は、やっぱり統一美をいかに見せられるかが大切。前回はツアー中にメンバーと富士登山もし、チームワークを養いました。今回も約1カ月のアメリカ合宿で、しっかり稽古を重ねて連帯感を養えたらと思います」
石川「合宿の後は街へ出て、メンバーの人となりを知るということもやります。やっぱり『ブラスト!』は、一体感が大切。演奏をしている間は言葉を交わさなくても『楽しいね』とかコミュニケーションができる。僕らがやろうとしているのは、楽譜の通り間違わずに演奏するとかではなく、いい空気、空間を作ってそれをお客さんに感じ取ってもらうこと。毎日がパーティーという舞台なんですよ。お客さんも一緒に楽しもうよって。例えば『今日はメンバーの誰かが調子が悪そうだな』と思ったら、音楽的に許される範囲で笑わせようとか、そういうことが日々生まれています」
石川 直さんはパーカッション・ソリストとして03年の日本初演より『ブラスト!』に参加し、ブロードウェイの舞台にも進出。堂本光一さん主演のミュージカル『Endless SHOCK』などでも活躍しています。髪を伸ばし風貌もさらにキリッとなった彼には、東日本大震災のニュースを見てゼロからまた向き合った『ブラスト!』への熱い思いがあります。
石川「僕は日本で何度も『ブラスト!』のツアーに参加させてもらっているけど、毎回お客さんから『パワーをもらいました』『明日から仕事をもっと頑張れる気がする』というようなメッセージを頂きます。とにかく生きるエネルギー、進むぞという気持ちを高めるためのエネルギーをみなさんに届けるのが僕らの役目です。僕は日本でやる『ブラスト!』が好きなんですよ。この日本でできるということにすごくやりがいを感じます。終演後のミート&グリートでは、パーティーを楽しんだ者同士、みたいなコミュニケーションがお客さんとあって僕らも毎回楽しんでいます」
最後に改めて『ブラスト!』の魅力と本ツアーへの抱負を語っていただきました。
米所「『ブラスト!』はひとつのショーの中に、ボレロ、マラゲーニャ、ジャズ、ブルースなど色んなジャンルの音楽があり、視覚的にも楽しめるのが魅力。今回は前回のツアーより約半分のキャストが入れ替わり、恐らく僕より若い人も入ってくるはず。僕自身2年前と何も変わっていなければ意味がないので、新たなメンバーの中でまた違った形の『ブラスト!』をお届けしたいです」
和田「ステージからド迫力の音とインパクトが押し寄せるのが魅力ですね。今回新しいテーマが増えてメンバーも変わるので、喜怒哀楽の表現であってもどんどん膨らんでくると思う。2014年の『ブラスト!』を楽しみにしていて下さい」
石川「リピーターの方が多いのは、楽しむツボがみなさん違うからだと思う。“人間はここまでできるんだ!”という超絶技巧や、全員がパンと揃ったときの鳥肌が立つ空気感。色々なものが仕掛けられているショーなので、ニュートラルな状態で楽しんでほしいです。照明ひとつとっても、世界のトップをいっているという自負のあるスタッフが支えてくれています。キャストも向上心のすごく強い人たちが集まっていて、技を競い切磋琢磨していくシステムが出来あがっているので、今年も必ず進化します!」
石川 直(いしかわ・なおき)
1975年6月9日・東京都出身。13歳でアメリカに渡り15歳からパーカッションを始める。96年、青少年たちが参加するドラム・コーの世界大会、DCIのスネアドラム・ソロ部門、初出場で個人優勝。その後も数々の賞に輝き、00年『ブラスト!』に入団。アメリカツアーに参加し、01年ブロードウェイに進出する。03年の初来日公演よりすべての『ブラスト!』日本公演に参加。05年から14年、堂本光一主演『Endless SHOCK』に出演。「2007年大阪世界陸上」開会式の出演、一部構成・演出を手掛けるなど、パフォーマンス、指導、作曲、企画など多彩な分野で活躍している。和田拓也、米所裕夢と共に『踏音Archipelago』を結成する。
和田拓也(わだ・たくや)
1984年12月18日・静岡県浜松市出身。11歳よりモダンバレエを始め、高校卒業後に渡米。「The Blue Devils」に入団。最優秀カラーガード賞を受賞する。03年DCIで優勝。06年にはソリストとして活躍。05年地元浜松でカラーガードチーム「Lifeguard」を結成。11年『ブラスト!』のオーディションに合格し、12年の全国47都道府県ツアー『ブラスト!』に参加。全国各地でマーチングバンド、カラーガードの指導、普及活動を続けている。
米所裕夢(よねそ・ひろむ)
1992年1月8日・兵庫県高砂市出身。04年高砂市立松陽中学校吹奏楽部にてチューバを学ぶ。同年、マーチングバンド・バトントワーリング全国大会に出場し銀賞を受賞。05年トランペットに転向。06年吹奏楽連盟全日本マーチングコンテストで銀賞を受賞。同年マーチングバンド・バトントワーリング全国大会金賞受賞。ソリストとして活躍。11年『ブラスト!』のオーディションに合格、12年の12年の全国47都道府県ツアー『ブラスト!』に参加する。
『blast ブラスト!』
全国47都道府県ツアー
2014年6月28日(土)千住(プレビュー)公演より、10月4日(土)沖縄公演まで全国で上演
スケジュールなどは公式サイトからご確認下さい。
公式サイト:http://www.blast-tour.jp