インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『モンテ・クリスト伯』石丸幹二さん
今年はTBSドラマ『半沢直樹』でも注目の人となった石丸幹二さん。充実の1年をミュージカル『モンテ・クリスト伯』主演で締めくくり、2014年1月も本作で大阪、愛知、福岡と3都市を回ります。日本初演となる大作ミュージカル、その取材会で石丸さんにお話を伺いました。(取材/小野寺亜紀)
INTERVIEW & SPECIAL 2013 11/14 UPDATE
『巌窟王』として有名なアレクサンドル・デュマ作の小説を、『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』を生んだフランク・ワイルドホーン作曲、『アリス・イン・ワンダーランド』のジャック・マーフィ脚本・歌詞で贈るミュージカル『モンテ・クリスト伯』。無実の罪で牢獄に送られたエドモン・ダンテス(後のモンテ・クリスト伯)を演じる石丸さんをはじめ、そうそうたる実力派がキャスティングされました。日本初上陸となる愛と復讐の壮大なミュージカル・ロマン。歌もドラマも見どころ満載の舞台となりそうです。
――まずはドラマ『半沢直樹』での“復讐される側”から、“復讐する側”になるお気持ちは?
堺(雅人)さんからじっくりと復讐の仕方を盗んできましたので(笑)、役に活かしていきたいです。私の倍返しを楽しみにしていてください。このモンテ・クリスト伯は復讐だけではなく、最後に人を赦し、思いやる気持ちに気付いていくので、人間の成長物語でもあります。ただ、3人の男への復讐はきっちりクールにきめたいです。
――先に韓国版を観に行かれたそうで、いかがでしたか?
この作品はスイス版もあるんですが、僕はちょうど上演中だった韓国で拝見しました。キャストが若くエネルギッシュなパフォーマンスで、客席も一緒に盛り上がっていました。観終わった後スッキリする、そんな舞台でした。ラストはいろいろな解釈があり、原作と映画がすでに違うようにミュージカルもラストがそれぞれ異なるんです。韓国版と日本版も恐らくラストが違ってくると思うので、そこは観てのお楽しみですね。
――石丸さんは『ジキル&ハイド』にも主演されましたが、ワイルドホーンさんの音楽の印象は?
彼はメロディメーカーで、ポップスもたくさん書いてらっしゃるからとても耳馴染みがいい音楽なんです。ただ転調など、歌い手の技術をすごく必要とする曲が多いので、歌い切ったときは充実感があります。先日、来日されて、我々キャストの資質に合わせた、オリジナルのアレンジを加えてくださいました。一音も変えてはいけないという作曲家もいらっしゃいますが、彼はそれぞれの持っている声の魅力、キーに沿って「自由に変えますよ」とおっしゃるんです。きっと日本版ならではのものをお目にかけられると思います。
――エドモンについては、同じ男性としてどんなところに共感を覚えますか?
若き日の彼はとてもピュアな人で、人を信じるという純粋さにまず共感しますね。あとは船長を任せられるだけのリーダーシップという部分も。舞台では17歳から14年という時を経て変化していく姿をお見せします。最初は若々しい青年。その後、投獄されてからは髪も髭も伸び放題で絶望の極致にいます。ミュージカルの面白さは、ほんの一瞬で時が変わるところ。衣裳、メイクの力を借りながらも、心の中も切り替えていければと思います。原作は膨大な話ですが、この作品は復讐と、婚約者のメルセデスとダンテスとの心のやりとりに焦点が絞られています。特に花總まりさん演じるメルセデスの心の揺れは、女性の方たちが寄り添い共感できると思います。
――どん底から這い上がるという、エネルギーの必要な役ですね。
この作品に限らずなんですけど、タイトルロールを演じるときは特に体力勝負になってくるんです。
――共演者の方の印象は?
花總さんは今年僕のコンサートにゲストとして出ていただいて、彼女の歌声と合わせた時に、これは『モンテ・クリスト伯』でもいいデュエットになるだろうなと確信しました。芯が強く、可憐さも秘めたメルセデスになるだろうと思います。石川禅さんとは『エリザベート』でご一緒して、お互い分かり合っています。岡本(健一)さんは、僕が彼の芝居を観ていて、その演技力に感銘を受けました。今回は敵同士。彼の執着する表現が僕に向かってくるでしょうから、四つに組んで芝居ができるのが楽しみです。坂元健児くんとは劇団(四季)時代、一緒に在籍していましたが、人間同士の役で共演するのは初めてなので(笑)、楽しみにしています。濱田(めぐみ)さんは『ジキル-』でも共演していますし、お互い、手の内が分かっていて、しかも手応えのある演技をする人。彩吹(真央)さんは元男役ですし、きっとフェンシングのシーンとか格好いいと思いますよ。村井(國夫)さんは芝居が深い方。エドモンは彼のファリア神父から牢獄で生き方や考え方を学ぶので、物語の要になる。ここでドラマが決まると思うので、芝居できっちり見せたいです。
――今年はどんな1年でしたか?
お茶の間にまで私の名前と顏が広がったというのは大きな変化で、いろんな方に注目してもらえるありがたい機会をいただきました。ここから演劇やミュージカルの世界にまで結びつけて、多くの方に劇場まで足を運んでいただきたいという強い思いがあります。私は歌手活動もやっていますので、「浅野支店長が歌も歌っていますよ」ってね(笑)。今年はドラマはもちろん、東京に限らず松本で長く公演をしたり、コンサートもやったり、多忙ではありましたけど、充実した1年でしたね。来年前半はミュージカルが続きます。ホームグランドの私を楽しんで頂きたいですね。
プロフィール
石丸幹二(いしまる・かんじ)
愛媛県出身。東京音楽大学でサックスを、東京藝術大学で声楽を学ぶ。1990年、ミュージカル『オペラ座の怪人』(劇団四季)ラウル役で舞台デビュー。数々の作品に主演し、2007年末に劇団四季を退団。その後の主な出演作に『エリザベート』トート役、『ジキル&ハイド』ジキル&ハイド役、『GOLD~カミーユとロダン~』、サイトウ・キネン・フェスティバル『兵士の物語』、『最後の精神分析フロイトvsルイス』など。朗読劇からミュージカルまで幅広い舞台で活躍。2012年菊田一夫演劇賞受賞。2013年はTBSドラマ『半沢直樹』に出演、半沢の敵役・浅野支店長役を演じて話題を集めた。ドラマ『酔いどれ小籐次』『白洲次郎』(NHK)、映画『時をかける少女』など。2013年セカンド・アルバム「Love Songs」をリリース。
公演情報
ミュージカル『モンテ・クリスト伯』
原作:アレクサンドル・デュマ
脚本・歌詞:ジャック・マーフィ
音楽:フランク・ワイルドホーン
演出:山田和也
出演:石丸幹二、花總まり、岡本健一、石川 禅、坂元健児、濱田めぐみ・彩吹真央(Wキャスト)、村井國夫、他
●東京公演
2013年12月7日(土)~29日(日)
日生劇場 S席12,600円、A席7,350円、B席4,200円
03・3490・4949(ホリプロチケットセンター)
●大阪公演
2014年1月3日(金)~5日(日)
梅田芸術劇場メインホール S席12,600円、A席8,400円、B席4,200円
06・6377・3800(梅田芸術劇場)
●愛知公演
2014年1月11日(土)~12日(日)
愛知県芸術劇場 大ホール S席12,600円、A席9,450円、B席6,300
円052・972・7466(キョードー東海)
●福岡公演
2014年1月18日(土)~19日(日)
キャナルシティ劇場 S席12,800円、A席9,500円
092・271・6062(キャナルシティ劇場)
東京公演公式HP http://www.tohostage.com/montecristo/index.html
大阪公演公式HP http://www.umegei.com/schedule/294/index.html