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SPECIAL!「十八世 中村勘三郎 一周忌メモリアルイベント」
10月27日(日)、東京 築地本願寺にて、昨年12月に亡くなった歌舞伎俳優の中村勘三郎さんを偲ぶ「十八世 中村勘三郎 一周忌メモリアルイベント」が開かれました。
INTERVIEW & SPECIAL 2013 11/8 UPDATE
生前、晴れ男だったという勘三郎さんらしく、台風も無事通り過ぎ、よく晴れた澄んだ空気の中での催し。「父が喜んでいる証拠です。父の演出のもと、極力、湿っぽくならずに楽しんでいただければ」と話す長男の中村勘九郎さん。次男の中村七之助さんは「感謝をすることがすごく好きな父でした。父がなくなって心にぽっかり空いた穴をすこしでも埋められるよう楽しんでいただければと存じます」とご挨拶。
たくさんの友人がいた勘三郎さんですが、このイベントにも深い親交のあった皆さんが集まってくださいました。笑福亭鶴瓶さん、大竹しのぶさん、柄本明さん、伊藤英明さん、江川卓さん、青木功さん、永島敏行さん、渡辺えりさん、野田秀樹さん、笹野高史さんが壇上に登場し、勘三郎さんとの思い出を短い時間ながらそれぞれが語り、在りし日の勘三郎さんを偲びました。
ゲストコーナーの司会を努めた鶴瓶さんは、「死んだからなんでも言える(笑)」と、勘三郎さんならではの隠された(!?)豪快なエピソードを次々と暴露し、ゲストコーナーの間は終始、会場は笑いに包まれていました。勘三郎さんもきっと、雲の上から「そこまで言うなよ!」と合いの手を入れつつ、大笑いしていらっしゃったことでしょう。笑い疲れた分、コーナー終わりの鶴瓶さんの、「彼の死に様が生き様。人間ってホンマに死ぬんだなって教えてくれたように思います」という言葉が心にずっしり・・・・・・。
開場に来られなかった、篠山紀信さん、松尾スズキさん、宮藤官九郎さん、小泉今日子さん、立川志の輔さん、立川談春さんさだまさしさんらからもビデオメッセージが届き、皆さんの勘三郎さんへの深い思い、そしてあらためて勘三郎さんの交友関係の広さが感じられた一幕でした。
その後、盟友、大竹しのぶさんによる歌披露。36年前に共演した舞台の曲を、当時勘三郎さんの声にあわせてデュエットするという趣向で、少し若い勘三郎さんの声とのハーモニーが、空間いっぱいに響きわたり、心に染みいります。
そして、11月末から各地の芝居小屋で先行公開される『映画 中村勘三郎』のダイジェスト版が上映されると、思わず涙するファンの姿も。
極め付きは、勘九郎さん、中村七之助さん、そして勘九郎さんの長男の波野七緒八くんによる、舞踊『偲草鶴競猿若舞(しのびぐさつるくらべさるわかまい)』の披露です。舞踊の初舞台ながら、七緒八くんは見得を切り、見事に努め上げました。勘三郎さんがいたら、目を細めて「さすが、わが孫!」自慢したにちがいありませんね。
最後に、勘九郎さんと七之助さんから、「これからも中村屋を往末永く、お見捨てなく…これは父のせりふですけれども。本当に宜しくお願いいたします」(勘九郎)、「父がまいた種を4人で開かせるために一生懸命精進してまいります。七緒八が父に似てきたので成長が楽しみです」(七之助)、と挨拶があり、勘三郎筆の「ありがとう」の幕が下りると、会場には3300人のファンによる、割れんばかりの拍手が鳴り響きました。…勘三郎さん、私たちこそ、ありがとう。