インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『今の私をカバンにつめて』戸田恵子さん
ミュージカル『今の私をカバンにつめて』に、再び戸田恵子さんが主演します。35年前に日本初演されたとき、コーラスガール役で出演しずっと憧れていたというヘザー役。2010年に初主演が決まり、自ら三谷幸喜さんに翻訳・上演台本を依頼、演出にはG2さんという豪華なコラボが叶いました。歌、演技ともに大好評を博した本作の再演、その意気込みを戸田さんに伺いました。(取材・文/小野寺亜紀)
INTERVIEW & SPECIAL 2013 8/21 UPDATE
――この作品は’78年にオフ・ブロードウェイで幕を開け、’81年に雪村いづみさん主演で翻訳上演されて芸術祭優秀賞を受賞しました。
はい、私は当時まだ劇団(薔薇座)の研究生で駆け出しの頃でしたけど、コーラスガール役で出演していて、「いつかこんな素敵な作品ができる女優になりたい」と思っていました。人生は一度、やらせていただけるうちにやりたいな~、と3年前に恐る恐る手をあげたら念願が叶いました。贅沢にも三谷幸喜さんに翻訳・上演台本を、G2さんに演出をしていただき、夢のような作品になりました。
――舞台はナイトクラブ、理想と現実の狭間で揺れる女性歌手・ヘザーの物語ですが、この作品に惚れ込まれた一番の理由は?
まずレンジのあるバラエティに富んだ楽曲ですね。子どものときのかわいい歌、かつてのヒットナンバーから、私は売りものじゃないと訴える歌など、自分の生い立ちを振り返りながらヘザーの人生がいろいろな形で表現されるんです。それも一曲ずつ、ナンバーを紹介しながら贈るので、ライブ感覚で観てもらえると思います。お客様との距離もとても近いですし、リハーサルを観るような感覚で楽しんでいただけると思います。さらに、曲と曲の間にお芝居がガッツリあるんですよ。石黒賢さん演じる保守的なマネージャーとのシーンなど、二人芝居のごとく!
――3年前、初主演されたときはいかがでしたか?
雪村さんが演じられた年齢を私は超えたんですが、まだまだ自分は子どもだなと思いました。雪村さんのヘザーはとても大人に見えましたね。共演しながら役者としてシンガーとしての切なさと強さを感じ、「自分もヘザーのように、寂しいけれど強く生きていかなくちゃいけないのかな」と若いながらかみしめ、最後はいつも泣いてました。ただ演じてみると、口にしたセリフはもっと大きく感じたり、味わい深く感じましたね。
――三谷幸喜さんが手掛けられた台本も素晴らしかったと?
語尾の感じや、テンポを出すためのセリフの字数など工夫を凝らされ、あちこちちょっとしたジョークも入ってさすがだなと思いました。丁々発止やり合っているときにコメディな要素も入ったり。三谷さんにとっては翻訳は初めてで、歌詞を曲に当てはめていくという時間のかかる作業もありましたが、歌いにくければ相談にのっていただいたりして、細かなところまで采配をとっていただきました。お願いして本当によかったですし、これだけの作品を3年前の短い期間で終わらせるのはもったいないという気持ちがありました。三谷さんも楽屋で、「もう一回やる?もう一回やる?」と興奮しながらおっしゃって下さって(笑)
――新たな再演に向けて、今のお気持ちをお聞かせ下さい。
初演では悔いが残ることもあり…というのも、宣伝が行き届かなかった(笑)。毎日たくさんの方に観ていただきましたが、もっとたくさんの方に観てほしいです。それに具体的には説明できないんですが、終わってから分かることもいろいろあり、トライしたい気持ちがいっぱいでした。キャストは3年前と全く同じなので、みんないろいろな場所でスキルアップし、より深くより高いものを持ち寄れるはず。また1970年代の話なので、さらに古いところを強調して、流行のスタイルなどを含めその年代を楽しんでもらいたいですね。ひとり孤独を感じているヘザーにも、スーッと光が射してくるような最後のナンバーまで、自分にも重なるところが大いにありますし、心を込めて演じたいです。
プロフィール 戸田恵子(とだ・けいこ)
愛知県出身。『中学生群像』で女優デビュー。’77年に野沢那智主宰の劇団・薔薇座へ入団、看板女優として活躍する。『スイート・チャリティ』で芸術祭賞演劇部門賞を、また外部出演した『ミュージックマン』で葦原英了賞を受賞。『それいけ!アンパンマン』のアンパンマンの声優などでも人気を集める。’97年に三谷幸喜脚本のテレビドラマ『総理と呼ばないで』、映画『ラヂオの時間』などに出演。さらに女優として意欲的に活躍し、舞台でも『なにわバタフライ』『歌わせたい男たち』で第5回朝日舞台芸術賞秋元松代賞、第13回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。存在感のある演技、透明感のある歌声と幅広い才能で、見る人の心をつかんでいる。
公演情報 ミュージカル『今の私をカバンにつめて』
【東京公演】2013年9月6日(金)~16日(月・祝)
こどもの城 青山円形劇場 全席指定7500円
【大阪公演】2013年9月20日(金)~24日(火)
大阪ビジネスパーク円形ホール 全席指定7800円
脚本・作詞:グレッチェン・クライヤー
音楽:ナンシー・フォード
翻訳・上演台本:三谷幸喜
演出:G2
出演:戸田恵子
入絵加奈子、麻生かほ里、植木 豪(PaniCrew)
石黒 賢
東京公演チケットお問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~19:00)
大阪公演チケットお問い合わせ:キョードーインフォメーション 06-7732-8888(全日10:00~19:00)
公演に関するお問い合わせ:ネルケプランニング 03-3715-5624(平日11:00~18:00)
公式HP http://www.nelke.co.jp/stage/imano_2013/