インタビュー & 特集

INTERVIEW! 『音樂劇 千本桜』加藤和樹さん×石田晴香さん

劇場でしか観ることのできなかった舞台をネットで生放送し、全国の観客にリアルタイムで届けることを可能にしたニコニコミュージカル。その第10弾『音楽劇 千本桜』が313日より上演されます。稽古真っ盛りの2月末、主演の加藤和樹さんと、石田晴香さんにお話をうかがいました。

(撮影/熊谷仁男 文/臼井祥子)

INTERVIEW & SPECIAL 2013 3/12 UPDATE

『音楽劇 千本桜』は、動画共有サイト「ニコニコ動画」で発表されて大ヒットしたボカロ曲「千本桜」を初めて舞台化した作品です。ボカロ(ボーカロイドの略称)とは、 メ ロディーと歌詞を入力するだけで、人間の声を元にした歌声を合成することができるヤマハが開発した技術・製品のこと。作曲家・黒うさPさんが作詞・作曲し、イラストレーターの一斗まるさんがイラストを担当して、2011年に発表されたこの歌は、ボーカロイドソフトウェア「初音ミク」を元に二次創作されたキャラクター「初音未来」を主役に小説化もされています。今回の舞台は、その小説と同じ世界観で、男性ボーカロイド・「KAITO」を元に作られたキャラクター「靑音海斗」を主人公にした物語になります。

●石田さんはもともと「千本桜」という楽曲の大ファンだったとか?

石田 はい。すごい曲なんですよ。500万回以上再生されているんですが、初音ミクの楽曲の中でも、シリーズ物でもない単体の曲でここまで人気が出た曲はなかなかないと思います。映像もきれいだし、ミクの歌声はかわいいし、コメント(「ニコニコ動画」で流れる視聴者が書きこんだ感想)を見ていると本当に愛されているんだってわかります。

加藤 恥ずかしながら僕は今までこの曲を知らなかったんですよ。(石田さんに)ボカロにはまったきっかけってどんなことだったの?

石田 ちょうどAKBに入ったころに、インターネットにはまって、いろいろ検索していく中でニコ動(ニコニコ動画)を見つけて、いろんな人が思ったことを共有できるのが面白いなあと思ったです。テレビを観てても、同じ番組を観ているほかの人がどんなことを思ってるのかわからないけど、ニコ動なら気持ちを共有できるんですよ。そこからですね。

加藤 僕は「千本桜」を聴いて、まず単純に「カッコいい」って思った。曲が素晴らしいし、人の声では表現できない音域の部分があったり、遊び心がある。カラオケに行くと、必ず履歴に入っているんですよね。

石田 カラオケの去年の総合ランキングの3位だったんですよ。

●この曲をもとにした舞台ということですが、最初にお話を聞いた時はどう思われました?

石田 「千本桜」がミュージカルになるの? すごい!って思って、やらせていただくことが本当にうれしかったです。でも発表した時にはプレッシャーで押しつぶされそうでした。

加藤 初舞台なんだよね。

石田 そうなんです。でも、稽古が始まってからはあまり考えすぎないようにしていて、楽しんでいます。

●稽古場はどんな雰囲気ですか?

加藤 厳しく、楽しくという感じですね。演出の茅野(イサム)さんは、今回初めてご一緒させていただくんですが……「怖い」という話を聞いていまして(笑)。でもものすごく愛のある方なんですよ。まず役者にまかせて、足りないところを補ってくれる。とてもていねいに導いてくださいます。特に今回は初舞台の子も多いので、登場人物の心の動きを考えさせてくれたり、基本的なことを教えてくれます。セリフは、段取りではなくて、言われたことや起きたことに対してのレスポンスなんだとか、そういう芝居の根底の部分を大切にされる方です。

石田 私も厳しい方だと聞いていたので、少し不安だったんですが、今は初舞台が茅野さんでよかったなって思っています。怒られた時に必ず「お前が嫌いで言っているんじゃないんだよ」ってフォローしてくださるんですよ。今日もうまくできないところがあったんですけど、休憩中にセリフの一つひとつを、「ここはこういう意味だよ。このシーンはこういうことだったんだよ」って教えてくださって。私と鳥越(裕貴)さんと、みおりん(市川美織)に、エレベーターホールで。

加藤 そんなことを。エレベータホールから何か声が聞こえてくるなって思ってたんだよ(笑)。

石田 本当に勉強になります。

●加藤さんは稽古前にかなりウェイトを絞られたと聞きました。

加藤 はい。本番までにもう少し絞ります。

石田 体重を落とすんですか?

加藤 体重というより、無駄なものを削ぎ落とす。見た目って大事だと思うんですよ。単純にこの衣裳を着た時にどう見えるかということが大切。殺陣の稽古が激しいので、自然に落ちていく部分もあるんですが、「ウォーミングアップで筋トレをしています」って言ったら「ムキムキの海斗だけは勘弁してください」って言われてしまいまして(笑)。そういうキャラクターのファンのみなさんのイメージも大切にしたいです。

石田 私は、衣裳が長い振り袖なので、その動きに慣れようと思って、自分の浴衣の裾を切って、その布を袖に縫いつけて、振り袖にして、実際に着て動いてみています。袖があることで、絶対何か違うことが起きると思って。

●着てみてどうですか?

石田 全然違います。バサバサします。

加藤 邪魔だよね(笑)。もちろん、ちゃんとした立ち振る舞いができれば、きれいに見えるんですけど、刀を振った時とかの動きが、袖によって変わってくるんですよ。本番前にあわてるわけにはいかないので、準備は大事ですね。

石田 イメージもわきますしね。

●石田さんが演じる初音ミクちゃんもアクションがあるんですか?

石田 あります。殺陣とはちょっと違うんですが、棒を振ると相手の動きが止まるんです。魔法みたいな感じですね。

加藤 女性陣はアクションも華麗になっています。

●稽古場でお互いを見ていて、すごいなと思ったことは何かありますか?

加藤 石田さんは、常に言われたことをメモして確認しているんですよ。それは当たり前のようでなかなかできないことです。みんなつい先に先に行こうとしちゃうけど、彼女は一個一個ちゃんとクリアしていってる。

石田 できないのは悔しいので、やりたいんです。茅野さんがおっしゃっている理想型が、頭でわかっているけどできない。その溝を埋めていくためにも、もっとやりたい。加藤さんは、尊敬するところがたくさんある方です! かっこよくて歌がうまいというのはもちろんなのですが、立ち振る舞いも勉強になります。「ああ!これぞ海斗だ!」と思ってしまいます。わたし的には、原作の海斗はフンドシ姿でいるような愛すべきおバカキャラな部分もあったりしますが、さすがに加藤さんはそんな方ではないです(笑)。

加藤 舞台の『千本桜』の海斗は、おバカなところはないんですよね。でもボカロファンの方が思わずクスッとくるようなシーンもありますので、そこは楽しみにしていただければと思います。

石田 今回、ネットでプレビュー公演を配信をして、それから舞台の本番があります。だから自分でもネットチケットを買って、みなさんのコメントを見て改善して、本番に挑もうかなって思っています。初音ファミリーの初めての実写化なので、ボカロファンの方にも、役者のファンの方にも、いろんな方に観ていただきたいです。

加藤 ネットでの配信もしますが、僕はやっぱり、舞台は生で観ていただけるのが一番だと思っています。だからネット配信を意識して演技を普段と変えるということはないです。でもネットだと気軽に観ていただけるので、そこから「面白いから生でも観ようかな」と足を運んでいただくきっかけになったらうれしいですね。みんなが舞台で一生懸命生きて戦っているので、その姿をぜひご覧いただきたいです。そして僕のようにあまり詳しくない人が「ほかのボカロ曲も聞いてみようかな」って思ったり、そういうふうにつながっていったらいいですね。

『音楽劇 千本桜』は、3月13日から、銀座博品館劇場にて上演されます。

 

[プロフィール]

加藤和樹(かとう・かずき)

1984107日 生まれ、愛知県出身。
ミュージカル『テニスの王子様』跡部景吾役で脚光を浴びる。舞台や映像作品で活躍するかたわら、2006年よりアーティストとして音楽活動も開始。2011年末には伊達幸志とユニットJOKERを結成した。最近の主な舞台は、『レシピエント』(主演) ミュージカル「『コーヒープリンス1号店』『里見八犬伝』など。2013年は、世田谷パブリックシアタープロデュース・舞台『オセロ』現代版(世田谷パブリックシアター68日~23日)、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(東京・東急シアターオーブ9月3日~10月5日/大阪・梅田芸術劇場メインホール10月12日~10月27日)などに出演する。
加藤和樹公式サイト●http://kazuki-kato.jp
JOKERツイッター●@JOKER_KD

 

石田晴香(いしだ・はるか)

1993122日 生まれ、埼玉県出身。
2007AKB第5期研究生オーディションに合格。現在AKB・チームBに所属。ニコニコ生放送とテレビ東京の連動企画『ドリームクリエイター』のメインMCを担当するほか『AKIBINGO!』、『週刊AKB』などのバラエティ番組で活躍。2012年リリースの「ぐぐたすの空」(CD『真夏のSounds good !」に収録)では、センターを務めた。またアニメ『AKB0048』、FLASHアニメ『地獄ようちえん』で声優としても活躍している。舞台は、『千本桜』が初舞台となる。
公式blog●http://ameblo.jp/ishidaharuka-blog/
公式ツイッター●https://twitter.com/can2525can

 

[公演情報]

ニコニコミュージカル第10弾『音樂劇 千本桜』

313()324()  銀座博品館劇場
原作:「千本桜」黒うさP/一斗まる
原曲: http://www.nicovideo.jp/watch/sm15630734
演出: 茅野イサム
脚本:三井秀樹
出演:加藤和樹 石田晴香 / 富田麻帆 市川美織 長谷川愛 / 高崎翔太 鳥越裕貴 / 湯澤幸一郎 小林健一 / 岸祐二 他
リアルチケット問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
公式サイト:http://info.nicovideo.jp/nicomu/senbonsakura/
© Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

 


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