演劇 & エンタメ系 WEBマガジン omoshii

17歳の高校生たちが繰り広げる学園モノミュージカルZANNA。でも、ただの学園ものではなくて、ZANNAの世界は、私たちの住んでいる現実の世界とはあべこべの世界。異性間の恋愛はタブーで、愛し合うのは男子と男子、女子と女子。学園の人気者は、アメリカ青春映画の定番、アメフト部の転校生……ではなくて、チェス部のさえない男子。しかもそこには、恋のキューピット、魔法の力を持つ高校生までいて……ありとあらゆるLOVEがあふれた物語なんです。

以前稽古場を拝見させていただきましたが、すでにカンパニーの絆はガッチリ。開幕が待ち遠しくて、楽しみにしていました！
その時は、“EXTRA LOVE”“LOVEみたい”“あるのは恋する時間だけ”の3ナンバーを披露していただきましたが、楽しくて弾けるナンバー数々に、こちらは知らぬ間に笑顔になってしまいます。

渡部豪太さんも高垣彩陽さんも田中ロウマさんも、17歳を演じるキャストたちはみな、身も（！？）心も、すっかり17歳！（そのとき、キャストの皆さんに、自己紹介もしていただいたのですが、皆さんそろって、名前のあとに、「17歳です！」と言い切るほど、なりきってました＾＾）

とにかく勢いがあって、仲間感が強い！　このカンパニーの感じに、既視感があるなーとおもったら、『RENT』で感じたカンパニー感のような……。「SHOW-ism」もそうかも。それらの作品には特別な絆を感じたけど、その雰囲気と通じるものを感じました。情熱あるカンパニーの絆とメッセージ性が共通点でしょうか。
 
この楽しげなミュージカルの持つメッセージは、実は深いもの。セクシャルマイノリティについて描きながら、「すべての少数派の人たちが住みよい世界にしようと訴えている作品だ」と、訳詞･演出の小林香さんは言います。

そして、台本の最初に、みんなで書き込んだ言葉があるそうです。それが、

“愛したい人を愛せる世界にしようぜ！ベイベー！”

この言葉の勢いに、しっくりくるキャストたち、そしてスタッフだと思います。

おとぎ話でありながら、痛烈なパロディでもあり、漫画チックな笑いもあり、とてもピュアなラブストーリー。そんなミュージカル、ZANNA.。

シアタークリエ開場当時、プロデューサーであった演出の小林さんが、2002年のオフオフブロードウェイ初演時に出会ったときから、ずーっとやりたいやりたいと願い続けてきたこの作品を、ついにシアタークリエで上演する……。そういう運命的な縁も、演劇ファンとしてはたまりません。この、歴史的上演のタイミングを、ぜひ見届けたいとおもいます。
（写真･文／中村恵美）

ZANNA　ザナ ～a musical fairy tale～
2月18日～23日　シアタークリエ

脚本・音楽・歌詞：ティム・アシート
脚本・歌詞補筆：アレクサンダー・ディネラリス
演出・訳詞：小林香
出演：渡部豪太　高垣彩陽　田中 ロウマ　上木彩矢　東山光明(Honey L Days)　ほか
http://www.tohostage.com/zanna/index.html