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『ダディ・ロング・レッグズ~あしながおじさんより』観劇記
観劇後、あったか~い気持ちに包まれる…そんな素敵なミュージカルが、現在シアタークリエで絶賛上演中の『ダディ・ロング・レッグズ~あしながおじさんより』です。
INTERVIEW & SPECIAL 2012 9/12 UPDATE
『ダディ・ロング・レッグズ』、日本語のタイトルは『あしながおじさん』。女流作家ジーン・ウェブスターの原作で、孤児院に暮らす18歳の少女ジルーシャが、長い足の影を持つ「ジョン・スミス」という名の紳士の援助によって、進学し作家を目指すことになる物語は、あまりにも有名です。
「あらすじを知らない!」という方は、ネタばれになりますが、そもそもこの舞台はネタばれ承知で始まります。
ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ~あしながおじさんより』の舞台に登場するのは、ふたりだけ。ジルーシャ役の坂本真綾さんとジャーヴィス・ペンドルトン役、つまりあしながおじさん役の井上芳雄さん。
脚本・演出は『レ・ミゼラブル』『ベガーズ・オペラ』でおなじみのジョン・ケアード。ジルーシャの手紙とそれに反応するジャーヴィスの様子が、美しい曲とともに丁寧につづられていきます。重厚な書斎から、農場、ニューヨークと、本棚の隙間を使ったスクリーンが、観ている者を瞬間移動させてくれます。
一方通行の手紙、返事の来ない相手に思いをはせるジルーシャ、正体を隠して彼女に会いに行くジャーヴィス、聡明で何事にも機知に富んだジルーシャ、思いがけない嫉妬であたふたするジャーヴィス、自分の出自を告白できず悩むジルーシャ、自分の正体を明かせずに苦悩するジャーヴィス……。原作がなせる業なのか、二人の演技がそうさせるのか、ジルーシャとジャーヴィスの姿を俯瞰で追っていくうちに、まるで初恋のころのようなじれったさを感じて、だんだん純粋な気持ちになっていくのが不思議。
キュートで頭の回転が速くて、そして、だんだん大人の女性に成長していく坂本さんのジルーシャは、とても魅力的。美しい歌声はもちろんのこと、手紙を通しての演技にはぐいぐい引き込まれます。そして、名家に生まれ知的で上品に育ち、ときどき子供っぽいところも垣間見せる井上ジャーヴィー坊ちゃま! 役にぴったりハマッて、すっかりやられました~。
結末がわかっていても、ハッピーエンドのシンデレラストーリーは、乙女心をくすぐりますね! こんな恋愛うらやましいなぁ~と、心が癒されて、何度でも観たくなる、そんな温かいミュージカルでした。
『ダディ・ロング・レッグズ~あしながおじさんより』は、9月19日までシアタークリエにて上演中です。まだ観ていない方は、もったいないので、ぜひ!!(新潟・大分・大阪・福岡でも公演あり)
(写真提供・東宝演劇部 文・中村恵美)
ミュージカル・ロマンス『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』
音楽・作詞/ポール・ゴードン
原作/ジーン・ウェブスター
翻訳・訳詞/今井麻緒子
脚本・演出/ジョン・ケアード
出演/井上芳雄 坂本真綾
9/2~19 日比谷シアタークリエ
9/22 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
9/26 iichiko 総合文化センター iichikoグランシアタ
9/28~29 森ノ宮ピロティホール
10/3 福岡市民会館
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