インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『RENT』中村倫也さん Part1
10月から上演される『RENT』にロジャー役で出演が決まった中村倫也さんにインタビュー! Part1では、今まで演じた舞台について振り返っていただきました。
(撮影/笹井孝祐 文/大原 薫)
INTERVIEW & SPECIAL 2012 8/2 UPDATE
*中村倫也さんが初舞台を踏んで5年。改めて振り返ってみると非常にバラエティ豊かな作品に出演されてきたことに驚くのですが、印象に残る舞台を上げていただくとすると?
それは全部…(笑)。強烈に印象に残っているのは『ロッキー・ホラー・ショー』。芝居が始まって15分で(洋服を)脱がされてましたからね。涼しかったですよ(笑)。
*パンツ一丁の時間もかなり長かったですものね(笑)。
そうですね。ただ、『恋の骨折り損』で女形、『悪夢のエレベーター』でオカマをやり、ドラマでは相撲部員の役でまわし一丁になったりハリネズミになったり、いろいろな役を経験していましたから、ボンテージファッションになることに何の抵抗もなかったです。パンツ一丁のときマイクの送信機を隠す場所がなくて、ブリーフの中に入れてたら「見栄張るな」と言われたくらいで…(笑)。皆そうしてたのに、なぜか僕だけそう言われたんですよね。
*作品としても強烈な色がある作品でした。
ジェットコースターみたいな作品でしたね。演出のいのうえひでのりさんが「こういうふうにやってくれ」と演じてみせてくれるんです。それが本当にうまくて面白いから、悔しくなるんですよね。自分の色を出しつつ、それ以上のものをと思って演じていましたね。勉強になりました。
*転機になった作品というと?
『真心一座 身も心も流れ姉妹~獣たちの夜~』。これ以降、「真心一座を観て」と舞台のお話をいただくことが多かったので、僕自身としても強烈な思い入れがあります。僕は三代目ゲストラバーということで千葉雅子さんに恋する役。残酷な小悪魔みたいな役でしたね。小劇場界の方たちと仕事をするのもこれが初めてでした。
*演出の河原雅彦さんはどんな演出をなさる方なんですか?
繊細かつ大胆に、冷静かつ情熱的に。にこやかに「死ぬ気でやれ」みたいなことを言う方です。
*小劇場界を代表するような方たちと一緒にやっていかがでしたか?
面白い方たちなので、一緒に飲んでいて楽しいですよね、やっぱり(笑)。「何もわからないんだから、全部乗っかっていこう」というメンタルでやっていました。
*今までと畑が違う人たちと一緒にやっても、自分が引いてしまうことはなかった?
僕は「自分はこういうことがやりたいんだ」って押し通すタイプじゃないんです。それよりも他の人のことをもっと受け入れたいというか。だから、いろいろな方といろいろな仕事ができるのかなと思います。
*それで、幅広い仕事もできているのでしょうね。昨年は現代劇の原点ともいわれる『わが町』(ワイルダー作・新国立劇場)にも出演されました。
3幕物で、僕が演じたジョージは幼少期、青年期、大人になった後と三つの段階がある役。それを神のような視点から見ていくという話なんです。小さいころは幼馴染の女の子とワイワイ遊んで、青年期に恋に落ちてドキドキしながらプロポーズして、最後には奥さんは亡くなって墓の中に入ってしまう。(役としては)毎日浮かばれないまま終わっていくので、2回公演の日は夜までにリセットするのが大変でした。でも、『わが町』は出演できてよかったと思ってます。
*様々な役に取り組んでいる中村さんですが、役作りはどうやってされているのですか?
役作りってよくわからないんですよね。作品の中で必要な要素、誰にどんなものを与えて、誰からどんなものを与えられるのかということをベースにして、自分の中にある近い感情を引っ張り出していくだけ。自分を拡大していっているだけなんだと思います。
*いろんな作品に出会ったことが経験になっている?
演出家や共演者、作品や役に出会って経験したことが、自分の気づかないうちに血となり肉となっていると思う。「あの時の経験がここで生かされた」とはっきり意識することはないけど、自分の中で蓄積しているという感覚はありますね。
*中村さんが様々な経験をしてきたことが蓄積されて、『RENT』ロジャー役につながっていくのですね。
(Part2に続く)
[プロフィール]
中村倫也
なかむら・ともや
1986年12月24日生まれ、東京都出身。
2005年、映画『七人の弔』でデビュー。NHK大河ドラマ『天地人』(豊臣秀頼役)やドラマ『勇者ヨシヒコと魔王の城』『妖怪人間ベム』、映画『沈まぬ太陽』など数多くのドラマ、映画に出演。舞台は、2006年『黄昏』で初舞台を踏み、以後『恋の骨折り損』『さらば、わが愛覇王別姫』『真心一座 身も心も 流れ姉妹〜獣たちの夜〜』『ロッキーホラーショー』『ハンドダウンキッチン』など、毎年ステージに立っている。
http://www.topcoat.co.jp/artist/nakamura-tomoya/
[公演情報]
『RENT』
10月30日~12月2日 シアタークリエ
演出:マイケル・グライフ
脚本、作曲、歌詞:ジョナサン・ラーソン
日本版リステージ:アンディ・セニョールJr.
出演:賀来賢人、Julian/中村倫也、石田ニコル/Jennifer、TAKE(Skoop On Somebody)、ヨウスケ・クロフォード/田中 ロウマ、上木彩矢/ソニン、西国原礼子、Spi、加藤潤一、千葉直生、伊藤友樹、海宝直人、小林由佳、セキグチタケオ、高城奈月子、田代絵麻
お問い合わせ:東宝テレザーブ 03-3201-7777
http://www.tohostage.com/rent2012/